column/02202
やきとり「忠弥」で 旨いハラミほっぺ大串焼ぺてん特製カクテル
開店時間らしき4時過ぎに店の前を通るとまだ暖簾は出ていない。
ひとまず中延スキップロードをぐるっとしてから、再び中延駅近くの路地へと戻ると、お、営業開始ですね~。
新参モノはと一旦右端の丸椅子に腰を下ろしたものの、品書きがまったく見えない位置だと判って、焼き台前へと移動します。まずは瓶麦酒をお願いしつつ、頭上の品書きを凝視。
焼き台前の大将は、ニッてな笑顔でこの小さなメモに注文を書いておくれと促してくれる。
端からいただいちゃおうかな。
お~、「ハラミ」がいきなり旨ひ。旨味汁がじゅわんとね。
「はつ大串焼」はコリムニっとした歯応えが醍醐味。
「タタキ」はつまり、つくね。
ぎゅぎゅっと詰まった挽肉がしどけなく解けて、一気喰い。
「ほっぺ大串焼」も大きくて、噛み応えと脂の魅力が両立しているぞい。
再び品書きを見上げている間にも、ぞくぞくとお客さんが入ってくる。
と、その中のひとりに向って大将が云う。
「今日は帰りな!」。
ん?っと思って入口を見ると、なるほど完全にアル中だと思われるオッチャンが所在無く立っている。
お店のスタッフ全員が宥めすかすようにでも敢然と口々に「今日はやめとけ」をコール。
仕方なく帰っていくオッチャン。
可哀想だが我慢しなきゃな、というのを決して切り捨てるようなことなく伝えているんだね。
そうして5時には全席が埋まるのであります。
オヤジなやきとり屋さんの定番「特製カクテル」に切り替え、同時にいただいた「煮込」がこれまた旨くって、堪らん。残ったスープはまるで博多長浜で啜ったとんこつスープのようで、極細麺を投入したい感じ(笑)。
「ぺてん」とは、店奥の壁に掲げられた「やきとり談義」によると「頭肉」のこと。
右手中程でカクテルをお代わりしているお爺ちゃんが大将に話しかける。
「ココへ通って40年になっちまったよ」「今でも中延に恋人がいるって云われているんだ」。
応えるように大将が、「そうだねぇ、もうここを始めて50年だもんね」「開店来通ってくれてるのもいるよ」。
「カタロース」を齧り乍ら、焼き台の上の手際と鉛筆を鉢巻の横にすっと挿し戻す大将の所作が鯔背だなぁと見入ってしまうのでありました。
「忠弥」 品川区東中延2-10-9 [Map] 03-3783-2257