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朝食屋「COBAKABA」で魳の干物定食鎌倉の佳き朝ご飯からのレンバイで野菜の買物

江ノ電の和田塚4号踏切近くにある「おおはま」で、”おおはま吞み”を堪能したその翌朝。
適当なホテルが少なかった鎌倉にも少しづつ新しいホテルが出来てきていて、段葛の始まる二の鳥居前にあるメトロポリタン鎌倉が定宿になりつつある。
気持ちよく起きて早速、いそいそと身支度を整えて、ホテルを背に左手に若宮大路沿いを出掛けていきます。

そうすれば、すぐに辿り着くのが、
ご存じ”レンバイ”。
屋根上の看板にある通り、
「鎌倉市農協連即売所」が正式名だ。 ここでの買い物は何度かしているけれど、
壁にあるいい感じに錆の浮いた表示板には、
今まで気が付いていなかった。
どれどれとじっくりと読むと、
昭和の初めに、外国人牧師から、
ヨーロッパでは、農家が自分で生産した野菜等を、
決めた日に決めた場所で売っている、
という話を聞いたことをきっかけにして、
1928年(昭和3年)に発足した、とある。
農村が組織的な直売態勢を持つというのは当時、
全国でも最先端なやり方ではなかったか、とも。
出店は、4班に分けた組合員がそれぞれ、
4日ごとに出店するという形で。
午前8時頃から夕方・日没頃までとあるけど、
多分、昼過ぎには売り切れちゃうんじゃないかな。
1928年(昭和3年)発足ということは、
あと3年で、100周年ということになるね。

レンバイでのお買い物は、
朝ご飯の後にしようということにして、
今来た歩道をほんの少し戻る。 下見板張りの横板や庇上のサイディングなど、
外装の全体をパステルなブルーグレーにして、
明るいトーンのファサードの建物が、
この日の朝ご飯処「COBAKABA」だ。

正方形の木板を吊るした看板の下部には小さく、
「Good Morning Kamakura」と刻んでいる。 入口左手の黒板には、
「おはよう かまくら」と白墨の文字。
はい、おはようございます(^^)。

幸いなことに空席待ちのないタイミングのようで、
引き戸からおずおずと様子を窺いつつ店内へ入り、
注文口らしきカウンターの隅に立つ。 カウンターの立ち上がりにも黒板があって、
その日の味噌汁の具が表明されている模様。
二十四気の小満に当たる頃には、
との意も含まれているみたい。

朝食屋「COBAKABA」のメニューはまず、
渡邊水産の職人さんが一枚一枚丁寧に作った、
美味しい国産干物です、と謳うふた品、
「真アジの干物定食」「かますの干物定食」を、
その筆頭に掲げている。
干物定食はあとふた品あって、
鹿児島県阿久根は下園薩男商店の干物による、
「大羽イワシの丸干し定食」と、
干物屋さんの紹介はないものの何だか唆る、
「サバの文化干し定食」とがある。

干物以外にも色々とあって、
一汁一菜の基本セット「汁飯香」や、
そこへ相模原の有機卵「さがみっこ」なぞを添えた、
「卵かけごはん定食」。
朝食の定番「焼きサケ定食」「目玉焼き定食」や、
「納豆定食」「冷奴定食」がある。
ぬぬぬぬー、迷って迷わせて困らせるじゃないか(^^)。
でもやっぱり、干物のどれか、がいいかもね。
鯵か魳か鰯か鯖か、うーーーむ。
ここはひとつ、かますの干物に決めましょう。

小約100g、中約150g、大約200gと、
量を選べるご飯は、
普通盛りとされている中150gにて。
生卵を添えてもらいましょう。

建物の右寄りにある入口のおよそ正面に、
受付と配膳のカウンターがあり、
そこから左手に横長にフロアがあるレイアウト。
道路から見て奥側にテーブル席が並び、
道路側の硝子窓沿いにカウンター席がある。 カウンター席の右隅に陣取れば、
若宮大路の歩道を行き交うひと達の様子を、
のんびりと眺める格好になる。

通りの向こう側を見遣ればちょうど正面には、
鎌倉駅東口へと入り込む一方通行の入り口。 そしてそこは駅前にしてちょと妖しい小路、
丸七商店街の入口でもある。
地元民で賑わう様子の居酒屋や焼鳥屋の、
その末席に着いてみたい気もしてる(^^)。

