
何気に滔々と流れる隅田川。
その隅田川を新川から渡るのが永代橋。
通りを永代通りと呼ばせているのは、
勿論この橋を通るルートであるが故でしょう。
新川二丁目から鍛冶橋通りを辿り、
永代通りとの合流点を目指して、
ちょっと足を伸ばします。
スカイブルーに塗られた永代橋の躯体。
滑らかな公算曲線を描くアーチの、その端部の表情もまた佳い。
塗料に塗り込められたリベットの頭が連なり、
所々に錆が浮いている。

永代橋では、朝夕の渋滞の緩和のため、
リバーシブルレーン(可逆車線、中央車線変移)が実施されている。
アーチの下に5つの丸ペケ信号が並んでいるのは、
そのための可変標識板なのです。
対岸の門前仲町に向かって右手を望めば、
佃島のタワー群が見渡せる。

ケーブルが放射状に伸びているのが中央大橋だ。
左手を振り返れば、川面の向こうにスカイツリー。

日本橋橋上ほどではないけれど、
この景色に高速道路はいらないね(笑)。
そこからさらに左手手前を眺めると、
白いフレームの橋があり、何艘かの船が繋留されている。

その護岸の上にちょっと覗いている硝子の囲いが、
今日のおひる処なのであります。
雑居ビルの裏手に廻ると、木立の先に立つ建物。
そこにはなんともカッチョイイ自転車たちが並んでる。


ロードバイクやMTB等々の販売、修理などを行っている、
「Mile Post Pro Cycling Shop」の店先だ。
そしてその左手の壁には小さく「Cafe」のサイン。

黒塗りの硝子扉が、Shopの二階にある「Mile Post Cafe」への入口になっています。
階段を上がった二階では、
カウンターと同色の厚手の木の大テーブルがお待ちかね。

そのテーブルの一角でも充分居心地よく過ごせそうですが、
そこはやっぱり、隅田川に面したテラスへと進みましょう。
川に正対するかたちでカウンターが設えられている。

足元に小さな電気ストーブも用意されているけど、
なくても大丈夫な晴天が嬉しい。
右手を見れば、さっきの永代橋のスカイブルー。

水上バスの竜馬号が河口へ向けて下ってゆきます。

ランチメニューは、4種類のカリーセット。
散々悩んで、「お豆カリーセット(中辛)」をお願いしました。

届けてくれたトレー越しに、また別の水上バスが墨田川を溯上してく。
麦酒を呑みたい気分をじっと堪えます(笑)。
焼き立てのナンに添えていただく、カリーは右の本格派。

辛さほどよく、過ぎるスパイスの風味にさらっとしたコク味。
そこにお豆あれこれの甘さが零れる。
ナンの下からは、サフランライスがこんにちは。

カウンターの中にインド系の料理人おふたりの姿を認めていたので、
なんだか納得の美味しさです。

ご馳走さまをして、先程眺めた白い橋の方へと寄ってみると、
その橋は、中央区民文化財であるところの豊海橋(とよみばし)。
現在のものは、昭和2年(1927年)に竣工したもので、
梯子を横に倒したような外観のデザインは珍しく、
フィーレンディール橋と呼ばれる様式であるらしい。

日本橋川を渡る梯子の間から隅田川への流入部辺りを眺めたら、
その先にぽっかりと月が浮かんでいました。
スポーツバイク専門店に附帯のカフェにして、
隅田川を眼前に臨むテラスも自慢の「Mile Post Cafe」。

ちなみに、テラスから眺める永代橋は、元禄11年(1698年)に、
江戸幕府5代将軍徳川綱吉の50歳を祝して架けられたもので、
文化4年(1807年)には、深川富岡八幡宮の12年ぶりの祭礼日に詰め掛けた、
寄せる群衆の重みに耐え切れず、死者・行方不明者は実に1400人を超す、
歴史的な落橋事故を起こしたという。
落語にもその事故を題材にした「永代橋」という噺があるみたい。
国の重要文化財(建造物)に指定されている現在の橋は、1926年(大正15年)、
関東大震災の震災復興事業の第一号として再架橋されたもののようです。
そうそう、隅田川はフランスのセーヌ川と友好河川の提携してるそうですよ。
「Mile Post Cafe」
中央区新川1-20-6 [Map] 03-5542-7072
http://www.milepost.jp/
column/03485