右手に厨房を仕切るカウンター。 正面から左手には、互いの視界を遮るように回したロの字の止まり木。 左手奥に落ち着いてみましょう。
まずはやっぱり、「オリオン」のジョッキから。一気にジョッキを傾けてから捲るお品書きには、 定番な沖縄料理の名前から創作の匂うお皿まで、精力的な品揃え。
ジョッキのお供にと、やや珍しいところでと選んだのが「スーナのツナ和え」。スーナは、石垣島などで稀少ながら採れる個性的な海藻。 “珊瑚海藻”と注釈があるように、枝サンゴのような形をしていて、 コリコキュとした歯応えが特徴。 サラダや、こうして和え物にするといい感じに南の島の恵みを愉しむことができるのです。
もういっちょとお願いしていた「ドゥル天」が熱々でやってきた。那覇の琉球料理店「うりずん」なんかでもいただいた、言わば沖縄料理の定番のひとつ。 “練り田芋の素揚げ”と補足があるように、田芋(たーんむ)を練って、揚げたもの。 裂け目から薄紫色の田芋がはみ出しちゃってる感じがいい。 熱々を熱々のまま、ほふはふと齧り付けば、 田芋の素朴な甘さが周囲の香ばしさと一緒に味わえて、うん、美味しい。
「ゆくる」には、夜の部でも「定食」の用意があって、それが黒板に書いてある。 「首里そば」メインの定食をいただきましょう。
澄んだスープに針生姜を載せた出で立ちの「首里そば」。 魚介系スープの旨味に動物系のコクがひたっと支えて、なかなかオツな出来。
麺は沖縄すばらしいやや平打ちのアルデンテ。那覇赤田町の「首里そば」との関係や如何にと思い至るものの、 あそこまでの個性に感じ入るところではありません。
添えてくれたのは、「ラフテー丼」。味の滲みたほろほろの豚バラに芥子のソースが利いている。 あああ、満腹でございます。
麻布十番の沖縄料理店、首里そば「ゆくる」。気取らず構えず、かといってなんちゃって沖縄料理の店とは一線を画す印象のする。 「ゆくる」とは、沖縄方言で「休む」「寛ぐ」こと。 ふらっと寄ってひと時、あの島の味わいの一端に触れつつひと息、ゆったりと。
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「ゆくる」 港区麻布十番2-19-7 [Map] 03-3455-7220 http://www.taachi.jp/yukuru/
column/03292
お暑うございます。十番の隠れ家、ゆくるさん、なかなか良いですよね。道路から引っ込んだ立地なので、分かり難い面もありますが、続いて欲しいお店です。タ―チさんていうのが本店で、ゆくるさんは、さらに緩い感じ。
Re:桃猫さま
そーですね。なんちゃってな沖縄料理店が少なくない中に対して、真っ当で隠れ家な感じがいいです。taachiへも行かれました?