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茶房「森彦」で水出し珈琲シブースト森の雫とチーズトースト美意識に触れる心地良さ

エスコンフィールドHOKKAIDOでお初に野球観戦すべく、お久し振りに札幌を訪れてからちょうど丸一年。
今年は、札幌文化芸術劇場hitaruでの玉置浩二のライブに参戦すべくふたたび札幌へとやってきた。
札幌での最初の食事は、近頃系っぽい札幌のラーメンをいただきたいと腕組み思案。
すすきのや大通りからは少し離れた円山エリアにやってきた。

スチールのパネルを張り巡らせた、
不思議にメタルな外観のラーメン店、
「寅乃虎」でスパイスラーメンを平らげる。
これはこれで面白いねと話しつつ店を出て、
こんもりと緑に包まれた円山山頂を横目に、
辺りをのんびりと散策します。

どうやら近くに夙に知られたカフェがあるらしいと、
横道に入り込んでみる。 すると店前のベンチで空席待ちしている様子と、
綺麗に積み上げられた薪の重なり、
そして「café MORIHIKO」の文字が見付かった。

紅赤色のトタン屋根が印象的な木造民家。
玄関の軒上辺りから二階の窓枠にかけて、
蔓性植物、蔦の葉が覆っている。 玄関左手の壁に架けられた縦の扁額の彫刻も、
此処が茶房「森彦」であることを示しています。

ベンチで少し空席を待ってから、
店内左手のテーブルへとご案内。 メニュー表紙の無垢材の彫刻は、
店が1996年の創業であることを知らせています。

鏝塗りの白壁。
アンティークなデザインのランプの横に、
何気なく置かれた読み古された風情の書籍。 それは卓上の置時計の脇にも。
ちょっと遣り過ぎかと思えば思えるけど、
嫌味に感じることがないのが不思議だ(^^)。

大テーブルの真ん中の仕切りには、
足踏み式らしき古びたミシン。 元は収納だったのではと思わせる、
懐のある右の壁際には、
水出しコーヒーのタワーらしき装置がある。

ならばと、ご註文は数量限定「水出し珈琲」。
冷涼な札幌とは云え、この日は、
なかなかの暑さだったこともあって、ね。 メニューには、抽出に10時間以上かける、とある。
成る程、雑味や嫌な苦みはまったく感じられず、
澄んだ味わいの中に、綺麗な風味やコク、
程良い酸味があって、リキュールのようにも思う。

珈琲のお供には、「シブースト」。 “シブースト”とは初めて目にする語彙。
フランス発祥の洋菓子「シブースト」とは、
パイ生地に果物とクレーム・シブーストを重ねて、
表面をキャラメリゼしたもの、だと云う。
そして、クレーム・シブーストとは、
カスタードクリームにイタリアンメレンゲを混ぜ、
ゼラチンで固めて作るクリーム。
クレームブリュレとは違う模様。
能書きはどうあれ、実に美味しい(^^)。

此処で朝ご飯も食べたいなぁと思い付いて、
翌朝タクシーを駆ってふたたびやって来た。
午前9時の開店時間になんと、一番乗り(^^)。
今度は、二階の席へと案内されました。

二階へは吹き抜けになっていて、
手摺り沿いのテーブル席から階下が見下ろせる。
柱や梁の様子から想像するに、
二階にあった部屋の床をぶち抜いて、
吹き抜けを造ってしまったのだろうと思う。 一階の隅には、薪ストーブがある。
古い木造の住宅だもの、
寒い冬の日にはきっと活躍するに違いない。

西側の内壁には丸いゼンマイ仕掛けの壁掛け時計。
この手の時計は止まっていることが少なくないけれど、
どっこい、正確に時刻を刻んでる。 南側の窓枠の下には、
教室から持ってきたような木の椅子が置かれ、
何度も捲り開かれたであろうお店の写真集や、
何冊もの寄せ書き帳が載せられています。

薄い硝子を塡めた硝子戸越しには、
蔦の葉に囲まれている様子がよく判る。
まるで葡萄の木の下にでもいるようだ。 北側の窓の外には、
鳥寄せの餌箱が据えられている。
季節ごと、どんな野鳥がやってくるのでしょう。

ガーベラでしょうか。
テーブルには、一輪の花が飾られている。 小さな呼び鈴にもセンスを感じます。

吹き抜けを通じて芳ばしい匂いが届く。 階下を覗けばどうやら、
註文の品が間もなくやってくるようです。

焼けたチーズの香りと一緒に、
「チーズトースト」が二階にご到着。 耳あたりの芳ばしきサクサクがいい。
たっぷりのチーズ越しのモチモチもいい。
ちょっと忘れていたけれど、
チーズトーストって美味しいね(^^)。
珈琲は、モカをベースに、
マンデリン、コロンビアを使った、
本店限定の中深炒り「森の雫」だ。

チーズトーストに使っていたパンは、
「森彦」の斜め前の路地の奥にある、
ベーカリー「円麦」のもの。 こちらも人気のようで、
入れ替わり立ち代わり人が訪れ、
時に行列を作っています。

円山公園・動物園も程近い円山エリアに、
喫茶「森彦」本店は、ある。 Webサイトによると、
戦後すぐに建てられた木造家屋を、
足掛け3年の時間をかけて、
自分たちの手で改築したという。
店内をよく観察すると、
改築前にその場所が押し入れだったり、
間仕切り壁があったりしたことが想像できる。
そんな造作から備品、調度品に至るまで、
それぞれに味わいがあり、
勿論のこと珈琲も旨い。
通貫する美意識に触れるのは、
なんだか心地いいものですね。

「森彦」本店
北海道札幌市中央区南2条西26丁目2-18 [Map]
0800-111-4883
https://www.morihico.com/

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