突き当たりの壁を振り返るようにふと見ると、
ひとつだけ円形の硝子窓があった。 植栽の覗く窓からは、外界の自然と一体となるよな、
そんな気配がちょっとして、悪くない造作だね。

註文の品を待つ間、卓上にあるのは、
丸棒を輪切りした、その断面に、
鶏のイラストと番号を彫り込んだもの。 食券の代わりにこんなものを用意するなんて、
ちょっと愉しい。
そうそう、外の看板にもあるように、
「COBAKABA」は鶏がマスコットになっているンだ。

番号の呼び出しを受けて、
はいはいーと朝の定食を受け取りにゆく。 うむ、麗しきそして正しき、朝ご飯の景観だ。

いただきます、っと手を合わせて、
箸を手にしようとして箸置きをじっと見る。 ナハハ、ここにも鶏が、いた(^^)。

お盆の中央に構えるは勿論、カマスの干物。 焼かれて滲み出した脂が、如何にももう旨そう。
どれどれとちょっと急くように箸の先を動かして、
その脂のあたりの身を解しにいくと、
干物表面の極薄い被膜の下から、
素直な柔らかさが伝わって、そっと摘める。
干物にすることで、
魚の身のイノシン酸やグルタミン酸が保持されつつ、
蛋白質が分解されてアミノ酸が増えて、
旨味が凝集している感じを、
ひしひしと感じるような、そんな瞬間だ。

メニューに説明書きがあったように、
この干物は、渡邊水産の手によるもの。 渡邊水産(WATASUI)は、
島根県は出雲の水産加工品製造販売会社。
島根県沖合いで獲れる近海魚の、
新鮮で脂ののった時期の魚を使い、
海洋深層水からつくる塩だけを使って、
“美人干物”と呼ぶ干物を作っている、そう。
そう云われると、なんだか美人に見えてきた(^^)。
お取り寄せ、してみようかしらん。

「COBAKABA」のご飯はと云えば、
“ふっくら五穀米”。 鹿児島県は霧島の契約農家で作られた、
有機五穀米を炊いたもの、とある。
どうだどうだ感もゴワゴワ感も少ない、
ナチュラルにいただける五穀米だ。

そしてこの日の味噌汁の具は、
受付の黒板にもあったように、
春キャベツに新じゃが、新玉葱、
空豆にもやし、しめじ。 塩気優しく、柔らかく甘味を感じる、
そんな味噌汁であります。

うんうん、佳い朝ご飯をいただいた。
ご馳走さま、ご馳走さま。

ではでは、この足で、
レンバイの野菜たちを物色しに行こう。 そして、134号線を下って走り、
坂の下のパーキングに車を停めて、
カフェ「サカノシタ」でお茶して、
「力餅屋」で買い物してから、
江ノ電の踏切を渡って、御霊神社へご参拝。
切り通しを歩いて、極楽寺にも参拝して、
極楽寺駅から極楽洞を潜って長谷までひと駅。
なーんてミーハーな観光も偶には、いいね(^^)。

鎌倉は駅近くの若宮大路沿い。
鎌倉市農協連即売所”レンバイ”の並びに、
朝食屋「COBAKABA」は、ある。 ここで朝ご飯をいただいてから、
レンバイで採れ立て野菜たちを買い込む、って、
そんな日常があったらいいななんてふと思う。
受付・配膳カウンターで若いスタッフさんに、
店名「COBAKABA」の意味を訊ねれば、
元々「小林カバン店」だったことを受けて、
それを略して縮めて、新しいお店の名とした、
ということみたい。
その店名とおはよう!を告げる鶏マスコットとで、
朝食屋「COBAKABA」のロゴは成り立っている。
また、鎌倉を訪れたら、ぜひお邪魔したい。
13時のラストオーダーまで営っているけれど、
やっぱり早めの朝ご飯時に訪れて、
やっぱりレンバイで買い物するんだ(^^)。

「COBAKABA」
神奈川県鎌倉市小町1-13-15 [Map]
0467-22-6131
https://www.instagram.com/cobakaba/

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