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蕎麦「Murata不生庵」で豊後鶏つみれ蕎麦と元祖黒豚蕎麦と無量塔アルテジオの光景と

由布院温泉の宿の御三家のひとつに数えられる「山荘 無量塔」。
12タイプある離れの中から、三年前は「藤tou」に、今回は「楽raku」に一宿した。
ゆったりとした半露天の風呂にゆるゆるとして、元茶室の部屋で部屋食と地のお酒を堪能して、ぐっすり。
翌朝も同じ部屋でのんびりと和の朝食をいただいて大満足(^^)。

もう一度ひとっ風呂浴びたりなぞして、
ゆったりと離れでの時間を過ごしてから、
次の宿へ運んでくれるという荷物を預け、
宿のショップ「蔵拙」で少しの買い物をしてから、
近くをゆっくりと散策した。

鄭東珠氏のギャラリーで、
鮮やかな青、藍、紺も印象的な作品たちを眺め、
ちょうど在廊されていた氏とお喋り。
お向かいの「あり」という名のギャラリーで、
相棒にと白のカットソーをお買い上げ。

そうして足を向けたのが、
この旅のきっかけとなったライブの会場であります。 “音の美術館”を副題にしていて、
通常は、音楽にまつわる絵画が展示されているのが、
「無量塔」の施設のひとつ「artegio(アルテジオ)」。

時刻はまだライブには全然早い午前中。
長いスロープのアプローチを上がっていくと正面に、
ライブを告知するポスターが見えてきました。 この日はそう、大橋トリオが、
「由布院芸術交円」という地域創造イベントに、
ファンファーレを鳴らすライブ当日。
このために由布院までやってきたのだ(^^)。
絵画が並んでいた館内がどうなっているのか、
前乗りの特権と覗いてやろうかと思うも、
立ち入り禁止の表示が立ち塞がる。
でも、ピアノを調律している様子が漏れ聞こえてきて、
ライブに臨む気持ちが上がってきます。

おひるは、蕎麦「不生庵」でと決めていて、
念のため宿から予約を入れてもらっていた。 三年振りの暖簾の前に立つと、
その先右手には眼下の由布院の町、
由布院盆地が窺える。

ふとその暖簾を背に振り返れば、
貯泉槽と思われる施設から湯気が上がっている。 温泉場らしさも漂うこの場所には、
以前は多くの空席待ちの客人たちの姿があった。
この日は割りと静かな店先だったのは、
近くにあるカレーうどん店に、
人気の矛先が向いているからなのかもしれません。

わさわさしなくなって、それはそれでと云いつつ、
出来ればあちらの席がいいねとも話し合う。 展望席とするかのように、
本棟から突き出した客席を指差して。

暖簾を払って名前を告げると早速、
思惑通りに当のフロアの一番奥へとご案内。 曇天だったのは生憎だけれど、
見晴しのいい場所での食事はそれだけで有難い。

ご註文は、
秋限定の蕎麦「豊後鶏のつみれ蕎麦」。 硝子戸越しの風景を眺め、
視線を降ろして、どんぶりの景色を眺めたら、
お腹がぐうと鳴った(^^)。

まずは汁を啜って、
そりゃ無量塔のお出汁だものなと妙な感心をする。 続いて、その出汁の沁みたつみれを口に入れ、
うんうんと頷く。
今の大分県をおよそ指す豊後の名を冠した鶏は、
特別飼育タイプとされる銘柄鶏であるらしい。

勿論の自家製粉、手打ちの蕎麦は、
二八か、はたまた外二か。 蕎麦粉そのものは信州産のものとある。
繊細な質感の蕎麦をゆっくりと啜れば、
仄かな蕎麦の香りに出汁の旨味が交叉する。
添えた白の舞茸には柚子胡椒の香りがした。

相棒のご註文は、
同じく秋限定の「木の子おろし蕎麦」。 細やかな大根おろしが、
汁に溶け込んでいくのを想像すると、
余計に美味そう、だ(^^)。

そうそう、三年前にいただいたのは、
数量限定で推しの入った「元祖 黒豚蕎麦」だった。 ほろとろっとした黒豚の焼豚に惹かれるのは、
やはりラーメンっ喰いの性か否か(^^)。
豚の脂が滲んだ汁がまた旨いのは、
ラーメンばかりではないものね。

その時の相棒のご註文は、「地鶏南蛮そば」。 その地鶏とは、冠地鶏、おおいた冠地鶏。
「亀の井別荘」の「湯の岳庵」でいただいたのも、
日本で初めて烏骨鶏を交配に用いた、
柔らかくてジューシーな地鶏、だというもの。
見るからに美味そうだったものなぁ。

その冠地鶏は、鳥天でもいただいたんだった。 噛んでたちまち美味しい鳥天。
あー、大分と云えば鳥天、
という文脈をちょっと忘れてたかもしれないな(^^)。

蕎麦「不生庵」でゆっくり過ごしたおひるの後は、
ライブ会場「artegio」のある「無量塔」を離れて、
およそ近くにあるその日の宿へと歩いた。

“温泉保養集落””現代湯治宿舎”を謳う「束の間」は、
集落内に点在する離れ家スタイルで、
温泉のある時間を自宅感覚で、
気兼ねなく過ごせるという、
接客面では「無量塔」の対極にありそうな温泉宿。 由布岳を望む本邸前から階段を登れば、
しゅんしゅんと湯気を上げる貯泉槽施設と、
広々とした大露天風呂が迎える。
一泊した離れにある半露天の湯殿では、
剥き出しのパイプのハンドルを回せば、
敷地内に自噴しているという、
あっちっちの泉温97.4℃の湯が流れ出る。
湯布院には、こんな温泉宿もあるのだね。

大露天風呂でゆるゆるとしてから、
ふたたび来た道を歩き戻って、
ライブ会場の山荘無量塔アルテジオ美術館へ。
「Dearest Man」から定番のアンコール曲、
「生まれた日」までの14曲に大満足。
この日のライブのレビューは、
大橋トリオを教えてくれた、
☞たけさんのレビューに詳しい。
たけさん、ありがとね(^^)。

湯布院盆地を見晴らす高台にある、
由布院温泉「山荘 無量塔」の一隅に、
蕎麦「不生庵」は、ある。 “不生(ふしょう)”とは、
仏教の根本的な概念のひとつで、
一切の煩悩を断ち生死を離れた、
仏教修行の最高段階を指す阿羅漢について、
応供・殺賊・不生の意味があるとするそのひとつ。
永久に悟りに入り、迷いの世界に生を受けないこと、
何も生じない、本来、誕生も滅びもない、
といった意、概念を示すもの、らしい。
由布院温泉の宿「山荘 無量塔」には、
そんな名の蕎麦店もあることを、
ずっと憶えているような、そんな気がしている。
大橋トリオが唄い演奏する光景と一緒にね(^^)。

「Murata不生庵」
大分県由布市湯布院町川上1266-18 [Map]
0977-85-2210
https://sansou-murata.com/facilities/fushoan/

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