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にこみ「鈴や」で銅鍋のおでん旬野菜白和えあご肉ぽんず鼈の土瓶蒸し京都御苑の南側

それは、大橋トリオ、毎年恒例のファンクラブ”CAFÉ PRETAPORTER”限定ライブツアーの京都教育文化センターでの公演を契機に、お久し振りに訪れた京都初日のこと。
烏丸通りを西に入る、三条通りから一本南側の六角通り沿いにある洋食堂「のろ」で、一挙両得ランチと名付けられた、モリカータのたっぷり載った血鯛のソテーとスペシャリテの「洋食堂のろの煮込みハンバーグ」なぞを美味しくいただいた。

ふー、満腹まんぷくとお腹を摩り乍ら、
烏丸線をひと駅乗って丸太町駅で下車。
以前一度、ふらふらっと歩いたことしかなかった、
京都御苑を散策しようと企んでいたのであります。

間之町口から静々と京都御苑に入り込み、
出水の小川に沿うように小路を進んで、
ずーーっと真っすぐ歩いていくと、
長大なる壁が連なるその角に出た。 左手の壁を見ればその先が霞むほどに長いし、
右手を見てもずいーっと壁が続いている。
これがご存じ、京都御所の築地塀(ついじべい)。
南北にずーーっと約450m、
東西に約250mの範囲を囲んでいるという。

京都御所の南側の正門、建礼門の様子を眺め、
そのまま南側の築地塀に沿って東の角を抜けた。 この日はイベントがあるようで、
残念ながら京都御所の参観は不可だった。

ならばと向かったのは、
京都御所のちょうど東側にある京都迎賓館。 隣接の清和院休憩所で受付を済ませ、
正面玄関の広いゝゝ広場へと、
隊列を成すようにして進んだ。
ゆったりと佇む京都迎賓館は、
入母屋屋根と数寄屋造りの外観とされるも、
まるでフランク・ロイド・ライトの、
プレーリースタイル(草原様式)のように、
水平ラインを強調したかのような、
そんな印象のする外観なのだ。

2005年(平成17年)4月に開館した、
海外からの賓客をお迎えする国の迎賓施設、
京都迎賓館へと闖入を果たす時が来た(^^)。
樹齢700年の福井県産の欅の一枚板を用いた、
玄関扉をさあ、抜け入りましょう。

藤の間は、京都迎賓館で最も大きな部屋という。 壁面の装飾「麗花」は絵ではなく、織物。
39種類の草花が織り込まれているそう。
見上げた格子光天井は、
笠を重ねて連らなる凧のよう。
テーブルの上には、大倉陶園の洋食器や、
ノリタケの銀メッキ食器、
HOYAのグラスなどが並んで、
ちょっとした晩餐会の様子を髣髴とさせるね。

東西それぞれの壁面を装飾する織物作品、
「比叡月映」「愛宕夕照」があるのが、夕映の間。 夕映の間の接する回廊からは庭園が臨め、
庭園の水辺の煌めきが外障子に映る。

桐の間は、和食を提供する「和の晩餐室」。 全長12mという漆の一枚仕上げのテーブルが、
16台の座椅子が囲む畳の間の中央にデン!と構え、
その表面は鏡のようにまさに一点の曇りもない。
座椅子の背にあるのは、
日本国政府の紋章として使用される、
「五七の桐」の蒔絵だという。
そんな紋章があるなんて、知らなんだ(^^)。

東西の建物を繋ぎ、池を渡る廊橋からの景色。 吉野杉による廊橋の天井は所謂”船底天井”で、
螽斯などの昆虫の透かし彫りが四隅にあって、
細かい装飾の施しはまるで、
職人が興に乗って仕込んだ悪戯のようだ(^^)。
海外からの賓客は、この和舟に乗って、
池に繰り出す「舟遊び」に興じる、らしい。

