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琉球料理「赤田風」でぽーぽーミヌダル昆布イリチーどぅるわかしー首里城の膝元にて

西表島最後の日のおひるどき。
上原港近くにある、オジーが自ら獲ったノコギリガザミやリュウキュウイノシシなどの島特有の食材を自ら調理して供してくれる「うまんちゅcafe」で、猪の八重山そばとピーチパインのジュースを美味しくいただいた。
そして、その足で八重山観光のフェリーで石垣島の離島ターミナルへと戻ってきた。

離島ターミナルからそのまま、
カリー観光の直行バスで空港へ向かい、
南ぬ島石垣空港から那覇へと飛んで、
沖映通り沿いのホテルに荷物を下ろした。
すぐにタクシーに乗り込んで向かったのは、
首里城、そして「首里そば」近くの首里赤田町。

タクシーの運ちゃんも慎重に走るような、
住宅地の狭い道で車を降りればそこが、
琉球料理「赤田風」の建物の前。
二度目のお邪魔なので、
どこか懐かしくもあったりなんかして(^^)。

植栽の緑に囲まれた民家の玄関に、
柿色の絣の暖簾が掛かる。 暖簾があるから安心して扉を引けるけれど、
なかったら躊躇して不思議はないよね(^^)。

玄関の上がり框の前で靴を脱いで上がって、
すたすたと歩いていくと、
女将さんから、
いえいえ土足のままどうぞと促される。
あああ、そうでしたそうでした。
以前も同じことを為出かしたのに、
すっかり忘れておりました(^^ゞ。

突き当りの座敷の前で改めて靴を脱ぎ、
座卓の座布団に腰を下ろしてひと心地。 なんという花なのでしょう。
筒型の花瓶に生けた草花が凛々しく映ります。

朱枠の用紙に認めたお品書きは、
4年前とほとんど変わらないけれど、
少し品数が増えているよう。
オリオンの中瓶から始めましょう。

お品書きの筆頭は、「ポーポー」。 「ポーポー」「ぽーぽー」とは、
水で溶いた小麦粉を平たい鍋で薄く焼いて、
アンダンスー(油味噌)を塗って、
棒状に巻いた琉球の菓子のこと。
油味噌の仄甘さと素朴なコク味がいい。
油味噌ではなくて肉味噌と、
女将さんは説明してくれた。

続いて、「中味のお吸いもの」。 “中味”とは、ご存じの通り、
主に小腸、大腸、胃といった豚の中身、
つまりは豚の内臓のことを云う。
よく下処理したであろう中味を千切りにして、
昆布と鰹からとった出汁でお吸い物に。
中味はもう、ふわふわの食感だ。
ピパーチを利かせているね。

厨房の方からは、
ゆっくりとした三線の音と、
延々と唸り続けるような、
まるでお経を唱えているような、
不思議な謡いが低く流れてくる。
少なくとも知っている沖縄民謡とは異なる、
どこか訥々とした独特なる謡いだ。

女将さんが「紅芋」と案内していれたのが、
「芋くずアンダギー」。 熱々で深く鮮やかな赤紫色の紅芋に、
箸先を差し入れると、
ふーーっと芋の匂いが立ち昇る。
火傷しないように気を付けつつ齧れば、
紅芋の風味と紅芋の甘さだけの、
素朴な美味しさに、うんうんと頷く。
いいねぇ(^^)。

泡盛をとお願いすると、
瑞泉か瑞穂かの五年古酒と仰る。 瑞泉は呑む機会が多いので、
ここはまず、瑞穂をいただきましょう。

「ミヌダルの盛合わせ」には、
ミヌダルに田芋唐揚げ、苦瓜梅酢漬け。 真っ黒なものがご存じ「ミヌダル」。
摺り潰した黒胡麻だれを、
豚ロースの薄切り肉に塗して、
蒸し上げた琉球の伝統料理。
摺り下ろした黒胡麻だけで、
こんなペーストになるのか判らないけれど、
その黒胡麻の甘さがいい感じなのだ。
田芋は、ターンムとも呼ぶので、
女将さんは、たーんむの素揚げ、
と説明してくれた。

