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「EAST CONTENTS CAFE」でビーフペッパーライスとジョンソンタウン稲荷山公園の桜

ブルーインパルスがハートを描く「入間航空祭」でも知られる航空自衛隊入間基地。
1937年(昭和12年)に、所沢飛行場内に設立された旧陸軍の航空士官学校が、翌年現在地へ移転したのが基地となる起点で、終戦後は進駐したアメリカ軍により「ジョンソン基地」と改称された。
1958年(昭和33年)の中部航空方面隊司令部設置とともに航空自衛隊入間基地が発足。
それから20年後の1978年(昭和53年)9月の全面返還をもって、
漸くジョンソン基地が解消された。

そんな入間基地の北門前にあるのが、
埼玉県営 狭山稲荷山公園。
全面返還前の1973年(昭和48年)に、
米軍から一部返還された基地跡地を整備した公園で、
2002年(平成14年)から県営公園となっている。
西武池袋線の稲荷山公園駅の目の前だ。

公園敷設の小さな駐車場にクルマを停め、
早速公園内をゆっくりと散策する。 入間基地発足の頃にはもう植えられていたのか、
幹の太い、高さも貫禄も十分の染井吉野が、
園内にゆったりと配されていて、いい。
きっとこの週末には賑わったことでしょう。

桜満開の稲荷山公園から行政道路へ。 嘗ての米軍基地の名を冠する、
「ジョンソンタウン」へやってきた。

Webページによると、
陸軍航空士官学校や飛行場を米軍が接収し、
ジョンソン基地となった後、
朝鮮戦争勃発に伴う基地増強によって、
米軍属用の住宅が不足した際に、
嘗て陸軍航空士官学校の将校用住宅を建設し、
陸軍に貸与していた場所(=磯野住宅内)に、
要請により米軍ハウス24棟を建設したのが、
「ジョンソンタウン」のはじまりだという。

基地の全面返還により米軍属が撤退し、
空き家になった米軍ハウスに、
日本人が住み始めるも、
荒廃化し、スラム化が進んだ。
平成に入ってから「磯野住宅」の復興が検討され、
建築基準への適合を含めて、
米軍ハウスとはやや仕様の異なる、
「平成ハウス」が順次建築されることとなり、
本格的に磯野住宅の復興が開始した。
2009年(平成21年)には、
「磯野住宅」から「ジョンソンタウン」へ改名し、
商標登録を行って、今に至る。

なので、よく観察してみると、
瓦屋根の米軍ハウスを修繕したものと、
米軍ハウスの雰囲気を継承・踏襲しつつ、
屋根はガルバリウム鋼板とするなど、
比較的チカゴロ仕様の平成ハウスとが、
タウン内に混在しているのが分かる。

そんな経緯の「ジョンソンタウン」。 多少の凸凹や歯抜けはあるものの、
アメリカの郊外の街並はきっと、
こんな景観なんだろなーと想わせる、
そんな場面が随所に残されていて、いい。

ジョンソンタウンのおひる時を、
何処で過ごそうかと散策して見付けたのが、
タウン内の奥側にある、
その名も「EAST CONTENTS CAFE」だ。 錆の出た自転車の脇に立て掛けられた、
べニアにペンキ塗りの看板が、いい。
並ぶ文字はきっと切り抜いた型枠に、
シュッとスプレーで描いたのではないかな。

ストリートに面した北側に、
木板張りのテラスがある佇まい。 ここでタウン内の街並みを眺めながら、
麦酒をやっつけたいなーと思うも、
ここまでの足は専らクルマなのだ。

屋根の材料をみるとガルバリウム鋼板なので、
この建物は所謂米軍ハウスではなく、
基地返還後に建てられた、
平成ハウスということになる。 それでも、たっぷりかつ十分に、
アメリカンな雰囲気を発揮しているね。

STAFF ONLYの階段の前のテーブルに座り、
硝子越しの街並みを眺める。 お向かいの建物は瓦葺きで、
こちらは米軍ハウスだという。

註文の後はしばし、フランクな内装や、
アメリカンな調度品を眺める。 壁のモニターでは、映画「トップガン」が、
おそらくループ状態で流されている。
酒瓶やらなにやらを収めた木箱が、
コカ・コーラのものではなくて、
7UPのものというあたりにグッとくる(^^)。

