ソニー通りから清泉女子大方向へ折れた住宅地の一角、ハンバーガーの「フランクリン・アベニュー」のお隣にあるのが、かの「ヌキテパ」です。
予約の時間丁度に到着、中央のテーブルへと案内されました。
まだ暮れきらない初夏の明るさがサンルームの設えの店内に注がれています。
まずは、球状に刳り貫いたスイカを浮かべたスパークリングワインを。
大のスイカ好きのシェフお薦めの食前酒。
ワインリストの表紙廻りや壁の絵には大きくスイカが描かれているし、中ほどに大振りなスイカが鎮座しているのです。
続いてスプーンに何やら黒っぽいゼラチン状のものが載せられてきました。
なんと野菜の根なのどについていた”土”を使ったジュレだという。
恐る恐る口に運ぶと、やはりそれそのものには味がなく、時折ジャリっとする。
ん~、これは微妙だ。田辺ワールド奥深し。
添えるワインは、98年の「ブルゴーニュ ルージュ」。ピノの円やかな味わいと香りが楽しめます。
漁師風サラダ
は、花を添えた大根と伊勢海老。千枚漬のようでもあり。
そこへ真っ黒な蛤が届く。「地ハマグリの炭火焼き」だ。
蝶番の脇からナイフを差し込んで捻るとパカッと開くようにしてある。
熱々をハフハフといただくと、磯の香りとともに凝縮した旨味が広がります。
「イセエビの冷たいビスク」
は、焼いた伊勢海老の香ばしさと味噌の濃厚な味わいが楽しめる冷製スープだ。
三崎の海産物を重用している「ヌキテパ」のメインであるところの今日の魚は、鯛とイサキのポワレ。
微かに甘みを加える調味がされていました。
そしてデザートに「スイカのショートケーキ」。
なんと、スイカの厚切りがそのまま使われています。
そうくるか~、とその洒落っ気とも受け取れる着想に驚かされます。
「ヌキテパ」の田辺シェフは、元ランキングボクサーで、30歳を前にして料理の世界に身を投じた、らしい。骨太で朴訥とした風貌の印象とリンクするように、野趣に富んだ皿が多いように映ります。それにしても、スイカ、お好きなんですね。
印象的な響きの店名「ヌキテパ」は、「しばらくお待ちください」といった意味だそうです。
「ヌキテパ」
品川区東五反田3-15-19
[Map] 03-3442-2382
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