
珍しく東横線は祐天寺の改札で待ち合わせ。
あちこちの駅で改修の進む東急沿線だけれど、
ガランとしたホームや階段廻りにみる景色は、
以前からの祐天寺駅のまま。
エレベーターが設置されたのが新しいくらいかな。
改札前に古本屋が幾つものワゴンを広げていたり、
その脇からたこ焼きの匂いが漂う感じもいい。
今夜の目的地は、そんな祐天寺駅から目と鼻の先。
東口のロータリーを左手に回って、さらにそのまま左に折れた辺り。
そう、自ら”祐天寺名物”と謳う、あの店に突撃しようというのです。
それは、鉄道ムードのカレー店、ご存知「ナイアガラ」。


店先に何気なくもデンと構えるには、かのD51の正面顔。
赤いシグナルと矢印を点けた黒黄縞模様の警報機。
店の前は幾度となく通ったことがあるけれど、
改めてじっと眺めると、蒐集した標識類をはじめとしたアイテムがぎっしり寄り添っていて、
うん、微笑ましい。
ドア硝子越しに駅長の姿を認めつつ、そのドアを開ける。
券売機が目に止まり、カツカレーかなぁと券売機がコインを投入しようとするも、
どうやら硬貨の受け入れが巧くいってないようで、
そのまま駅長にお金を手渡します。
あ、ビールやコールスローもお願いします。
案内された一番奥右手のボックス席から店内をキョロキョロ(笑)。



駅長が永い歳月をかけて蒐集した鉄道アイテムたちがぎっしりと、
雑然としているようで、でもどこか整然とした不思議な配置で掲げられています。
あの時計も駅構内で使われていたものだよね。
いいな、いいなぁ。
ビールよりも先に駅長からいただいのが、厚紙が懐かしい切符。

まだパンチは入っていません。
ビールのちょっとしたアテに美味しいのが「コールスロー」。

刻んだ野菜たちのクタっと具合とたっぷりめのドレッシングの取り合わせがいいのだ。
出発進行ぉ~!

そんな喚呼が聞こえたかと思ったら、
すぐ脇にあったトンネルの奥からトーマスがトコトコと顔を出した。
パーシーの後ろに連結された貨車に乗ってきたのが、
相方ご注文の「フランクカレー」。


極辛の”超特急”でお願いしたゆえ、カレーのソースがちょと赤い。
まるでウインナーの赤を照らしたみたいだね。
続いて、「カツカレー」もやってきた。

こちらの辛さは、”特急”で。
固形ルーを使ったおウチカレーの範疇に収まるお皿ではあるけれど、
なんだかそれがノスタルジックな気持ちを誘うのだね。
何処かで見覚えのあるボックス席。
角にグリップのある背凭れ越しに、古の駅名標の列を眺める。


トーマスやパーシーがトコトコ走っているレールをじっとみると、
これがなかなかのリアリティ。
55mmゲージってことらしいのだけど、
そのあたりは、
鉄ちゃんではないけどなグヤ兄さんに今度訊いてみよう。
昭和38年創業、祐天寺駅の顔の一角、鉄道ムードのカレー店「ナイアガラ」。

きっと何度も繰り返し問われたことなのだろうなと思いつつ、
駅長に何故に「ナイアガラ」って店名にしたのですかと訊ねると、
我が意を得たりとばかりに嬉々として、慣れた早口で説明してくれました。
理由が幾つもあって、あんまり早くてすべてを覚え切れなかったのだけど、
アメリカの大陸横断鉄道に「ナイアガラ」型と呼ばれる蒸気機関車があったことと、
誰もが知っている「ナイアガラ」の滝のように皆に知られ、その溢るる水量の滝のように枯れることなく繁盛するように、という想いを肖ってのことだそう。
駅長の姓、内藤の”ナイ”と「ナイアガラ」の”ナイ”にひっかけただけ、というような話もされてたような、訊き違いのような(笑)。
2013年に創業50周年を迎える「ナイアガラ」は、
この年明けから移転のための休業期間に突入して、
3月初頭に祐天寺1丁目の創業地にて新装開店するそうです。
「ナイアガラ」
目黒区祐天寺2-1-5 高坂ビル [Map] 03-3710-7367
http://www.niagara-curry.com/
column/03326