主要ターミナル駅池袋とターミナル駅のひとつ高田馬場駅。そのふたつの駅の中間点にひと駅だけぽつんとあるのが、目白駅だ。
唯一の改札口を出て右手を振り向けば、
ご存じ学習院大学の西門が視界に入ってくる。
目線を少し左に戻せば、川村学園の学び舎。
そのまま目白通りを東に向かえば、
明治通りを渡る千登世橋や、
都電荒川線の鬼子母神前駅、メトロの雑司が谷駅辺りへ。
そのままさらに進めば、日本女子大学や、
焼けてしまったかつての目白御殿、
旧田中角栄邸界隈に出る。
通りから一本裏へ廻ればそこは、
住宅地といってしまっても間違いではなさそうだ。
そんなこんなで、山手線の両側の駅周辺とは、
まったく異なる様相の目白駅周辺は、
わさわさとすることなく落ち着いていて、
なかなかどうして、悪くない(^^)。
その、学習院大学正門のお向かいにあるのが、
トラッド目白という4階建ての商業施設。
小さなエスカレーターで2階へ上がり、
左手を振り向けば、そこにあるのが、
洋食「目白旬香亭」目白店であります。
案内いただいたテーブルに腰掛けて、
何気なく厨房方向を見上げれば、
下がり壁にいつもの黒板が、
「夜の揚げもの」「夜のおすすめ」を提示している。
ハムカツにアジフライにラムカツ。
おつまみウスカツなんてのもあるンだね。
グラスの白をいただいて、ゆったりとする。
外の目白駅前は、綺麗な冬晴れだ。
この日のセットのスープは、人参のポタージュ。
人参の甘みがそのまま滑らかにいただける。
冬場に「旬香亭」に来たならばどうしても、
註文は「牡蠣フライ」ということになる。
大き過ぎず、小さ過ぎずの、
ちょうどいいサイズ感の牡蠣フライが五つ。
横一列に整列して、出番を待ち構えています。
タルタルの準備も勿論たっぷりと抜かりなし。
タルタルのみを頭に載せてナイフを入れる。
その半分を口に含んでひと噛みふた噛みすると、
澄んだ牡蠣の風味と旨味がふっと花開く。
ぶわわんと弾けるのではなく、ふっと花開く。
こんな上品に美味しい牡蠣フライもあるのだと、
腕組んで感心したりなんかして(^^)。
訊けば、広島の牡蠣だという。
ただ、富栄養な海域であり、
加熱用だけれど旨味が濃いという、
そんな印象の広島の牡蠣とは、
少々趣が異なるような気もする。
全生産量の6割と日本を代表する産地広島では、
今シーズンは、牡蠣の大量死が発生して、
地域によっては最大9割が死滅するという、
記録的な不漁、深刻な事態と漏れ聞く。
その中の貴重な牡蠣をいただけたということか。
数年前の睦月に訪れた時には、
大船渡からの牡蠣だと聞いた。
やや大きめのフライが4つ。
こうして比べてしまう格好になると、
牡蠣フライを提供してくれるお店たちの、
秘かであるあるな悩みが浮かび上がってくる。
時季によって牡蠣の大きさは変わっていくし、
個体によって大きさ・重さも違う。
それらを如何に不公平のないようにするか、
というね。
みずほ台の洋食エリーゼ「えいすけ」では、
定食の牡蠣の容量は100gで、
トッピングの牡蠣フライは、
10gいくらの量り売りだったものなぁ。
この日もタルタルの準備万端。
玉葱とかピクルスの粒子をあまり感じず、
バターのようなとろみを思わせる、
そんな感じのタルタルなのだ。
付け合わせのキャベツは、細やかスライス。
キャベツを喰らう際には、
テーブルに揃えてくれる「太陽のソース」より、
断然、オニオンドレッシングが好みであります。
月日遡る卯月には、窓辺のテーブル席で。
ひる下がりの麦酒が美味しくない訳がない(^^)。
スープは定番のコーンポタージュ。
どこまでも濁りないままに、
玉蜀黍の甘みと風味が押し寄せる。
何気に手間が掛かっているのでありましょう。
当時のメニューにはあった、
「メンチカツ&ポテトコロッケ」。
ザックリめのパン粉が齎す見た目のテクスチャと、
丸っこいフォルムとその並びがいい。
左手のまん丸をナイフで半切すると、
それはポテトコロッケだった。
ゴロゴロではなくトロトロクリーム状で熱そう、
いや口に含むも熱かった。
するってえと右側はメンチカツ。
こちらはこちらで、肉々しさが嬉しいヤツ。
今はもう「ポテトコロッケ」「メンチカツ」それぞれが、
独立してメニューに載り、活躍しているようです。
と或る水無月には、「ビーフカツレツ」。
火入れ加減もなかなかであることが、
断面からも窺えて、期待が膨らんだ。
小皿に醤油と山葵を用意してくれたことが、
まず嬉しくも有難い。
山葵醤油で牛のカツ、って実に合う。
元来、揚げ物には醤油、
というのを定説にしているし(^^)、
そこに山葵というのは、
ちょっとした目から鱗でありました。
カツのおよそ半分を山葵醤油でいただいたら、
残り半分は、洋食屋らしきデミソースで。
牛肉や野菜たちの旨味の凝集したソースもまた、
ビーフカツレツの魅力を倍化する。
山葵醤油もデミソース甲乙つけ難し、であります。
と或る文月には、「ポークソテー」。
豚肉の肌理の中に歯の先が、
さくっと入るのが心地いい。
もう5年ほど前にはなるけれど、
「旬香亭」が「カツ丼」を提供すると目にして、
驚きと感心が半分半分の気分になったことがある。
1日5食で平日のランチのみ、
という限定具合ではあったのものの、
今はどうやら提供していないようです。
穏やかな空気を思わせる目白の駅前に、
洋食「目白旬香亭」は、ある。
「旬香亭」といえば、Webサイトでも自ら、
“鬼才”と謳う斉藤元志郎シェフの名が挙がる。
赤坂のお店は既に閉めている一方で、
厨房や経営からは退いているのかもしれないが、
ここ目白、そして丸の内で盛業中、だ。
そうだ、あの、赤坂「フリッツ」も、
斉藤元志郎シェフによるものだったと思い出す。
そして、あの「ポンチ軒」のオーナーも、
斉藤シェフそのひとだったのだものね。
虎ノ門から新宿三丁目に移転したという、
とんかつ「ジーエス」のカツカレーも気になるし、
あの「成蔵」があった場所に出したという、
少量多品種の揚げ物店「Fry家」へも行きたい。
揚げ物にどこまで自分の胃腸が対処できるか、
そのあたりにはちと、懸念はあるけどね(^^)。
「目白旬香亭」目白店
東京都豊島区目白2-39-1 トラッド目白2F [Map]
03-5927-1606
https://shunkoutei.jp/

