
麻布十番の街中から六本木ヒルズ方面に抜けていこうとする時必ず通る、三角形緑地のちょっと手前。
「くろさわ」と藍に白く染め抜いた暖簾がそよそよ風に揺れています。
ふと思い出すのは、永田町「黒澤」、築地「黒澤」。
そしてこちらの「カレー南蛮」。
気がつけば6年振り。
久し振りに寄ってみようかな。
がらがらっと硝子戸を横に引いて、
そのまま真っ直ぐカウンターの奥へ。

ふんわりと出汁の匂いが鼻先を擽ります。

そうだ、おでんがあるのだったと思い出して、
然らばとまずはタンブラーの「プレモル」を所望。
おでんは、なにがいいかなとお品書きを物色します。
おぼろ昆布をあしらった「大根」。

あくまで関西風のより上品な味付けは、醤油や塩っけが出汁の邪魔をしないように細心の注意を払っている感じ。
「くろさわ特製がんも」は、所謂”ひろうす”的な。

箸の先を挿し込めば、海老、椎茸、銀杏などの具がごっろごろっと顔を出す。
汁がよーく滲みて、豆腐の甘みを引き立たせてくれています。
生姜のほどよく利いた「イワシつみれ」。

冷酒を合わせるのが自然の所作でありましょう。
時季のうどんのご案内につられてお願いしたのが、「完熟トマトの冷がけ」。

湯剥きして出汁醤油に漬け込んだ真っ赤な蕃茄がまるまるひとつ、どんと載っています。
トマトと出汁汁って意外とぴたりと融和した様子にするのは難しいと思うのだけど、そこをトマトの完熟具合と汁に漬け込むことでクリアしようと頑張っている。

冷や冷やとして旨みのしっかりした汁につるっとしたやや細めのうどんが似合います。
日を改めて訪れたのは、
長押の貼り紙のと勢いのいい筆文字「黒豚特製熱々メンチカツ」が気になったから。


“黒”と書かれた紙包みの中からごそごそと取り出すメンチは、
ころんとして揚げ色香ばしき。

ふたつに割るようにすると、中から滲む肉汁と立ち昇る美味しい匂い。
玉葱の甘さも十分に威力を発揮しています。
やっぱりこれもいただいておきたいと、
「黒豚カレー南蛮」。

カレーのコクを前面に出しつつも、出汁の旨みがしっかりと支えて、味わいの全体感を包み込むよう。
そんな変わらぬ味わいは、また思い出しては食べたくなる、そんな佳品の風格を静かに湛えています。
今もなお、ひとり客にふたり客、四人客がふらりふらりと訪れる、
饂飩「くろさわ」。

味わいの安心感と繊細さが、繰り返し暖簾を潜らせるひとつの要因になっているようです。
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「くろさわ」
港区六本木6-11-16 中銀六本木マンション1F [Map] 03-3403-9638
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