前回訪ねた際に、
しみじみ旨いなぁと思ったのが、
この「昆布イリチー」。 「昆布イリチー」と書いて「クーブイリチー」と読む。
“イリチー”は、炒め物、だね。
うんうん、これこれ。
やっぱり、美味い。
豚の脂が昆布全体に回っていて、
それが昆布の魅力を引き出している感じがする。
こんな細切りの昆布、なかなか売っていないけれど、
相棒もこの「昆布イリチー」を気に入って、
時々自宅でも調理にトライしてくれるのだ(^^)。

そして、ご存じ「ドゥルワカシー」。 田芋と田芋の茎、芋茎に豚肉と蒲鉾を入れ、
煮て潰して出汁と煮込んで、練り上げたもの。
田芋を煮ている様子が、
泥を煮ているように見えたことから”泥沸かし”、
転じて「どぅるわかしー」となったらしい。
まったりしたターンムの繊維質と風味の中に、
出汁の旨味がクセなく宿っていて、
これまた、素朴なのに妙に美味しい、
沖縄宮廷料理らしい逸品だ。

「どぅるわかしー」と云えばやはり、
今はなき、琉球料理乃「山本彩香」を思い出す。
スーチキーもミヌダルも、
ターンムもカステラかまぼこも、
豆腐ようもジーマーミ豆腐も、
ラフテーもソーミンたしやーも、
そして、「どぅるわかしー」もみんな、
「山本彩香」で出逢って知って学んだンだ。

「ドゥルワカシー」に続いて「耳皮さしみ」。 女将さんのご案内は、
ミミガーのピーナッツ和え。
ミミガーは勿論、豚の耳のこと。
コリコリとした食感に胡瓜のシャクシャク。
そこへ回したジーマーミーのコク味が、
実にいい塩梅だ。

泡盛のお代わりは、瑞泉にて。 43度ゆえ、チェイサーの水を挟みつつ
ゆっくり吞むようにせねばなりません(^^)。

「とうふよう」は、ご存じ、豆腐餻。 紅麹の風味がしっかりめな反面、
泡盛のアルコール感は控えめで、
マイルドな食べ口の豆腐餻。
なので、楊枝の先に少し、とするのが常なるも、
ちょっと多めを口にしても大丈夫だ。
泡盛のグラスが進んでしまうじゃないか(^^)。

もうひとつの盛合わせには、花イカの昆布巻き、
揚げ蒲鉾、からし菜蒲鉾にカジキの昆布巻き。 花イカという烏賊の種類なのではなくて、
飾り切りをしたイカを花イカと呼んでいて、
イカの種類で云えば、コブシメ、甲烏賊。
サクサクとした歯触りが面白い。
蒲鉾は、蒸したものと揚げたもの。
沖縄県魚のグルクン100%で作っているそうで、
緑色は芥子菜を絞ったもので色をつけていて、
揚げた方は、人参のオレンジ色が映えている。
温かい蒲鉾って、美味しいよね。

お食事の段となって、
「ラフテー」に「ジューシー」ウサチ付き。 煮詰まって黒くなったラフテーも世にあるも、
コッテリさせていないところが、いい。
「ウサチ」とは、酢の物や和え物のことで、
この日は、胡瓜の甘酢和え。
ジューシーも過度な脂がなく、
さらっと軽やかに美味しい。

デザートには、麗しきメロン。 時季時期の果物が水菓子となるのでしょう。
程良く熟したメロンの香気、甘味が堪りません。
ふーーう、満腹、ご馳走さまっ。

那覇は首里城の膝元の首里赤田町。
「首里そば」近くの住宅街の細道に、
琉球料理「赤田風」は、ある。 店名「赤田風」の”風”は、
藤井風と同じく”かぜ”と読む、
のではなく、”あかたふう”と読む。
この”ふう”は、和風とか欧米風とか、
関西風とか広島風とか、
現代風とか下町風とかの”風”。
つまりは、赤田スタイル、ですと聞いた。
首里風ではなく、赤田風としたところに、
奥床しさと誇りのようなものが同時に滲む。
「琉球料理が味わえる店」として、
沖縄県が認証しているお店は、
県内に45店ほどあるけれど、
琉球宮廷料理の流れと伝統を感じさせるような、
コース料理を供してくれるのは、
ここ「赤田風」をはじめとする、
数軒しかないのではないかと思うんだ。

「赤田風」
沖縄県那覇市首里赤田町1-37 [Map]
098-884-5543
https://akatafu.okinawa/

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