「賀茂鶴」タグアーカイブ

酒「大甚本店」で 殻のついた蝦蛄なんぞでひとり一寸一杯

東京へ戻る間際にちょっと寄り道。
伏見通りと広小路通りが交叉する、つまりは御園座の近くにある「大甚本店」で一杯ひっかけて帰ろうという魂胆です。
暖簾の「酒」という文字ににんまりしながら、進んだ引き戸の先は、なかなかの盛況です。
おばちゃんに手招きされて、奥まった入れ込みのテーブルの一角へ。

ビールをいただいたものの、
卓上にも壁にも品書きらしきものがなく、
周囲をきょろきょろ。

「おばちゃん、注文ってどうしたらいいの?」と訊くと、
またまた手招きモードで、
さっき通り過ぎたテーブルへ連れていかれて、
「お好きなの、持って」。
そして「はいっ」っと円いお盆を渡されました。

テーブルの上には、
迷わせるように幾つもの酒肴が大皿に並んでいます。
なるほど、そういうシステムになっているのね。
えーと、えーと。

いろいろいが詰まった煮凝りや辛めに煮付けた魚。 そして、小烏賊なんかをアテにちびちび、です。

続いて硝子ケースから選んだのは、
殻のついた蝦蛄。 意外と見慣れないので少々異様に映るけど、
するっと殻を剥いてあげれば、
いつものシャコになります。

烏賊や蟹その他の焼き物、煮物は、
別途注文するシステムになっている。 最後にお願いした鰈の煮付けは、
身が痩せていてイマイチだったけど、
この雰囲気はお気に入り。

お酒は、賀茂鶴特級か菊正宗特級。
“特級”という言葉の響きがよく似合う。 そんなお酒のお供となるは、
テーブルの角が素敵に擦り丸まっている様子や、
見上げる時計の表情も酒肴のひとつ、だ。

伏見通りと広小路通りが交叉点、
御園座の近くにある酒「大甚本店」。 暖簾を出て、店を振り返り、
嗚呼、漸くこんな呑み屋にひとりで、
来れるようになったかと、
独り言つのでありました。

「大甚本店」
愛知県名古屋市中区栄1-5-6 [Map]
052-231-1909

column/01295