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うなぎ「遠州」本店
古美術店街とも呼ばれる老松通りの一角に、”関西風炭火焼”を掲げた鰻屋さんがありました。昼食サービスのメニューには、2,700円の「蒲焼定食」、そして上中並の「鰻丼」とある。大きさで区分しているという上中並から、「鰻丼」の中をいただきましょう。あいよってな調子で、通りに面した焼台に串に刺したうなぎが焼かれ始める。ピンクがかった赤い火はもちろん備長の炭だ。肝吸いに続いて届くのは、径が広く浅めの塗りのどんぶりというか椀というか。その蓋をすっと返すと、ほー、艶やかというよりはどこか野趣ある表情の蒲焼きのお目見えです。慌てて貪り食べる。うむうむ。たまり醤油なのかタレが甘い方向に濃くって、折角の蒸さないうなぎの香ばしさをちょっと相殺しちゃってる感じもする。痩せたうなぎを使っているわけではなくって、きっとこの路線が本来なのかもしれないけど、うなぎの身そのものにもフシダラな魅惑が欲しいなぁなんて思ってしまった。銀座「ひょうたん」のうなぎに感激して以来、蒸さないうなぎにも指向が向いているのだけれど、そうは云ってもいろいろあるっつーことなのね。かえって、関西風の鰻ももっと探求したいなぁと思わせてくれた「遠州」さんでありました。
「遠州」 大阪市北区西天満4-12-19 06-6364-6981
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