土用の丑の日に遅れること二日。
この夏も平賀源内発案のキャッチコピーに由来する風習におよそ則って、鰻をいただくことにする。駒形寄りの「色川」の煙をかわし、「初小川」の暖簾を横目に浅草公会堂の近くまで。
「小柳」さんは、こちらもまた鰻屋らしい風情を漂わせた面構えをしていました。
引き戸の中には数人の空席待ちらしき人影があって、待つことになるのかなぁと構えつつ暖簾を潜ると、入れ替わるようにすんなりと奥のテーブルの一角に収まることができました。
酷暑の中歩いてきて、滲む汗に思わず「水茄子にビール!」と云ってしまいそうになるのをグッと堪え、「鰻重(松)」と「きも吸い」をと、お姐さんに。
お重の蓋には、枝垂れ柳に魚篭の浮かぶ小川が描かれていて、なんだか涼しげだ。
パカリとその蓋を開くと、一瞬立ち昇る湯気と香り。
あはあは。うまそうだ。
ぬらっと誘うその身に切るようにやおら箸をいれ、下のご飯ごとすっと掬い、
多少慌て気味に(笑)口へ運ぶ。
極薄い外周にカリッと香ばしきクリスピーなところがあって、
すぐさまふんわりと柔らかい身が解けて渾然となる。
どちらかというとキッと辛めでモタつくところのないタレもいい。
「きも吸い」を挟みつつ、勿体なくもあっという間に完食。
そして、満足。
途中で使おうと思っていた山椒も、一切臭みもないのに振るのって反って野暮なことじゃん?つーかそもそもいらない?と思えてきて結局使わず仕舞い。
これからは、無闇に山椒振ったりしないよう気をつけよう。
「小柳」
台東区浅草1-29-11 [Map] 03-3843-2861
column/02310