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華僑料理「会楽園」で福建生まれの熊本郷土料理太平燕フランキーとナミに逢ってから

熊本城ホールで開催のオーケストラツアー、「玉置浩二 LEGENDARY SYMPHONIC CONCERT 2026 “Fanfare”」を契機として熊本、そして阿蘇を訪れた、この5月のゴールデンウィーク後半のこと。
地獄温泉に佇む「青風荘.」のお食事処「山竈処(やまくど)」での、めくるめく食事を堪能し、離れの半露天風呂でぬくぬくとしたその翌朝にも「山竈処」の囲炉裏端で、
ゆったりと正しき朝食をいただいた。

後ろ髪をひかれつつ、
お世話になりましたと宿を辞して山間を下り、
水源だらけの阿蘇カルデラ南縁を往く。

立ち寄ったのは、
南阿蘇鉄道の無人駅のひとつ、
南阿蘇白川水源駅近くの「白川水源」。 環境省「名水百選」に選ばれている、
熊本県を代表する水源池、白川水源は、
こんこんと湧き出る冷たい水が、
キラキラとして、美しくも清らか。
この水がずっとずっと流れ下って、
熊本城近くを流れる一級河川、
白川となって有明海へ注ぐのだ。

さらに東に向かって、
南阿蘇鉄道の踏切を渡り、
高森湧水トンネル公園なる施設へも立ち寄った。 軍事産業用路線敷設のために、
高千穂方面へのトンネルを開削しはじめるも、
大量の水が噴出すると同時に、
湧水が涸れる事態に至って、
トンネル工事が中止となり、
路線計画も廃止となった、という。
そう聞けば成る程、
山に向かって掘り下げたその先に、
トンネルの入口が口を開けている。
水路の脇をすたすた歩いて歩いた一番奥に、
“ウォーターパール”と呼ばれる、
特殊ストロボを利用した施設があり、
一興ではあった。

そこからほんの少し北上すれば、
南阿蘇鉄道の終点、高森駅。
老朽化していた駅施設の一部が、
2016年の熊本地震に被災したために、
新駅舎の建設に着手し、
長らく不通となっていた、
南阿蘇鉄道高森線の完全復旧に前後して、
完成したという駅舎は、真新しく、
意外と云ってはなんだけれど、
実にスマートな佇まいだ(^^)。

そして、駅構内のど真ん中の広場に、
堂々と建立されているのが、
ご存じ、鉄人の船大工FRANKYの銅像だ。 2016年の熊本地震からの復興に向かう、
熊本の「原動力」としていくために、
熊本県出身の漫画家、
漫画「ONE PIECE」の尾田栄一郎と、
熊本県が連携し立ち上がった、
「ONE PIECE 熊本復興プロジェクト」。
プロジェクトの一環となる、
〈麦わらの一味「ヒノ国」復興編〉として、
麦わらの一味の仲間の像を設置したものの1体が、
高森駅のフランキーなのだ。
4年かけて設置した仲間の像は全部で、
県内9市町村にあるのだそうだ。

フランキーのサングラス越しに、
その先の駅構内を何気なく望むと、
車両基地、検車区が見付かる。 南阿蘇鉄道高森線の終点、高森駅。
検車区に留置されているのは、
新型気動車MT-4000形か。
鉄ちゃんじゃないので分からない(^^)。

総長160メートルに及ぶという、
“とにかく広いプラットフォーム”が接する、
レールの向こうには、MT-3010形気動車。 外装・内装が「麦わらの一味」の海賊船、
サウザンド・サニー号をモチーフにした、
コラボ列車「サニー号トレイン」には、
「ONE PIECE」のキャラクターたちが描かれて、
派手っちくも賑やかだ。

トロッコ列車「ゆうすげ号」は運休日だったこの日、
プラットホームに到着したのは、
検車区にいたのと同じ、MT-4000形。 プラットホームへと廻り込む屋根下の、
「修羅組み」と呼ぶ木組みの装飾が面白い。

ラウンジ棟の横手のロータリーにいる、
“トロトゥク”無料みたいですよ。
そう聞いて、派手目な彩色のトゥクトゥクの、
運転席に座るお兄さんに声を掛けた。
すると、お待ちしておりましたとばかりに招かれ、
トゥクトゥクの後部座席へ。
高森駅駅前から出発して、
さっき見学した湧水トンネルの近くへ寄り、
くるっと回って高森町の主要部をゆっくりと、
そして軽妙にガイドしながら巡ってくれる。
阿蘇マルキチ醤油の豊前屋本店の前や、
阿蘇の酒「れいざん」の山村酒造の前を通り、
ラウンジ棟へと戻ってきた。
短い短い高森町の小さな旅だったけれど、
いいな、いいよね、こふいふの(^^)。
そうそう、駅から徒歩数分のところに、
公立校初の「マンガ学科」が設置されたことで、
話題の県立高森高等学校があるのだ。
あの高校は、こんなところにあったのだね。

