ポルトガル料理店「KOFUKU」で干し鱈コロッケ錦雲豚浅利スパイス煮込みとホルトの木

山荘無量塔アルテジオでの大橋トリオのライブを主目的にして訪れた、由布院・別府への旅の第四日目。
ひっそりとした北部旅館街に潜む割烹「美伊」を三年振りに訪ね、大将の繰り出す料理たちお酒たちに大満足した夜が明けて、世話になったリノベーションホテル「HAJIMARI Beppu」を離れた。

駅西口で車を借りて向かったのは、国道10号線。
海沿いを走り、今日は猿、出場しているかなぁと、
そんな話をし乍ら高崎山を見上げては、
水族館「うみたまご」の前を通り抜ける。
平仮名で”かんたん”と書く交叉点を右折して、
県道696号高崎大分線を往く。
地名「かんたん」は「菡萏」と書くらしい。

所々で大きくカーブしながら登ってきた先に、
漸く辿り着いたのは、
豊後の國の一の宮「柞原(ゆすはら)八幡宮」。 西門を登っていくとちょうど、
七五三のお参りで訪れたらしき、
ファミリーの姿があった。

柞原八幡宮のWebページには、
827年(天長4年)、延暦寺の名僧・金亀和尚が、
宇佐神宮の参篭にて神告を蒙り、
柞原山に勧請したのを当宮の創設起源とする、
とある。
誉田別命、帯中日子命、息長帯比女命を御祭神とし、
「厄除・開運の神、諸産業の守護神」として、
崇められている、という。

回廊に上がり拝殿にてお詣りする。
拝殿に正対すると楼門を背にする格好になるも、
その楼門は長らく開いていないようにも見える。 御朱印帳を受け取ってから、西門から出て、
その楼門の表側まで回り込んでみる。
楼門へ向けて長い階段が足許にあるけれど、
かなり急で、踏み面が狭く、全体に苔が張る。
階段はずっとずっと下の方から伸びているも、
普段使われていないように見える。
楼門へ向かって左手に直進して西門に至る、
そちらの階段が常用されているみたいだ。

宝物殿の向かい側に建てられている案内板で、
柞原八幡宮の歴史由来を読み眺めていると、
さっき見下ろした階段の先には、
南大門と呼ぶ門があると判った。 その手前に鳥居があって、と眺めていると、
なんと、その近くに大分市銘木「ホルトの木」と、
書かれてあるではないか。

「ホルトの木」になぜ反応したかというと、
この旅の主目的だった、
大橋トリオの今回のライブで、
楽曲「ホルトノキ」が演奏されたから。
曲は聞き覚えているものの、
お恥ずかしながら、
「ホルトの木」がなんたるかを知らず、
一の宮巡りで偶々訪れたお宮さんで、
その言葉に出逢うことになるとは、
思ってもみなかったからなのであります。

ふたたび車に乗り込んで、来た道を下り、
その道と参道とがちょうどY字のように、
分岐する辺りの駐車場に停める。 手水舎を右手に見乍ら階段を上がり、
その奥に朱い鳥居を認めつつ登っていくと、
右手に広く大枝を広げ胴回りも立派な、
樹高の高い木を見上げる格好になる。

大分県特別保護樹木でもある「ホルトの木」。 ホルトの木は、なんと樹齢400年。
樹高25m、幹周4.8m、根廻り6.4mであるらしい。
足許の案内板には、時は享禄から天文の頃、
豊後国主の大友宗麟が盛んに外国船を引き、
神宮寺浦において外国貿易を営んだ際に、
ポルトガル人が持ち込み、移植したもので、
そのことから「ホルトの木」と名付けられた、
との旨が書かれている。
「ホルトノキ」を作詞した作詞家のmiccaさんも、
この光景を見たことがあるのだろうね、きっと。

そんなサプライズなこともあった柞原八幡宮を離れ、
向かったのは、お久し振りの大分駅北側の府内町。
郷土料理店「こつこつ庵」の佇まいを、
懐かしく眺めてから、府内五番街商店街の通りへ。 通りに沿ってずずいっと建つ若竹ビルの一角に、
あまり見慣れない図柄のフラッグが風に揺れる。
旗の2/5に緑、3/5に赤の縦二色に、
国章の主要部分を配したフラッグはそう、
ポルトガルの国旗なのであります。

店頭の黒板メニューには、
国産鶏肉のトマト煮込みや国産スペアリブのロースト、
海の幸雑炊トマト風味、マデイラ島名物肉の串焼き、
といった文字が躍る。 なんかその文字たちに味があって、いい。

遅くなりましたと予約の名を告げる。
明るくゆったりした第一印象の店内だ。 左手の厨房を横を抜けるように案内いただくと、
奥の突き当たりにもテーブル席があった。
こっちは表側と違って籠った感じもあって、
夜に来たなら、
腰を落ち着けて呑んでしまいそうな、
そんな雰囲気がある。
でも、残念乍ら真っ昼間だし、車だし(^^)。

