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Restaurant「TASK」で糸島旬野菜鹿コンソメ鰆仏手柑ソースあか牛インサイド海辺にて

某国営放送の朝の連続テレビ小説の舞台のひとつにもなっていて、福岡の旅から少し足を伸ばすのにちょうどよいと考えたのが、糸島半島方面。
博多からおよそ真西方向へと西九州自動車道をレンタカーを走らせて、今宿ICで降り、海辺を求めて半島の東岸を北上する。
聳り立つヤシの木の葉が風に揺れて、
如何にも海水浴場っぽいビーチで、
ひと息入れようと車を停めた。

小田浜海岸の道路際から眺めると、
ヤシの木とヤシの木の間を渡すように、
長いロープに吊られたブランコがある。
海を眺めながらしばし、ゆーらゆら(^^)。

鮫が大口を開けたジョーズ的オブジェの横を通り抜け、
ガーデンバーベキュー店の前まで浜辺を行くと、
なんと、色鮮やかな”どこでもドア”がある。 こりゃ、出ては入るをしてみるよね(^^)。

その先へクルマを走り進めると、
波打ち際に立つ白い鳥居が見えてくる。
糸島の海岸線の象徴と思しき、
櫻井神社二見ヶ浦海中大鳥居、
そして桜井二見ヶ浦夫婦岩が呈する景観だ。 桜井二見ヶ浦は、
櫻井神社の宇良宮(うらのみや/裏宮)として、
お祀りしているといわれ、
大注連縄で結ばれたふたつの御神体岩は、
向かって右が男性の神様で、
向かって左が女性の神様が鎮まっているという。
荒波の中で寄り添う夫婦の姿をしていることから、
縁結びや夫婦円満のご利益があるといわれる。
ご利益にあずかるべく、
そっと手を合わせましょう(^^)。

志摩サンセットロードを走り、
芥屋の大門近くまで辿り着く。
残念ながら、観光船は冬季の運航をしておらず、
日本最大の玄武岩窟の柱状節理は拝めず…。 大門神窟の鳥居の近くにある、
“糸島のトトロの森”と呼ばれる山道を辿って、
芥屋の丘の上の展望台へ。

あんまりのんびりしていると、
ランチの予約時間に間に合わない、
とばかりにクルマを走らせる。
4年程前に伺って感激した博多うどんの店、
釜揚げ「牧のうどん」本店近くを通り過ぎ、
糸島半島の付け根あたりの海辺まで。 国道202号線の旧道沿いに建つ、
ガレージハウスの長屋のような建物が、
この日のランチの目的地だ。

予約の名を告げると、ずずずいっと、
長細い店内の一番奥のテーブルへ。 あらー、これはいい、ビーチが目の前だ。
ならば出来ればということで、
並んで座ることのお許しを請う(^^)。

正面の洋上に浮かぶは、姫島。 レストランが接しているビーチは、
深江海水浴場の一部にあたるという。

クルマゆえナチュールを!という訳にもいかず、
ノンアルカクテルの中から選んだのは、
「糸島産柑橘・リンゴトニック」。 この日の糸島産柑橘は、初耳の「ゲンコウ」。
ゲンコウは、玄界灘に浮かぶ馬渡島(まだらしま)に、
自生していた香酸柑橘だという。

まず届いたのは、バターナッツ南瓜のフラン。 何処かで聞き齧った気もするバターナッツ南瓜。
確か瓢箪みたいなフォルムのヤツだったか。
そう云われればナッツのような風味もあって、
ねっとりした甘さを軽めに仕立てている感じ。
その上にフレッシュチーズを載せ、さらに、
フランボアーズと赤キャベツの丸いジュレ。
トッピングの不思議な網状のものは、
烏賊墨由来の黒一色だ。

「季節野菜のスティック」に添えられたのは、
アンチョビと焼き茄子のソース。 碧いグラスの底に保水のジュレを潜ませて、
その上に糸島産の旬の野菜たち。
チコレ(エンダイブ)やトレリス、フリルレタス。
オレンジのカリフラワーにあやめ蕪。
小さな人参=サラダ人参に金時人参の仲間なぞ。
アイスプランツにパプリカ、セロリ、胡瓜。
ぎっしりと盛り盛りなのが嬉しくて、
そして、このディップがズル美味い。

