琉球王国の栄華興亡を物語ると云われる首里城には、今までに二度訪れている。
だけれど、その「首里」の名を冠した、沖縄そばの有名店には寄れずにいて、ずっと気掛かりでありました。
そして再び訪れた首里城前。
守礼門を潜り、園比屋武御嶽石門を拝んで写真を数枚撮ったりなんかして。
正殿周辺までを辿って引き返し、横手の金城町石畳道の木陰へ廻って、束の間の涼み。
そこから赤マルソウ通りを登って、汗掻き汗かき、ご存知「瑞泉酒造」へ。
空調に涼みながら泡盛古酒のあれこれを試飲させていただく。
泡盛の、年嵩が増すごとに円くまろやかになっていくのがよく判る。
その「瑞泉酒造」からほどなくの、
龍譚通りから少し入ったところにあるのが「首里そば」だ。
開店にはちょっと早過ぎたかなぁと思いつつ店先を覗くと、
既に数台のレンタカーが開店を待っている。
炙る炎天にこりゃ堪らんと庇の下にいけば、手作りなシーサーがお出迎え。
だんだんとお客さんが並び始めました。
「お待たせしましたー」と、一番ノリで案内されたのは、
表に面した窓際のカウンター。
窓枠の棚では、小さなシーサーがプリンとお尻をこちらに向けています。
お待ちかねの「首里そば」がやってきました。
ラフテーによくみる形状の三枚肉をやや厚めにスライスしたものが三片にかまぼこが二片のっている。
やっぱり目を瞠るのは、澄んだスープ。
先日の「山原そば」以上に透明度の高い。
ほほー、と唸りながら、そっとスープを啜る。
啜ってまた、ほほー(笑)。
カツオの出汁旨みが鮮やかに利いていて、それを豚の出汁が支える感じ。
一番出汁のみの贅沢を堪能しちゃってね、という器を改めてじっとみる。
その澄んだスープに泳いでいるのが、みるからに粉々しくて力強そうなやや平打ちのストレート。
早速啜ってみると、見かけ以上の剛性がある麺。
壁に貼られたポスターの隅には、テコを応用した独自の手法を用いた手打ち麺、
だとある。
余分な加水をせず、
押し捏ねる力の反復で麺に纏め込んでいるということなンだろね。
伸びて次第にだらしなくなるような気配のない、一本気な麺であります。
具の三枚肉やかまぼこはもとより、
嬉しがらせるのは、トッピングされていた針生姜。
デフォルト投入で紅生姜が入っているような事態に思わずタジロぐことが少なくないのだけれど、こうであれば出汁の風味を殺さず、色で濁らせることもなく、香気を添えてくれるね。
時間掛かります!と云われていた「ジューシー」が届きました。
残しておいたスープを時折口に含んでは、
上品な味付けの炊き込みご飯を分け食べます。
つやつやぱらぱらした食べ口に旨みの艶がある感じ。
外の暑気から逃れるように、そして折角だから(?)と「氷ぜんざい」。
どちらかと云えば、ふんわり細かく削った氷が好みなれど、こうして粗めに粒にした氷と金時豆との取り合わせも悪くない。
ん~、涼やか。
1993年まで首里にあったという、
「さくら屋」のおばぁの味を伝承するお店としても有名な手打ち「首里そば」。
嗚呼それにしても、そこいらの茹で置き麺と化調なスープの沖縄そばとは明らかに一線を画する、そば、なのであります。
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本場「山原そば」で 三枚肉そばソーキそばやんばるの中の洗練(10年08月)
「首里そば」
那覇市首里赤田町1-7 コンサートギャラリーしろま1F
[Map] 098-884-0556
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