オトナの遠足と洒落込んで、分倍河原の駅で待ち合わせしたのは確か、’15年の11月頃のこと。そうそう、新田義貞公之像のある駅南側のロータリー。
武蔵野ビール工場行き工場見学無料シャトルバスのバス停に集まって。
乗り込んだバスは待つ間もなく工場の正門に辿り着いたっけ。
それから一年と数ヶ月。
ふたたびビール工場の正門を入るバスからこんにちは。
今度はサントリーが企画し誂えてくれたバスの車窓から。
あれ、工場の塔屋に設けられていた文字が、
PREMIUM MALTSのロゴタイプに変わっています!
「武蔵野ブルワリー」と呼称を改めた武蔵野ビール工場は、
ロビーのディスプレイもプレモル一色にキリリとリニューアル。
日経文化面に連載中の伊集院静「琥珀の夢」も思い浮かべつつ、
鳥井信治郎が興し育み刻み続けてきたサントリーの歴史をなぞります。
階上に上がればいつぞやのレクチャールーム。
この日はもうひとつ奥の部屋にて、
新しくなった「ザ・プレミアム・モルツ」の美味しさのその訳を、
篤とおさらいいたしましょう。
サントリービール発祥の地となる当工場が竣工したのは、
半世紀を遡る1963年4月のことだそう。
少々意外だけれど、
丹沢水系の地下水が豊富に汲み上げられることから、
当地を選んだのだという。
京都、群馬・利根川、熊本と4拠点ある工場のいずれも、
良質な地下水の採れる立地を選りすぐって設けたもの。
それゆえ”天然水のビール工場”と冠しているんだ。
ガイドツアーの冒頭で印象的なのが、
“ヴァイタートリンケン weiter trinken”というフレーズ。
さらに次へと呑みたくなる、
何杯飲んでも飲み飽きない味わい。
醸造家がこだわり、挑み続けてきた目指すところが、
このフレーズに収斂されている。
そのこだわりが辿り着いたもののひとつが、
ダイヤモンド麦芽。
齧って美味しく、まさにビールのつまみにも最高(笑)。
ビール大国のチェコで主に産出される、
希少な伝統種の系譜を受け継ぐというそのダイヤモンド麦芽を、
粒選りの二条大麦麦芽に適量かつタイミングよく加えることで、
旨味を湛えたより深いコクを実現している。
ダイヤモンド麦芽が、
コクに寄与するたんぱく質を豊富に持っていることが、
「プレモル」の味わいの源泉のひとつなんだ。
そして「プレモル」のあの華やかな香りを届けてくれるのが、
醸造家自らが足を運んで厳選したという欧州産アロマホップ。
その中でも”ファインアロマホップ”と呼ばれるヤツが、
随分といい仕事をしてくれるという。
さてさてガイドツアーご一行様は、
バスの中から見上げた硝子張りの大空間へとやってきます。
前回お邪魔した時には貼られていなかったであろう、
The PREMIUM MALT’Sと示す硝子面の大きなシート文字越しに、
東京競馬場のスタンドの一角が望めます。
「プレモル」の心地よい苦味と華やかな香りは、
単に厳選したアロマホップを使用しているからだけのことではなく、
麦汁煮沸の際にアロマホップのみを用い、
仕上げにファインアロマホップを使う、
“アロマリッチホッピング”と呼ぶ製法が寄与している。
仕込槽の麦汁の一部を仕込釜に移して、
煮出decoctしたものを槽に戻すことで、
より濃厚な麦汁を作り出す作業を二度繰り替えす、
“ダブルデコクション”製法が、
「プレモル」の深~いコク味の秘密なのだ。
特別に覗かせてくれたのが、ミニブルワリー。

ミニブルワリーを持つ商品開発研究部を工場内に擁して、
開発と生産が一体となり相乗してこだわりを深めるこの工場から、
“プレモル”が生まれたのであります。
なので「マスターズ・ドリーム」もここで作られているものと、
そう思い込んでしまいました(汗)。
前回の見学の際にここも印象的だった、
貯酒タンクのゲート前。

丸く包んだ金属の質感と大きさがよく判ります。
新しい「プレモル」は、
より雑味がクリアになった気がするのは、気のせいでしょか。
雑味のもつ魅力の程はさておいて、
華やかな香りと深いコクがすっきりと愉しめる、
新しい「プレモル」は、そんなビールに仕上がっていると、
かように思う次第であります。
缶製品の工場ですもの、
こんな光景も外せないところ。
もう少し間近で眺めたい気もする。
こうして俯瞰してみていても永らく眺めていられそうな、
そんなガイドツアー最終コーナーです。
さてさてもういい加減喉も渇いたしというタイミング(笑)。
いつぞやの試飲ホールに辿り着く。
テーブルを覆っていたのは、旧い釜の部材を傘にしたものだったのかと、
今頃気づいたりなんかして。
一斉に注がれるお待ち兼ねの新プレモルたち。
これがアロマホップにファインアロマを盛っての香りか!とか、
これが二度も麦汁煮出して手間かけて深めたコクか!
なぁんて思いながら、くーーっとひと口目。
後はそんなことは考えずにただただ感じるままに、
愉しむようにグラスを傾けます。
新プレモルは、缶のデザインが刷新された。
女性のウエストをモチーフにしたかのような、
艶やかな曲線がいい感じです(笑)。
その名も改めた「天然水のビール工場 武蔵野ブルワリー」は、
新プレモル登壇に揃えてちょっぴりリニューアル。
新プレモルが何故に美味しく香りが華やかなのか、
不思議に思っている方もおられるでしょう。
美味しさのその訳を体感するに一番手っ取り早いのは、
案外ここ武蔵野ブルワリーまで、
わざわざ足を運ぶことなのかもしれませんよっ。
「武蔵野ブルワリー」
府中市矢崎町3-1 [Map] 042-360-9591
http://www.suntory.co.jp/factory/musashino/

