
それは水無月の末の頃。
商店街・戸越銀座の東端にある蕎麦処、
「翁」にお邪魔した帰り道。
銀六会エリアの通り沿いで、
古の黒塗りビートルに気がついて足を止めました。
近づくと、ビートルの横や後ろに開店を祝う花が幾つも飾られているのが分かる。
オープンし立てのお店のようです。

既に灯りを落とした店先にあったパネルを見るに、
通りかかった日の前日がオープン日だった模様。

平日は12時-15時のひるの営業のみ(当初)で、それゆえもう灯りが消えている。
近々お邪魔してみようと振り返りつつ、第二京浜方面へと戻ったのでありました。
早速、その週末の戸越銀座。
祝花を横目に、古民家風硝子戸をガラガラっと開ける。



まだ、初々しい雰囲気も漂う店内には、古材を用いたカウンター。
なんだか居心地良さそうです。

ひるのビールをまずいただいて。
真新しいメニューに載る「今週末のおつまみ」に牡蠣ネタを見つけて、
早速お願いします。

白ワインも似合いそうなのは、「牡蠣の燻製油漬け」。
丹後・久美浜湾産のふっくらした牡蠣の燻製油漬け、とある。
固くならないよう油漬けした牡蠣に凝集した旨みと燻製の香気が纏います。
牡蠣でビールを干した頃、「カレーライス」のお皿がやってきた。

「CURRY & SONS」オリジナルの、顔となるカレー。
ゴテゴテ色々と飾ってしまったカレーも少なくない中、
白いライスとカレーソースのみの潔い姿勢が印象的であります。
キーマらしく挽肉由来の香りも勿論するものの、
沢山の野菜の旨みを含むブイヨンが綺麗にそそるソースがいい。

動物性の旨みも多層的。
シンプルにみえて、贅沢なカレーにカッコ良さが宿っているような気がします。
盛夏を跨いで、ふたたび訪れたのは、平日の夜。
6月のオープン後暫くしてから、一旦営業を止めていて、
その後、営業時間帯を金・土・日曜日の昼、そして夜と切り替えて再開していたのです。
やっぱりビールをいただいて、お供に「アンチョビマッシュポテト」。

ポテトサラダ、とせず、
アンチョビと合わせたものに仕立てたところに、ちょっとした粋を想います。
カレーを前にして、なんだかさらに食欲増してきて(笑)、
「牛すじのチリトマト煮込み」にも触手を伸ばします。

丁寧にコトコトした様子が思い浮かぶ、
牛スジの旨みがしみじみいただけるスープです。
調子に乗って、シャルドネのハウスワインのグラスもいただいて、
以前はなかったメニュー「旬の揚げ野菜のマリネ」を。

万願寺と思う唐辛子にパプリカ、人参に南瓜、そしてゴーヤの素揚げ。
そこへ垂らしたバルサミコの酸味風味がいい按配であります。
そして、〆でメインのカレーをいただきましょう。
今宵は、数量限定「なめらかなルウのカレーライス」を所望します。


オリジナルのルウにさらにひと手間掛けた、と謳うカレー。
さらに濾して、加えて等々を施したカレーは、
濃度を増しつつよりするっと滑らかに。
ふと、「ラ・ソース古賀」を思い出したのは、
このお皿に力みのない実直な魅力を感じたからかもしれません。
いいね、マスター、美味しいです。
強いて云えば、もうちょっとご飯は固めに炊いたのが合うと思うし、好みかな(笑)。
戸越銀座・銀六会エリアに誕生した、
BEERとWINEとおつまみにオリジナルなカレーが控える「CURRY & SONS」。

人生の後年を大好きな厨房と仲間が集うようなカウンターで過ごしたい。
きっとあれこれ趣味の広いであろうマスターが、そんな風に想い、そして実現したお店。
お店の成り立ちを勝手に、そんな風に想像を巡らせたりしています。
口 関連記事:
フレンチからのワンプレート「ラ・ソース 古賀」 でソースキュリー(05年08月)
「CURRY & SONS」
品川区豊町1-4-18 [Map] 03-3781-8320
http://www.curryandsons.com/
column/03310