高森駅界隈を離れて、
南阿蘇村を東西に突っ切るように西走する。
国道325号線から熊本県道28号線へと分かれて、
辿り着いたのは、西原村の俵山交流館 萌の里。 そこには、麦わらの一味のひとり、
航海士のナミの銅像があるのだ。
すらっとどこまでも長い脚に、
零れ落ちそうな胸元と満開の笑顔。
これぞ、尾田栄一郎が理想とする女性像、
いやいや、全男性陣が理想とする女性像、
なのに違いない、たぶんきっと(^^)。

そこから一路、県道28号線を辿り熊本市街へ。
レンタカーを返却して向かったのは、
熊本城の内堀でもあった坪井川を渡る、
船場橋近くの熊本市電B系統の洗馬橋電停。 行き交う市電越しに伸びる道もなんと、
熊本と高森を繋ぐ熊本県道28号熊本高森線。
その先左手に、この日のランチ処がありました。

マンション1階の石張りのファサードに、
「太平燕」と大きく縦書きした青の懸垂幕。
左脇に小さめの文字で、
昭和八年創業、会楽園とある。 華僑料理「会楽園」と示す縦の扁額のある、
通り沿い正面の入口にはどういう事情か、
一客の椅子が置かれて、通せん坊。
どうやら左手のアプローチ奥にある扉が、
お店への出入口であるようです。

入口前には空席待ち用の椅子が置かれ、
混み合う時間帯もある様子ではあったものの、
運よくすんなりと、
厨房に向かうカウンターへとご案内。

お品書きの筆頭は勿論、「太平燕」。
単品に春雨の大盛りと書かれていて、
麺は小麦粉の麺ではなく、
春雨であることが判ります。
「太平燕」には、鶏スープで、
生米から一時間煮込みつくる中華粥や、
阿蘇の牛乳を使う杏仁豆腐、鶏肉の香り揚げ、
高菜飯などとの組み合わせも出来る。
高菜飯と香り揚げのセットを所望しましょう。

冊子のお品書きを眺めると、
棒棒鶏や口水鶏(よだれ鶏)、
春巻や揚げ餃子などのメニューもある。
ただし、炒飯や焼き餃子はない模様。
水餃子と揚げ餃子のみというのはあっても、
揚げ餃子のみというお店は他に知らない。
酢排骨という見慣れない三文字は、
熊本でいうところの酢豚のことらしい。
品書きにも特徴があって、面白いね。

そんな風にお品書きを眺めている裡に、
お待ちかねの「太平燕」が届いた。 「太平燕」と書いて、タイピーエンと読む。
まずは、素朴な佇まいが、うん、いい。

ああ、優しいスープだ。 白濁したスープは、どこか懐かしくて、
町中華のタンメンのスープのようでもある。
豚骨っぽさもあり、でも、塩辛くはない。
具は、白菜に海老、揚げ玉子、
筍に千切りの木耳といったところか。

そして、そのスープの中から、
春雨を引っ張り上げる。 どこか頼りないようで、
案外そうでもない不思議な食感が面白い。
そもそも「太平燕」は、
中国福建省福州の家庭料理であり、
祝いの席には必ず出されるお目出度い料理で、
福建省出身の先代が故郷の味を懐かしみ、
家庭で食べていたものが、
メニューに載るようになったものだという。

鶏のスープと牡蠣油を用いて米を炊き上げて、
味付けした高菜を混ぜ込んだという「高菜飯」。 高菜チャーハンではなくて、高菜飯。
これまた、素朴な佇まいが、いい。
飯粒のひとつひとつを包んだ、
牡蠣油のコーティングの塩梅が絶妙で、
高菜を含みながら塩辛くないのがいい。

「鶏肉の香り揚げ」は、
13種類の調味料に漬け込んで揚げているという。 辛味系のスパイスはほぼ感じないものの、
塩、胡椒、八角を含む五香粉以外は判然としない。
あと、何を使っているのかな。

食べ終わってふと気が付いた。
「揚げ餃子」も註文しておくんだったなぁ、って(^^)。

熊本市電B系統の洗馬橋電停から覗く、
熊本県道28号熊本高森線沿いに、
華僑料理「会楽園」は、ある。 「太平燕」と云えば、「会楽園」。
元は福建省の家庭料理だったけれど、
熊本の食材や調味料を使うことで、
福建省の中国料理から派生していき、
そして長く熊本で親しまれることで、
熊本郷土の中華料理となっていったと、
そんなことなのでしょうね。
熊本会楽園とも名乗っているのは、
ちゃんぽん、皿うどん等々で知られる、
長崎中華街の「会楽園」との、
混同が心配されるからだね、きっと。

「会楽園」
熊本県熊本市中央区新町2-7-11プレシール新町1F [Map]
096-352-2844
https://x.com/KRogl8O5jlbI8yy

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