野趣や侘び寂びのようなものは、
まぁ別のところで体感いただくとして、
あくまでも品格のあるものであることを前提に、
日本の伝統的技能の粋を要所ゝゝに鏤めてみた、
という感じの京都迎賓館だったけれど、
これで、海外からの賓客たちが嬉しがるのかなぁと、
疑念に近い疑問を抱いたり、
へー、ほー、ふーん、ぐらいのことなのかもなぁと、
思ったりもした(^^)。
ただ、決して華美が過ぎることのないようにと、
努めて留意したであろうところは天晴だね。

京都迎賓館の参観を終えて、
砂利道をふたたび汗を掻き掻き歩いて、
御苑北側の今出川御門を抜け出て、
今出川駅から烏丸御池へ戻り、
三条通りと柳馬場通りの角に建つお宿、
TSUGU京都三条に投宿した。

昼間の暑気がまだ残る黄昏時に、
柳馬場通りを先程の京都御所方向へと、
のんびりと歩いて北上する。
御池通りを渡り、洋食「おがた」の前を通り抜け、
地下鉄ひと駅分を散策して丸太町通りに出れば、
その向かい側はもうさっきの京都御苑だ。

京都御苑に沿って東西に走る丸太町通りを渡り、
京都御苑を背にして立って、
通りの向こう側を眺め遣る。 すると、古びた二階建ての建屋から、
橙の灯りが漏れているのが見付かった。

それが今宵の止まり木、にこみ「鈴や」。
ふたたび横断歩道を渡って建物に近づくと、
一階の庇の上の板壁に「SUZUYA」と、
黒の切文字が貼られている。
そしてその下に「イバラキ」という文字が、
塗り潰され切れずに残っているのが判る。
にこみ「鈴や」となる前の屋号なのでしょか。
同じ丸太町通り沿いの二区画西側にある、
料理ワイン「イバラキ」との関係や如何に。

なんてことを考え乍ら(^^)、
墨の筆で認めたかのような文字で、
「鈴や」と右隅に示した、
如何にも潔い白の暖簾を払う。

予約の名を告げ、コの字に巡る、
カウンターの一隅へそっと収まる。 見上げる木造の梁と敷板は飴色で、
そんな旧い材と新しい材が混在していて、
如何にも古い建物のリノベーション然として。
正面奥にある木枠の硝子戸の向こうは、
小さな裏庭になっている様子。
元々は、丸太町通りに面した商店で、
土間のある売り場から奥の引き戸を引けば、
すぐ自宅の居間がある感じ、かなぁと、
そんな想像を巡らすのもまた愉し(^^)。

カウンターの角には、
打ち出して作ったと思われる、
丸みを帯びた銅製の鍋。 その鍋から掬い出されたのが、
おでんの三品、だ。

ぼてっとした衣に包まれたるは「生姜天」。 よくみる生姜天のイメージは平たいものが故、
ゴロンとしてどこかこう勝手が違うけれど、
うんうん、齧ってみれば成る程、
ふんわりとした生姜天だ。

「牛すじ」に「大根」も。 所々にサクっとした歯応えもある牛すじにも、
加減よく火の入った大根からも、
綺麗な出汁がたんまりと滲んで、旨い。
関東炊きとは違う、白出汁を使ったかのような、
そんなお出汁なのだ。

おでんの他のタネには、
玉子、こんにゃく、京あげ、京豆腐、手羽先、
近江牛牛すじ、ひろうす、ごま豆腐、豚足煮と、
目移りするばかりだ。

「生小」のグラスをグイっと傾けては、
酒肴がずらっと並んだ、
手書きの品書きを改めて眺める。 筆の手書きの文字が整然としていないのも、
味わいのひとつ(^^)。
左から右へ上から下へと視線を這わせるも、
どれも気になるフレーズで、
次第に頭の中が迷走してくる。

店内に低く流れるは、
山口百恵の「さよならの向こう側」に続いて、
玉置浩二が唄う「圭子の夢は夜ひらく」、
そして、井上陽水「リバーサイドホテル」。
さらには、郷ひろみではなく、楠瀬誠志郎の、
「僕がどんなに君を好きか、君は知らない」。
有線にこんな選曲のチャンネルがあるのだろね。