土日祝日のランチメニューには、メインが6種類。
黒板にもあった「マデイラ島名物お肉の串焼き」には、
天恵美豚、なでしこ姫鶏、和牛のモモ肉と用意があり、
なかなか豪快そうで気になるものの、
もしかしたら豪快過ぎないかと、
妙な心配が頭を擡げる。
うん、別のメインにしよう(^^)。

まず前菜としてやってきたお皿にふた品。 干し鱈とヒヨコ豆のレモン風味サラダ、
「バカリャウ・グラオン・デ・ビコ」に、
干し鱈とジャガイモのコロッケ、
「バスティス・デ・バカリャウ」。
バカリャウが、塩漬け天日干しの干し鱈のこと。
繊維質の食感に塩味と香りを添える効果か。
こんなふわふわなコロッケだったら、
たーくさーん食べられてしまいそう。
そう云えば、ポルトガル料理って、
干し鱈使いにも長けていると、
西麻布にあった「Vila Madalena」で、
そう思ったことをふと思い出す。

お次のお皿が来るまでの時間で、
卓上のワインリストを散策する。
デザートワインの項に続いて、
マデイラワインのページもあって、
大航海時代、ワインを積んだ船が赤道近くを航行し、
熱によって美味しく熟成したのが、
マデイラワインのはじまり、とある。
シェイクスピア、ナポレオン、G・ワシントン等の、
数々の偉人にも愛された”絶世の美女”とも。
でも、マデイラワインの”マデイラ”って、
マデイラ諸島の”マデイラ”、だよね。

温度管理しないままでワイン傷まないのかなぁ、
大瀧詠一と松本隆の「カナリア諸島」の近くにあるのが、
マデイラ諸島なんじゃないかなぁ、
などと話しているところにスープがやってきた。 それは、南瓜とレモンバームのポタージュ。
お皿が届いた瞬間に、わわわとレモンバームが香る。
見た目の倍以上、さっぱり爽やかなポタージュ。
うんうん、美味しいぃ。
レモンバームって、スープにも使うんだね。

続いて、蒸し鶏を含んだサラダ。 クミン香るラペに赤キャベツに、
サラダに牛蒡というのも面白い。

相棒の手許にデデンと届いたのは、
干し鱈とジャガイモのクリームグラタン、
「バカリャウ・コン・ナタス」。 オーブンの焦げや麗しく、みるからに熱々。
フーフーしているところをみるとやっぱり熱々。
あ、でも、しっとりとして優しい味わいだ。

そしてこちらの手許にドドンと届いたのは、
錦雲豚のバラ肉とアサリのスパイス煮込み、
「カルネ・デ・ポルコ・ア・アルンテジャーナ」。 もっとスープスープした感じかと思ったら、
がさっと積んだ食材たちの嵩がたっぷりとある。

お皿を上から覗き込むようにすれば、
んんんー、うん、スパイシーないい香り。 お皿の底の方からスープを啜ると、
浅利由来か、塩っ気はちょっと強め。
筋斗雲ならぬ錦雲豚とは、
福田農園のWebサイトによると、
大分県中津市の耶馬日田英彦山国定公園の、
広大な緑あふれる大地にある農場で、
豚にストレスを与えない飼育方法の下、
餌にお米を使って、豚を育てているという。
うんうん、肉厚にカットしても柔らか旨い豚肉だ。
自家製ポルトガルパン「パオン」を齧りつつ、
お皿の全容を平らげる。
こんなに沢山浅利を一度に食べるのって初めてだ。

そして、ポルトガルデザート、ソプレメーザ。
カステラの元祖とも云われる半熟カステラ、
ポルトガルの伝統菓子「パォン・デ・ロー」は、
昔懐かしい味わいも、半熟な感じがそそる。 奥手にあるのが温かい玉子のパイタルト、
所謂エッグタルト「パスティス・デ・ナタ」。
熱々に気を付けつつ齧り付く。
嗚呼、成る程、こりゃ旨いや、
別腹にすっと収まる。
こりゃぁ女子まっしぐら、だわ(^^)。

大分駅北側の府内町。
府内五番街商店街の通り沿いに、
ポルトガル料理店「KOFUKU」は、ある。 まったくの偶然にも、
「ホルトの木」からポルトガル料理店へ。
店名「KOFUKU」について訊ねると、
オーナーの息子さんのお名前なんです、
とシンプルなご回答。
福来ると書くコフクくんのお名前からで、
全然ポルトガル語でもないんですと笑う。
「KOFUKU」の土日祝のランチメニューは、
ドドンとしっかりしたメインを色々から選べて、
アラカルトの単品メニューの幾つかを愉しめて、
デザートまで付いてくるポルトガル料理づくし。
なんだかとってもお得な感じ、です(^^)。

「KOFUKU」
大分県大分市府内町2-4-8 若竹ビル1F [Map]
080-8504-5161
https://www.instagram.com/restaurante_kofuku/

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