酒と人情料理「いたる」本店で金時草能登鯖浅〆鴨治部煮蓮蒸し喉黒酒蒸しニャンコ飯

ひがし茶屋街を漫ろに歩き、その先の卯辰山にある宝泉寺へと登って、眼下を眺めた今年の金沢初日のこと。
浅野川に架かる梅ノ橋を渡った正面にある「八郎すし」でゆるゆるとしたひと時を堪能したひる下がり。
鏡花のみちに沿って進み、浅野川大橋の袂を通り抜けて今度は、主計町茶屋街を散策。
狭い脇道を往ってあかり坂、そして暗がり坂をいつぞや振りに辿り、
泉鏡花記念館前へ。

定宿でひと休みした後、
夜の帳が下りた香林坊界隈へ。
何度も訪ねたおでんの「高砂」の前を通り過ぎ、
鞍月用水を横目にしつつの柿木畠地区。
Y字路を左手へ進むと目的地が見えてくる。 袖看板にも掲げるは「酒と人情料理」。
今宵は、界隈に複数店舗を持つ人気店、
「いたる」本店の夕餉と洒落込みます。

カウンターのおよそ中央へご案内。 正面に見据えるカウンターバックには、
使い込まれた木棚に様々な器がぎっしり。
そしてその額を飾る様に黒板が掲げられ、
“本日の魚達”が書き込まれている。
うんうん、いい景色だ(^^)。

焼酎「芋麹芋」を水割りでいただいてまずは、
「金時草おひたし」。 金沢市の「加賀野菜」に指定されている金時草。
葉の裏側が赤紫色をしていて、
蔓紫のようにぬめりがあるのが特徴。
葉の裏の赤紫色やぬめりは、
おひたしの出汁にもしっかり滲み出て、
面白美味しい。
以前伺った兄弟店、香林坊「いたる」でも、
冒頭にいただいた憶えがある定番品だ。

そうそう、香林坊「いたる」を訪れた際、
カウンター向こうの厨房で調理しつつ、
色々な話を聞かせてくれた兄さんが、
この日は本店で采配を揮ってた。
来客への対応も、本店と香林坊店とで、
席の調整や融通し合う場面がある様子。

黒板のお魚群の中に”能登”の文字を見付けて、
然らばと「能登サバ浅〆」を註文する。 浅〆鯖の皮目も身も美しきグラデーション。
澄んだ鯖の香りと繊細な脂が旨い、美味い。

これもまた香林坊でもいただいた、
金沢の代表的な郷土料理「かもの治部煮」。 鴨肉が小麦粉を薄く纏っていて、
飾り切りの人参に椎茸、お麩などが、
甘めでとろみのある汁で煮付けられている。
お正月がよく似合う、そんな感じ(^^)。

車麩と一緒にあんかけしたものや、
天ぷらという手もある加賀蓮根を、
「はす蒸し」にしてもらう。 おろした蓮根が蒸し上げられて、
そのものの甘さが倍加しているような気がする。

ゆっくりと蒸し上がった、
「のど黒酒蒸し」の器がやってきた。 上品にして細やかなその身の旨味。
丁寧にホジホジするように隅まで啄ばむ。
のど黒が浸っている汁もまた、
しみじみと美味しいのは云うまでもない、ね。

“名物”という文字に惹かれて思わず、
「ニャンコ飯」を註文してしまった(^^)。 削り節の載ったご飯に味噌汁をぶっかける。
つまりは勿論、ご存じ猫マンマなのだけれど、
こんな〆もあってもいいねと、ズズ、ズズズ。
あ、しまった、すっかり満腹になってしまった。

金沢は香林坊界隈、
鞍月用水沿いの柿木畠地区に、
酒と人情料理「いたる」本店は、ある。 地の魚介に旬の魚介を取り揃え、
刺身煮物蒸し物揚げ物に手際よく仕立てる。
呑ん兵衛歓喜の酒肴から郷土料理に抜かりなく、
名物と謳うお皿までが加減よく揃う。
いい気構えの居酒屋、そんな印象だ。
今度は、少しお腹に余裕を持たせて、
近くの「広坂ハイボール」でも一杯、
呑りたいのだけれど、叶うかなぁ(^^)。

「いたる」本店
石川県金沢市柿木畠3-8 [Map]
076-221-4194
http://www.itaru.ne.jp/

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