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農カフェ「Couleurクルール」で桃農園の桃づくし桃カツレツ桃豆乳プリン季節の彩り

それはまだまだ酷暑の続いていた八月下旬のこと。
忍野村の森の中にひっそりとある富士北麓cuisine「nôtori」で、目眩くような料理たちを正に堪能した。
“ここの土地を食べていただくような料理”と冒頭に紹介されてから展開していったお皿のひとつひとつは、地元愛をひしひしと感じさせるほど、
山梨産の食材・産物に徹底的に拘ったものであり、
かつ創造的で実直なものでした。
そして、ペアリングのお酒たちを含めて、
大満足のそのまんま、
そのレストランから数歩にある部屋に泊まる、
つまりは帰らなくていいというのもまた、
贅沢にして嬉しいものだったのです。

1,000m近い標高の忍野村の朝は、
真夏であっても爽やかで清々しい。
テラスの先の雑木林を散策したりして、
のんびりと過ごしてから「nôtori」を辞して、
国道137号線を北上する。
河口湖の脇を抜け、新御坂トンネルを出れば、
御坂みちはどんどんどんどんと下っていく。
こんなに下っていくんだと、
少々びっくりしつつ着いた目的地、
笛吹市の中心部は標高270m程らしい。
一気に700m以上標高を下げた盆地は、
陽射しギラギラのすっかり酷暑の夏でした。

ここ甲斐国一之宮 浅間神社があるのも一宮町。
一体全体国内に幾つ、
一宮町、一の宮町という町名はあるのだろうね、
なんてことを話し乍ら二の鳥居を潜ります。 忍野村のお隣、富士吉田でお参りしたのも、
北口本宮冨士浅間神社と、浅間神社だった。
一体全体国内に幾つ浅間神社はあるのだろうね、
なんてことも話つつ、手水舎を経て拝殿へ。
甲斐国の一の宮、浅間(あさま)神社は、
全国にある浅間神社のひとつで、
「一宮浅間神社」と通称されていて、
富士山を神格化した神、
木花開耶姫命を祭神としているという。
登山口ともなっている北口本宮冨士浅間神社は、
まさに富士山を背景にして建っていたけれど、
ここ一宮浅間神社からは富士山も見えず、
本殿も富士山とは関係ない方角を向いている、
というところも面白い。

甲斐国の一の宮へのお参りを終えて向かったのは、
車で数分の同じ一宮町町内。 探るように車を進める細道の先に、
「大北農園」との文字を見付けて、ひと安心。
この日のおひる処は、大北農園さんが営むカフェ、
「Couleurクルール」なのであります。

大北(おおきた)農園は、
桃の生産量日本一の山梨県の、一宮町金田という地で、
70年超に亘って桃を作り続けてきた農園。 農作業小屋か倉庫かのようにも見える建物に、
様子を窺うように近づくと、
屋根の下の右手の開き戸の前に暖簾が掛かっている。
そこは農園の直売所だと判り、
ならばと早速いろいろな種類の桃たちを物色する。
お買い上げした桃は、
食事を終えるまで預かってもらいましょう。

直売所の左手、つまりは正面にある、
葡萄色にペイントした扉が、
大北農園併設のカフェ「Couleurクルール」。 予約の名を告げて、フロア中央のテーブル席へ。
厨房では、同じ帽子をちょんと被った女性陣が、
忙しそうに立ち動いていました。

建物東側にあるテラス越しに葡萄畑が見える。 北側の窓からは、桃の木の並びが望めて、
桃がひとつぶら下がっているのが見えた。

入口近くの大柱に取り付けられていた時計が印象的。 全体に女性のセンスっぽい設えに映る。
冬場は冷え込むのでしょう、
薪ストーブが据え付けられていました。

「Couleurクルール」のランチメニューは、
季節を味わうお得な「彩りプレートランチセット」から、
「車麩のカツカレーセット」に「車麩のカツ丼」、
甘口の「豆カレー」に中辛の「ほうれん草のカレー」。
この日は、「彩りプレートランチセット」が、
期間限定の特別プランとして、
「桃づくしランチセット」に切り替えられているのでした。 それは、桃や葡萄を使った料理あれこれを軸に、
農園の産物を活かした料理が彩る「桃のプレート」に、
4種類から選べるスイーツやドリンクをセットした、
正に豪華版プレートセットなのであります(^^)。

どーんと運ばれてきた丸盆のワンプレート。 そこに7つの料理が盛り込まれ、
「桃とトマトのガスパチョスープ」が、
その脇に添えられています。

右手のスフレカップには、
ピンク色が目を惹くポテトサラダ。 桃のイメージもなくはないけれど、
桃の果汁でこのピンクは表現できないなぁと思えば、
その発色の元はご存じビーツによるものだ。

4切した玉葱のローストに添えられた焼き葡萄。 玉葱を染めているヴィンコットソースとは、
葡萄を煮詰めて作られるやや甘めのソースだね。

あれ、肝心の桃は何処にと思えば、
「車麩のフライと桃のカツレツ」なんて一節がある。 車麩を揚げたものは定番メニューのようで、
それにコンビしたのが桃のカツレツ。
齧ればほら、桃の汁弾ける、
その不思議さにニヤリといたしましょう(^^)。

メインともいうべきパスタのお皿は、
「ブドウとミニトマトの冷製パスタ」。 桃づくしプレートの冷製パスタと云えば、
カッペリーニやスパゲッティーニを使った、
“冷たい桃のパスタ”じゃないのかー、と、
正直な気持ちを吐露すれば、
そういう疑念を抱くことにはなった(^^)。
きっと、そうはいかない事情があるのでしょう。

胡瓜の漬物なぞを載せた雑穀ご飯は、
「桃と茗荷のピクルス」と一緒に。 少し若い感じもする桃を漬けたピクルスは面白い。
ご飯と一緒というよりは、ワインのお供のひとつに、
なんて手もあるかもしれないな。

選んだジュースはやっぱり、
「桃の生搾りジュース」。 桃を皮ごと搾った100%ストレート。
桃づくしですもの、そうこなくっちゃだ。

そして、選んだスイーツもやっぱり、
「桃の豆乳プリン」。 カットした完熟の桃がたっぷりと載り、
二層になったプリンというかゼリーにも、
“桃感”が十二分で、うん、美味しいね。

甲斐国一之宮浅間神社のある笛吹市一宮町の、
桃畑や葡萄畑に囲まれた大北農園の一角に、
農カフェ「Couleurクルール」は、ある。 Couleurクルールとはフランス語で、
“彩り”を表す言葉です、とWebページにある。
移り変わる季節の風、光、色、
旬の野菜や果物の顔ぶれ。
四季の”彩り”の変化を感じながら、
心地良い時間を、とも。
地域を代表するような規模と歴史のある農園で、
土地ならではの、季節毎の旬のフルーツを、
採れ立てでいただけるというだけでなく、
手間や工夫を施した料理に仕立ててくれる。
それはそのまんま有難いことなんだ。
でもねでもね、折角なら、
もっともっと桃に拘りまくった「桃づくし」、
だったらもっと良かったのになー、
とも思ってしまう自分がいたのは、
偶々、地元愛をひしひしと感じさせるほどの、
山梨産の食材・産物に徹底的に拘ったレストラン、
富士北麓cuisine「nôtori」を堪能した、
その翌日のことだったからに違いありません(^^)。

「Couleurクルール」
山梨県笛吹市一宮町金田1223 大北農園内 [Map]
0553-47-5899
https://www.cafe-couleur.jp/

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