住宅地に折れ込んだところが、本格手打うどんの店「満月」。建物の横手には、歴史を感じさせるトタン張りの下地にペンキで描いた看板。 予想通り、空席を待つひと達の姿がみつかります。
その先の奥の、自宅と思われる建物の前には庇があって、 そこにはオープンエアでうどんを啜れるテーブルが一卓。季節のいい頃にはこんなテーブルを囲んでうどんを啜るのもいいね、いいね。
と、名前を呼ばれて、カウンターの隅へとご案内。 「糧うどんのお品書き」を見詰めます。 「カレーつけ汁」とか「ごまつけ汁」とか「トロロつけ汁」。 そして、うま辛ラー油添えと謳う「満担つけ汁」なんてのもある。 “時々あります”な「季節のつけ汁」も気になるなぁ。
でもでも、ご注文は決まってる。 「肉汁うどん」をたっぷりと大盛りでいただきます。 並盛りが二玉で360g、大盛りは三玉。 これから茹でますので、ということでのんびりと待つことにいたしましょう。
どーん!てなボリューム感で鉢に盛られたうどんには、 湯掻いた菠薐草やキャベツ、モヤシなんかがトッピング。これが”糧”うどんたる証です。
つけ汁の肉汁も南瓜やお揚げを浮かべた具沢山。単に豪勢にしている訳ではなくて、 ここにも”糧”を盛る気持ちが現れているようで有難い。
力強い量感のうどんをじっとみると、所々に全粒粉を思わせる表情がある。 むんずと箸に載せて、具沢山肉汁にたっぷりと浸し、急くように啜ります。
ああああ、美味い。 粉の甘み旨みが嚙むほどに溢れ、そこへツユの出汁が世界を広げる。 こうでなくっちゃね!と思わず膝を打つ感じ(笑)。 小手指「たつみや」の”はじッ娘”よろしく、手打ちならでは幅広部分もちょっと違った歯応えで愛らしい。
うどんを啜り終わってからもさらに有難いのが、うどんのゆで湯の提供があること。折角の出汁の利いたツユを最後までいただけるってな寸法で。 そしてそれは、盃横丁の「なか屋」で審らかになったように、 地粉だけで手打ちしていることの証明でもあるのです。
美味しくいだけばやっぱり、お土産うどんを買わずにはいられません。 生うどんにもしっかり、端っこ、が入っているのもまた嬉しからずや。
月満ちてうまれた名代、武蔵野うどん「満月」。壁に貼られた便箋にはこうある。 村山では昔より、人寄せの時うどんを食す習慣がありました。 そのうどんを先代が試行錯誤してつくり上げたのが村山名代の「満月うどん」です。 先代の味を受け継ぎ、ひと品ひと品心をこめておつくりいたします。 武蔵野うどんを味わい愉しむ、基準となるようなお店の一軒にまた出逢えました。
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「満月」 武蔵村山市三ツ木1-12-10 [Map] 042-560-3559 http://www.mm-udon.com/
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