俗に市場通り、いや嘗て市場通りと呼ばれた、新大橋通りの入船一丁目交叉点から、「2F coffee」の入る雑居ビルを右手に見て進み、カレーの「KHADONO」そして鰻の「しらゆき」本店を左に過ぎて、沖縄料理「仲宮里」の店先を横目に、牡蠣そばが印象の「丸屋」の前をゆっくり通り過ぎる。右手に焼き鳥「鳥好」の様子を眺めて気が付けば、
知る人ぞ知る鮨「はしもと」の店前にいる。
シャッターを閉じた素っ気ないファサードには、
店名等なんの表示もなく、
まるで潜んでいるかのようだ。
そこからさらに進んで、
平成通りを新富一丁目交叉点で横切って、
青森特産品センター「青森の店」の前から、
首都高都心環状線の京橋ランプ方向へ、
少し歩くと「おつかれさまです」と書かれた、
提灯に灯りが点っているのが見付かる。
一旦通り過ぎて振り返れば、
サカナ、総菜、そして、立呑みと示す木看板。
新富町の立ち呑みといえば、そう、
立呑み「サ嘉ダチ」が気分です。
こんばんは、いや、こんちはーと引き戸を開くと、
左手に厨房に向かい合う立ち呑みカウンター。
一体のべ何人が手や肘をついて擦れたのかと、
カウンターの角をしばし眺めたりなんかする(^^)。
その背面にも立ち呑みの小さなテーブルがあり、
そのお二人さま用の小さなテーブルは、
カウンターを回り込んだ奥にも数卓あるけれど、
基本、おひとり様かふたり連れまで、だ。
生中のジョッキは、サントリー生ビール。
瓶なら、赤星、キリンのラガー、
場合によってはアサヒのアレも註文める。
ジョッキをぐいと傾けてから、
まずは、正面の下がり壁に貼られた、
“オススメ!!”ホワイトボードを物色し、
その左の黒板でその日の刺身を確かめる。
その下の木枠に貼り下げられた、
墨文字、朱囲みの定番品品書きに目を通せば、
その日の黄昏前の戦略が、
朧気ながらも見えてくる、ってな寸法だ(^^)。
或る日の黄昏前にはまず、
お刺身の黒板から「オオモンハタ」を選ぶ。
少し熟成させたのか、
あっさりした旨味と仄甘みのような味わい。
大紋羽太、初めて口にするのかも、多分(^^)。
お次に届いたのが「ポテサラ明太」。
積み上げるように盛ったポテサラに、
追い打ちをかけるように積んだ明太子。
もう少しホロホロとしたポテサラが好みだけれど、
これはこれで悪くない。
明太は明太だけで舐めていた前半戦から、
後半は、全体をうりゃっと混ぜて喰らう。
うんうん、最初からそうやって食べろって(^^)?
白板の「揚げ茄子シラスポン酢」と迷いつつ、
貼り紙メニューからおろし生姜の「揚げなす」。
鰹節の糸削りを全体に塗すように散らせて、
おろし生姜をちょんと添えて口に運ぶ。
揚げた茄子のとろんとした美味しさってのは、
いやー実に普遍的なものなのですなー、
なんて独り言ちたりなんかして(^^)。
これまた定番系貼り紙メニューから、
「ニラのおひたし黄卵のせ」。
出汁に浸ってキュキュっとした韮と、
玉子の黄身のコク味。
さらには、糸削りに千切りの海苔。
このズルい組み合わせは、
他の複数のお店でも出会ったよな気がするけれど、
あれば何故か註文んでしまう。
そふいふメニューって、あるよね(^^)。
焼き魚が食べたいなぁとふと思って、
「塩さば」をハーフサイズで。
文化干ししたものか否か。
炙り目ついた皮目の表情が麗しい。
ノリのいい脂と凝集したよな旨みが、
見た目の美味しさを裏切らないのだ。
前回と同じ開店時間の17時ちょい過ぎに。
同じ時間でも季節が少し違うだけで、
「おつかれさま」と示す提灯の明るさが違う、
その様子を確かめつつ、店内へ。
中生のジョッキと一緒に註文んだのは、
「稚鮎南蛮漬け」。
立ち吞みのカウンターで、
“稚鮎”の文字を見付けることが出来るなんて、
なかなかに素晴らしいことであります。
南蛮酢を軽やかに纏った、
唐揚げの稚鮎を頭から齧れば、
うんうん、肝の仄苦みも併せて、旨い。
たっぷりと添えた玉葱、人参の香味野菜が、
