
いつまでもあると思うな…。 そんなことを呟き乍ら、足はその先へと向かっていました。 俗に云う、”ねぎしの交叉点”を旧き銀座通り方向へと渡り、すぐの脇道を右へ折れる。 鄙びた中華料理屋を横に進むと路傍に水色の看板が見えてくる。 看板にはこうある、”所沢名物焼だんご”。

そして、ここ「奈美喜屋」も老舗焼きだんご屋のひとつ。 以前は、今のダイエーの並びの茶舗「丸政園」の脇で炭火で炙った煙と芳ばしい匂いで誘う、 人気の焼きだんご屋台だったのだ。 どうも追い出されるように立ち退くことになったらしいけど、 その後今の住居兼店舗で営んでいる。

店の中でおだんごをいただいたことは、今までなかった。 お遣いの女性の背中越しに訊いてみる。 中ででもいただけますか?
頷くオヤジさんに従って、古びた椅子が数脚並べられた扉の中へ。 雑然としている感じは、やっぱりテイクアウトがほとんであることを教えてくれます。 持ち帰る分と頂く分とをお願いしました。
炭のご機嫌を窺ってから焼き台に団子を載せる。 馴れた手付きで紅い団扇をそよそよっと力まず扇いでだんごに焼き色をつけてゆく。

湯気をあげる焼き立てにだんご。

持ち帰りすると温める直したりすることが多くて醤油の風味も控えめになるけれど、 焼き立ては醤油がキリッと利いている。 叩いた米の表面を極く薄い膜が覆っていて、それが歯の先で弾けます。 うん、素朴に美味い。
焼きだんご一筋60年、所沢名物焼きだんご「奈美喜屋」。

「奈美喜屋」 所沢市御幸町6-5 [Map] 04-2922-7512
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