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CAFÉ&RESTAURANT「PAX」で和牛バーグ鴨肉コンフィ湊公園近くの仏スタイルカフェ

二重橋前交差点から出た鍛冶橋通りが八丁堀駅前交叉点を過ぎて、亀島川を渡る高橋の手前で小さく交叉するのが、鉄砲洲通り。
鉄砲洲通りを南下すると、湊交番の裏手に、通りの名の由来となったであろう鉄砲洲神社の鳥居が視界に入ってくる。
お参りして、その並びにある鉄砲洲児童公園をふらふらっと抜けて今度は、真東の亀島川方向へと直進すると、その突き当たりに、
中華麺処「開々亭」の店構えが見えてくる。

「パーコー担々メン」を美味しくいただいて、
心地良い陽気に釣られるようにふたたび、
「開々亭」の前の道をふらふらと南下する。
桜の時季には案外この公園もいいンだよなぁと、
ちょうど亀島川と隅田川の合流点の土手にある、
湊公園へととんとんと階段を上がる。 斜張橋の構造が美しく映る中央大橋が隅田川を渡り、
その先には佃島の高層ビル群が収まる構図。
隅田川を色々な種類の水上バスが泳いでゆく。

しばしベンチに佇んでからゆっくりと腰を上げ、
振り返って階段を下ろうとして眺めた桜の葉の間から、
レストランらしき店のファサードが覗けた。 近所のお姐さんらしき女性の大欠伸を、
思わず目撃してしまい、苦笑しつつ(^^)、
その光景のところへと向かいました。

マンションの1階に構えた店のファサードには、
Cafe、Restaurant、Bakery、Sweetsと書いた、
若竹色のテントが小さな庇を作り、
帯状サインの蒲公英色の面板には、
ウサギと思しきイラストに続いて、
「PAX CAFÉ&RESTAURANT」と店名がある。 店の前には二脚の木製のベンチが置かれ、
その間にテーブルも据えられていて、
穏やかで天気のよい日には、
ここで麦酒と食事、ってのもありだなぁーと、
そう思わせる。

ここはきっと美味しいと直感して、
湊公園近くへと改めて訪れたその日。
入口脇に置かれた黒板には、
ランチメニューが5品書き込まれている。 何度も書いたり消したりをしているためか、
上の二行の周囲がなんとなく白く滲んでいる。
書きっぱなしかもと思われる下側の3品が定番で、
上の2品が週替わりか日替わりかと、
そんな推測をしてみたりする。

奥寄りのテーブル席に案内いただいて、
厨房に向かうカウンターの上を眺める。 頭上には4枚の黒板が吊り下げられていて、
左からフルーツハイボール、クラフトビール、
そして赤ワイン、白ワインとのタイトルが見付かる。
聞き覚えのない”フルーツハイボール”の黒板には、
ウイスキー以外もある蒸留酒、リキュールの種類と、
組み合わせるフルーツの種類が書かれてある。
女子ウケもしそうなそんなドリンクも面白そう。
クラフトビールの黒板では、
ピルスナー、エール、ウィート、IPAといったスタイルと、
産地との組み合わせのみが書かれている。
銘柄名がないのは赤ワイン、白ワインについても同じで、
成る程なぁと感心する。
飲み物ごとに主要なふたつの側面のみの観点から、
呑みたいお酒を選ぶってのは、シンプルでいて、
自分の嗜好を確かめ辿るようなことにもなって、
余計な解説よりも有用な場面が多い気がするもの。

まずは、店内メニュー筆頭の「和牛ハンバーグ」。 ひとつのお皿にサラダとライス、メインが一緒盛り。
ちょうどいい丸みと厚みの量感が嬉しいハンバーグ。
少しゴツゴツとして不整形なところが、
如何にも手捏ねらしくていい。
どれどれとナイフを挿し入れると、
過剰で妙な肉汁なんか零れてきたりしない。
うんうん、肉々しくていいぞと呟きつつ(^^)、
赤ワインとフォンドヴォーによるソースに、
たっぷりと浸して喰らい付く。
うんうん、赤身肉らしき地道な肉の旨味に、
ソースの旨味が相乗して、美味し美味い。

裏を返すように訪れて、今度は、
店内メニュー二番目記載の「鴨肉のコンフィ」。 先日の入口脇の黒板では、
ソールドアウトになっていたのものなと思いつつ、
迎えたお皿もやっぱりの一緒盛り。
ひるから鴨のコンフィいただいちゃうなんて、
ちょっとオトナな気分かもなんて、
このあとがなければ絶対にワインだななんて、
ごちゃごちゃと妄想しつつ(^^)、
改めてお皿に正対する。

揚げ煮した鴨の身にさくっとナイフを入れて、
剥がれた身の一片にソースをこれまたたっぷり付けて、
大きく開けた口へと運ぶ。 忽ち少し凝集したような鴨の香りがして、いい。
うんうんとこれまた頷きながら、
ナイフとフォークを動かす。
案外と身離れがよくて、バラバラに鴨を解体しつつ、
粒マスタードの利いた、鴨に良く似合うソースの
巧妙なる後押しにも促されて、
一気に食べ切ってしまいます。

あまり間を空けず再度訪れた湊公園近く。 アイスのジャスミンティーのグラスの、
水滴が徐々に増えてゆく。

この日は、定番メニューの三列目と思しき、
「自家製ベーコンのカルボナーラ」。
さすがに今度は一緒盛りではなくて、
サラダが別皿でやってきた。
続いて届いたお皿は、乳白色というよりは、
砥粉色と例えたい感じのクリームイエロー。
見るからに濃密そうな、
しっかり濃度ありのソースだ。
そこへ香り高い黒胡椒がほどほどに振られている。
そんなソースの海にうねるように浸っているのが、
これまたしっかりした太目の手打ち麺。
どんな種類のチーズを使っているのでしょう、
ソースの濃度とパスタの量感がマッチしてて、
次から次へとフォークの先を動かされる。
食べ応え、あり。
そうこうしている裡にようやく、
ベーコンの風味がひたひたと、
全体に潜んでいるのに気付くンだ。

中央区は鉄砲洲通りの向こう、湊二丁目。
亀島川と隅田川の合流点にある湊公園近くに、
CAFÉ&RESTAURANT「PAX」は、ある。 “フレンチスタイルカフェ”と、
そうお呼びすればよいでしょか。
料理人とパティシエのご夫婦で営む「PAX」の、
オープンが2020年5月ということはつまり、
コロナ禍による飲食店暗黒期にまともに、
かち合ってしまっていたことになる。
店名「PAX」の意味・由来を訊ねると、
ラテン語で平和とか安らぎといった意味で、
フランスでは割りと使われる言葉です、と仰る。
コロナ禍の大変なご苦労を経ての今はきっと、
安堵感を抱きつつ、やりたかったように、
料理の手を動かしているのでしょうね。
今度は、まだまだ明るい夕暮れ時に訪れて、
カウンター上の黒板を眺め乍らまずは、
どのフルーツハイボールにするか悩みたい。
外のベンチでクラフトビール、でもいいね(^^)。

「PAX」
東京都中央区湊2-14-1 リベルタ銀座イースト1F [Map]
070-2159-3323
https://www.instagram.com/pax_cafeandrestaurant/

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