お品書きの六行目は「旬野菜白和え」。 白和えと云いつつも和えていない。
なので、白載せ?とか云い乍ら、
和え衣と小松菜的青菜を併せて箸に載せる。
なるほど、こうした方が粋なのかも、
なーんて思ったりなんかする(^^)。
振り載せたあられがよく似合う、ね。

冷やの純米を一合、お猪口ふたつで、
とお願いすると、やってきたのは、
「ニューハツサクラ」。 ラベルには”YASUI SAKE BREWERY”とある。
まさか、安っすい酒の蒸溜所、
ってことはないよねと云いつつ(^^)、
一升瓶の裏側を確かめると、
「安井酒造場」とあった。
生酛太郎、R7BY、純米、玉栄、中汲み。
滋賀県甲賀市土山町の酒蔵が醸す、
生酛シリーズのひとつ、らしい。
酸味が爽やかで旨口、ってな印象のする。

「あご肉ぽんず」ってなんだろう。 すじ肉なのでコリコリです、と大将。
あー、なるほど、スジっぽい。
“あご肉”とは、その名もそのまま、
牛の下顎にある筋肉、スジの部分を云うらしい。
なるほど、憶えておきましょう(^^)。

純米で別のものを冷やで、
とお願いするとやってきたのは、
“辛口”とラベル書きされた一升瓶。 特別純米 無濾過生原酒 辛口黒。
右肩に小さ目に「浅茅生」とある。
あああ、浅茅生(あさぢを)ならば知っている。
琵琶湖湖畔の大津を訪ね、散策した際に、
「平井商店」の前まで行っていて、
近くの酒店で「浅茅生」を買って帰ったものね。

そして、「すっぽん土瓶蒸し」。 土瓶にお猪口が載った絵が、いい。
その辺の居酒屋には、特に東京の居酒屋には、
案外となかなかないよねこのメニュー。
あああ、なんか色々なエキスが出捲っている。
臭み消しにか、梅干しを入れている気配のする。
土瓶の蓋を開けて覗けば、
鼈の五臓六腑七つ道具がぎゅっと入っていた。
あー、しみじみと、旨い。
土瓶の中も穿って探って食べてしまおう。
歩き回った昼間の疲れが抜けるかも(^^)。

お品書きには、まだまだ気になる一行が、
沢山残っているというのに、
洋食堂「のろ」での遅めのランチで、
欲張っちゃったものだから、
お腹の空きがいまひとつなのが悔やまれる。

お品書きの「ご飯」の項には、
カレーの小にカレーの中、
ちりめん山椒のおにぎりにやきめし、
豚骨出汁にゅうめん、ぞうすい、
そして、麻婆玉子のせご飯とあって、
これまた唆られる、憎いラインナップだ。

広大なる京都御苑の向かい側。
京都御苑南側を東西に走る丸太町通り沿いに、
にこみ「鈴や」は、ある。 2025年に烏丸御池から移転オープンしたという、
此処、にこみ「鈴や」は、
今の「寺町サンボア京都」の近くにある骨董店、
「アンティークベル」のご主人が開いた居酒屋だ。
店名に冠する、にこみ「鈴や」の”にこみ”は、
11種のタネが揃う「おでん」を指しているのか、
それとも日替わりと思しき品書き筆頭に書かれた、
「近江牛もつ煮」を指しているのか。
はたまたその両方をもってそうしているのか。
今度はちゃんとお腹を空かせて、
京都御苑内の京都御所を参観してから伺いたい。
きっとその時も気になる酒肴に思い悩む(^^)。
銅鍋のおでんは勿論のこと、
食べ損ねた「近江牛もつ煮」もいただかなくっちゃだ。
〆の「ご飯」にまで辿り着ける、かな(^^)?

「鈴や」
京都府京都市中京区丸太町堺町東入鍵屋町74 [Map]
075-600-9656
https://www.instagram.com/suzuya_kyoto/

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