それだけでもオツなツマミになるンだ。
カウンター越しにスッと、お次に届いたのは、
「タコちくわ天ぷら(タコ焼き風)」。
成る程、パッと見、たこ焼きに見える。
たこ焼き気分で、フーっとしてから齧ると、
蛸の、というよりは、竹輪の歯応えがして面白い。
誰かに、これタコヤキ、と云って食べさせたい(^^)。
倉岳、さつま大海、だいやめ、六代目百合と、
4種類ある芋の銘柄から「だいやめ」を選んで、
水割りで所望する。
知っている人は勿論知っている、
“だいやめ”とは、芋焼酎の故郷の方言で、
晩酌をして一日の疲れを癒すこと、ですね。
貼り紙の定番メニューから、
「鶏の唐揚げ甘辛ダレ」。
定番中の定番の居酒屋メニューなるも、
唐揚げで麦酒吞みたい日って、必ずある。
なのでメニューに絶対に必要な一行なのだ。
“オススメ!!”のホワイトボードの下に、
単独で貼り下げられていた品書きに、
「手羽元大根煮込み」を見付けた。
ホロホロになって骨から外れかけた手羽元に、
煮汁がしっぽりと沁みていて、旨い。
辛味をほんの少し点した煮汁は勿論、
大根や人参も美味しくしてる。
こんな発見もあるから、どうしてもこう、
キョロキョロしてしまうのです(^^)。
葉月下旬のこの日の夕刻も、
いつものように「おつかれさま」提灯が点る。
この日は、開店早々にもかからわず、
入って右手の小さなテーブルふたつが埋まり、
カウンターにも複数のひと影があった。
日によって当然バラツキはあるものの、
開店を待つように訪れる客人が、
少なからずおられるようであります。
それゆえ、この日は入ってすぐのカウンターへ。
生中のジョッキをと声をかけてから例によって、
オススメ!!ホワイトボードからお刺身黒板、
貼り下げ定番メニューへと視線を巡らす。
混雑時の利用の制限を表示していたプレートには、
2時間→1時間半と上書きの貼り紙がされていた。
うんうん、二時間でも無粋な長っ尻だものね(^^)。
お刺身黒板の最下段にあったのが、アジ。
これがもう、脂ノリノリのノリノリ。
おろし生姜を都度都度ちょんと載せては、
とろんとした鯵の脂の甘味を堪能する、
その所作の繰り返しが愉し旨い。
「生レモンサワー」を一口吞んだところに、
“オススメ!!ホワイトボードから選んだ、
「ハモ天ぷら」が届いた。
澄んだ味わいの厚みある身肉から上がる湯気。
揚げ立てのハフハフ鱧天が、当然のように美味い。
以前は”関西のもの”ってなイメージが強く、
関東圏で見掛けることのなかった鱧料理が、
最近ではポロっと目にする機会があるね。
同じくホワイトボードから、
「生ピーマン肉みそ」。
鮮度がいいのかただただ爽やかなピーマンの、
その内側に適量の肉味噌を包ませて、口へ。
パキパキっと歯切れよくピーマンを噛んだところへ、
そこへ少々辛味のある肉味噌がコクを添える。
なかなかオツでありますなぁ(^^)。
平成通りの新富一丁目交叉点から、
京橋ランプ方向へ少し歩いた右手に、
立吞み「サ嘉ダチ」の提灯は、ある。
店名「サ嘉ダチ」の意味合いを訊ねたら、
サカナをタチノミするところ、というね、と。
サカナはきっと、”魚”と”肴”のWミーニング。
それを”逆立ち”の語感に結び付けた感じか。
因みに、そこへ”嘉”の字を当てたのは、
例えば、社長のお名前からとか、と訊いたら、
それは違うけれど、理由は判らない、そう。
17時の開店早々に客人が寄り集まり、
ひとり想うが儘ゆっくりと時間を過ごしたり、
ふたり三人で小さなテーブルを囲んだり。
いずれにしても、さっと切り上げて、
ご馳走さまをするのがよく似合う。
そんな立呑み「サ嘉ダチ」へは、
まだ明るい黄昏前に挑むのが気分です(^^)。
「サ嘉ダチ」
東京都中央区新富1-3-10 桑原ビル1F [Map]
03-6222-8676
https://www.instagram.com/standing_tavern_sakadachi/