4つ目のグラスには、
底に玉子と魚醤の透明なジュレ、
その上にカリフラワーのピューレ。 イクラ様のものは、鱒の玉子。
その脇にあおさ海苔のあしらい。
カリフラワーの風味に、
あおさ海苔のアクセントがいい。
底のジュレと一緒にいただくべきだと、
最後になって気が付いた(^^)。

テーブルのすぐ横がオープンなキッチン。 こうして海を眼前に調理できるって、
きっとめっちゃ気分いいに違いない。

5つ目のグラスは、鹿のコンソメ。 ここでジビエ系というちょい意外な展開。
んんんー、じっくりと美味しいコンソメだ。
紛れもないコンソメの底にはブラックタピオカ。
キノコのクリームとナッツを載せた、
椎茸パウダーで作ったサブレを添えている。

本日のお魚料理は、鰆。 皮目をパリッと焼いた鰆を脇にして、
お皿の中央に描くは、
仏手柑(ぶっしゅかん)のバターソース。
そこへセロリオイルを垂らしてる。
緑のラインのパセリとアーモンドのソースに、
オレンジのドットは、トマトと牛乳のピューレ。
鰆って、主張し過ぎないくせに品よく旨いので、
こふいふお皿にもいい感じに似合うのだね。

ジュジューと焼き音が聞こえたと思ったら、
宮崎県産あか牛のグリエ。 赤ワインソースに浮かぶは、
インサイドと云われるばら肉の希少部位。
周囲を飾るは、野菜たちと、
じゃが芋のニョッキに南瓜のピューレ。

トラパーニの塩とカリフラワーの間に、
そっと置かれているのが、
黄色い柚子の柚子胡椒。 その柚子胡椒をちょんと載せ、
如何にも柔らかそうな、そして、
火入れの加減も良さげなインサイドを食む。
しっかり目のソースがぐいっと、
あか牛の旨味を惹き立てる。

ゴゴゴ、シュイーン。
何度か店の表の方から聞こえるのは、
国道を挟んで向かい側を時折、
筑肥線の車両が通るから。

そして本日のデザートは、6つ目のグラス。
それは、金柑のジュレと金柑のソルベ。 苺は、糸島の庄島苺園でしか作られていないという、
「レディア」という希少品種の甘いヤツ。
パッションフルーツのマシュマロに、
キューブ状はフランボワーズのパート・ド・フリュイ。
フィナンシェにココアとカカオニブのビスケット。
佐賀は嬉野温泉にあるという、
中島美香園という茶舗の嬉野和紅茶とともに、
小菓子たちをいただく。

ビーチに出れますか?と訊いて、
建物の脇から砂浜に降りてみる。 レンタルームと表示されたお隣さんのテラスには、
シャワーの用意がある様子。

他に誰もいない砂浜に立って、
ゆったりと姫島の浮かぶ海や、
寄せては返す波打ち際を眺める。 やっぱり海辺っていいものです(^^)。

糸島半島の付け根あたりの、
国道202号線旧道の線路沿い。
深江海水浴場のビーチに面して建つ、
ガレージハウスの長屋のような建物に、
Restaurant「TASK」は、ある。 シェフのお名前が、柄本佑と同じ”たすく”なの?
と店名「TASK」について訊いてみた。
すると、名前そのものではなくて、
家族の名前の頭文字を組み合わせたものだそう。
やることいっぱいある、タスク沢山、
という意味でも勿論ないですね?と笑い合う。
ビーチに面したところに店を構えて、
海を眺め乍ら料理を振る舞うのが、
長年の夢だったンじゃないかと想像したりする。
きっと夏には賑やかになるのだろうけど、
静かな冬の海辺のひと時もまた、
魅力的でありました。

「TASK」
福岡県糸島市二丈福井6064-1 [Map]
092-332-0880
https://www.instagram.com/restaurant_task/

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