平成通りの一角に「カレー堂」というカレーショップがありました。
螺旋階段を巡って二階へ上がるレイアウトのお店が、突如なくなったかと思ったら、その隣の建物で「仮オープン」の貼紙を見付けた、なんてこともありました。
その店は今「ロダン」という名に代わって、鋭意営業中。
いつもお世話になっています(笑)。
八重洲通りから平成通りを「ど・みそ」方向に歩くと、
「創作カレー」と書かれた黄色い提灯が見付かる。縦張りの壁にある木製看板には、
“スパイスとハーブ料理”、
そして”世界のビール”「ロダン」と標されています。
カウンターから頭上を見上げれば、
整然と並んだヱスビーカレーの紅い缶々の列。棚の上にはいつぞやのように、
大振りなボトルに収めたスパイスたちが居並ぶ。
まずいただきたいのはやはり、
「ロースかつカレー」でありましょう。とんかつ屋さんではないのでそれ相応に。
というよりも、カレーのトッピングとしてのカツとしての、
大きさ、厚み、揚げ口がいい。
黄色いソースの彩りをスプーンで溶き、
カツとご飯とカレーとをバランスよく整えて、口へと運ぶ。シャバシャバインドカレーでも、
濃密なる洋風カレーのそれとも違うカレーには、
薫香しっかりの煮玉子もよく似合います。
ロースカツのトッピングを海老フライに代えれば、
それが勿論「海老フライカレー」。いつも「あけぼの カラメルソース」の容器に入れて使われているのは、
カシューナッツを用いた店特性のソースであるらしい。
黄色い線の描写は、茶色い料理になりがちなカレーに、
見た目の彩をも添えてくれています。
「特製ビーフカレー」はというと、
少々趣が異なってココット的容器でやてくる。白い器から掬ったソースなぞをゴロッとライスの上に着地させ、
カツよりも直截な肉々しさを愉しみます。
「ロダン」のカレーの中で最もホットなものとされているのが、
「ホールスパイスカレー」であります。シナモン、カルダモン、クローブ、鷹の爪等が、
まるごと入っているという。
オニオンスープ的シャバシャバなスープに、
その名の通り、ホールのスパイスがそこここに交錯する。
大辛仕立てなのにも拘わらず、その辛さは刺々しくなくて、
辛いモン不得意の自分にもすんなり爽やかに、
美味しくいただける逸品であります。
これまた”大辛”マーク付きのひと皿が、
「パクチーグリーンカレー」。
自家菜園のものと謳うパクチーがライスにトッピング。レモングラスの風味も利いて、
コクもありつつさらっと旨いグリーンカレー。
こぶ蜜柑の葉であるところのパイマックルーやグリーンチリ等が、
これまた丸ごと入っているという。
“タイ料理店よりも美味しく仕上がりました”という謳い文句に、
思わず微笑んでしまいます(笑)。
どうやらオーナーの気まぐれらしいのだけれど、
時折日替わりメニューに出会える。
この日はなんとかつての人気日替わり「子羊挽肉カレー」!「ロダン」のラムのキーマなんていいかも!
と期待しつつ待っていると、
パクチー、アーチャルにいつもの素揚げじゃが芋、
燻製玉子にチェダーチーズとトッピング総動員のお皿がやってきた。
ルー皿にはこれまたたっぷりのラムのキーマ。
ラムの香りがスパイスの風味と交差して旨い。
気まぐれメニュー故に再度これに出会えるのは、
きっといつことやら判らないのです。
八丁堀は平成通り沿いに創作カレー「ロダン」はある。並びにあった「カレー堂」を現店舗に移し、
その名を「ロダン」と改めて今に至る。
「ロダン」と云えば彼の仏彫刻家にして近代彫刻の父、
「考える人」のオーギュスト・ロダンを真っ先に思い浮かべるところ。
訊ねればやはり、オーナーがロダンの大ファンで、
そのまま店名に戴いたものなのだそう。
ただ、店内にロダンの彫刻のレプリカが幾つも飾られている!
なんてことはないようです(笑)。
「ロダン」
中央区八丁堀3-8-4 [Map] 03-5541-5777