ちょっと失礼してカウンターの方へ回り込むと、
コーナーにジュークボックスが鎮座。 その並びには、縦長のスピーカーやギターたち。
Ovationらしきフォルムのギターが、
なんだかちょっと懐かしい。

壁に掛かっているミラーには「HAIG」のロゴ。 スコッチウイスキーのビッグ5に数えられたのは、
Johnnie Walker、White Horseに、
Dewar’s、Black&White、そしてHAIG。
どれも懐かしい銘柄になってしまったね。

L字のカウンターには、
古色も味のベージュの止まり木。 腰壁のペンキの剥げ具合が、いい。

セットのドリンクは、ジンジャーエール。 相棒は、アイスダージリンティー。
出来れば、7UPもラインナップして欲しい(^^)。

ご註文は、ランチメニュー筆頭の、
「ビーフペッパーライス」。 湯気とともに鉄板がやってきて、
同時に少し焼けた醤油の匂いに胡椒の香り。
セルクル型のライスのトップには、
ミックスベジタブルとバター。

薄切りビーフに絡んだソースが、
すっきりとしつつ甘じょっぱい感じで、
それがビーフの脂と馴染んで、いい。 自ずと次々とフォークの先を動かされ、
その裡に胡椒の風味にも、
背中を押されていることに気付いたりする。

相棒のご註文は、「デミオムライス」。 それは、どこにも遜色のない出来栄え。
あ、もっとデミグラスがたっぷりだったら、
もっといいかもね(^^)。

およそ裏を返すように出掛けたジョンソンタウン。 いつかそのバックバーを眺めながら、
懐かしのスコッチウイスキーのグラスを傾けたい。
その前にテラスで呷るのは、
近頃とんと見掛けない瓶のBudweiserか。

この日のご註文は、「イーストビーフステーキ」。 「ビーフペッパーライス」と同じ鉄板に、
こちらも美しき配置とそのバランスで、
ビーフなステーキと付け合わせが載る。

ガーリックチップの載る景色を愛でてから、
徐に右手にしたナイフを動かす。
ナイフの刃をすっと受け入れて切れる心地良さ。 「ビーフペッパーライス」と同じ様子のソース。
胡椒風味が控えめな分、甘じょっぱさが利いて、
ビーフそのものの旨味を呼んでくる。
あれれ、期待以上だ(^^)。

こんな時、平皿のライスをフォークの背に、
押し付けるようにして食べる習慣はきっと、
その昔、雑誌「Hot-Dog PRESS」あたりで、
正式だとは知らずに読んだからに違いない。
ああ、恥ずかしいぃ(^^)。
でも、案外合理的じゃないかと思うんだ。

その昔、ジョンソン基地とも呼ばれた、
航空自衛隊入間基地近くの行政道路沿い、
ジョンソンタウン内の奧寄りに、
「EAST CONTENTS CAFE」は、ある。 アメリカの何処かに、
同じ名のカフェであるのかなと、
店名にある”EAST CONTENTS”の、
意味や由来を訊ねてみた。
するとそれは、なんとも素朴なことだった。
“EAST”はジョンソンタウンが所在する、
東町の”東”からきているのだという。
ただ、そこへ”CONTENTS”を添えたところが、
アメリカンな風情を漂わせて、かつ、
ちょっと意味あり気で、いい感じだ。
店を立ち上げてから17、18年が経つと云い、
割りと入れ替わりの激しいタウンの中で、
今や最古参になっているご様子。
一部を除いて、タウン内の土地・家屋は、
法人化したおひとりのオーナー(磯野商会)が、
所有・管理しているそう。
ご高齢と聞く現オーナーが世代交代した際にも、
今と変わらず、妙な方向の観光地化をせず、
このかけがえのない風情を上手に維持し、
出来ればよりよい景観に整備してくれたのなら、
よりいいなぁと思っています。

「EAST CONTENTS CAFE」
埼玉県入間市東町1-7-3 平成ハウス15 [Map]
04-2937-4710
http://www2.tbb.t-com.ne.jp/eastcontents/

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