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土鍋ごはんと甘辛カレー「一体感」でタッグ組む和牛カレーブレンド米土鍋ご飯の魅力

歌舞伎座の脇の道と云えばそう、エリアの総称としてもその名を残す、木挽町通り。
そこには、インバウンドが大挙して訪れる前から行列をつくる店が幾つかある。
例えば、ふわとろのオムライスをはじめ、サンドイッチやナポリタンなどのカフェメニューで従前から評判の喫茶「YOU」。
喫茶店と云えば、少し先の「AMERICAN」は、初見では誰もが驚く、
チョー厚切りパンによる玉子サンドで名を馳せてきた。
最近では、その向かいのとんかつ店、
「イマカツ」銀座店の前にも行列を見掛けるようになった。

その先の角の支那麺「はしご」向かいの、
「五代目花山うどん」の行列も常態化。
その様子を左手に松屋通りを右に折れ、
とんかつ「丸七」の行列を横目にしつつ、
首都高を渡る祝橋方向を正面に眺め遣ると、
そこにもそこそこの行列がある。 その行列の出所はと探ればそれは、
土鍋ごはんと甘辛カレーと謳う、
「一体感」なる名のカレー店でありました。

いつの間にカレー店になっていたのかなぁ。
店先の木製看板の枠や、
その上の小さな三角屋根が、
そこそこに年季の入っているのを眺めながら、
前の店のものを流用してるに違いないと、
余計なお世話なことを、
行列のひとの手持ち無沙汰が思わせる。 この場所でいつぞやランチしたことがあると、
そんな気もするのだけれど、
ここのテナントが以前何だったか、
腕組思案するもまったく思い出せない(^^)。

ポツポツと進む列から解放されて、
厨房を正面に見据えるテーブル席に収まった。 土鍋やお皿たちが居並ぶカウンターから、
目線を上に動かすと、
宮崎牛、霜降り牛、千葉牛等と、
クラウンの正面に牛の名を入れたキャップたち。
そこからまた視線を落とせば、
店のロゴに見るのと同じフォルムの、
立派なおヒゲが目に留まった(^^)。

カレーに種類がある訳ではなく、
ご註文は一本勝負の「和牛ビーフカレー」のみ。
5辛までが選べる辛さは勿論、
基本価格の「中辛」で。
「オリジナルブレンド米」を皮切りに、
「きぬむすめ」「雪椿」から選べるという、
土鍋のご飯もやっぱりまずは、
オリジナルブレンド米から始めましょう。

オリジナルブレンド米は、
メニューの解説によると、
山形のブランド米「つや姫」と、
宮城の「ササニシキ」とを配合したものだという。 註文が入ってから炊き始めるが故の、
30分程の待機時間が、お腹を減らし、
期待値を少しづつ上げていく。
いらっしゃいと迎えたトレーの位置を整えて、
熱気を掌に少し感じつつ土鍋の蓋を外す。
すぐに立ち昇る甘い匂いの湯気。
ああ、お米のひと粒ひと粒が立って、
活き活きとしているのがよく判る。
炊きたての土鍋ご飯はこうでなくっちゃという、
期待通りの景色がそこにあった。

丸皿の隅には、付け合わせが載っている。 付け合わせは左から、クミン香るマッシュポテト、
紫キャベツのラズベリーマリネ、
大根のウールガイに人参のグラッセ。
ウールガイとは南インドの酸っぱい漬物のことで、
つまりは、大根のアチャールということか。

土鍋から丸皿の中央にご飯をよそりそこへ、
ソースポットから一気にカレーを流し込む。 そしてその真ん中に「御養卵」を配すれば、
漸くの和牛ビーフカレーライスの完成だ。
あああ、カレーが零れそうになっとるやん(^^)。

自分で載せておいてなんだけれど、
やっぱり玉子の黄身はズルいなぁと思いつつ、
そこを外した周囲からスプーンを攻める。 黒毛和牛をたっぷりと使い、そこへ、
野菜やフルーツの旨味や甘みを融合したという、
カレーソースはどんぴしゃの好みのお味。
辛過ぎることがなく、かつ油脂のベタつきもない。
軽やかに甘味があり、それでいてコクがある。

と思うも束の間、
一緒にしたご飯の甘みと旨味が口腔を襲う。 長粒米のようにサラサラとした、
そしてアルデンテのような触感が心地よく、
それでいてふっくらとした甘みがしっかとある。
とてもいいと思ったカレーソースがまるで、
この土鍋のご飯のための引き立て役みたいだ。
ふたつのお米を独自にブレンドした意味が、
食感や味わいから伝わってくる。

よく考えられた、それ故に美味しいカレーに、
成る程とすっかり感心して、
ひっそりとメニューの隅にあった、
「和牛ハヤシライス」もイケるのではと再び、
長過ぎない行列の末尾に並んだ。

選んだ土鍋ご飯のお米は、
“新米”タグの付された「雪椿」。
メニューの解説によれば、
世界に七人しかいない、
ダイヤモンド褒章受章者が、
新潟県津南町の豪雪地帯で育てた、
最高級の魚沼産コシヒカリだという。 今回の炊き上がりも前回同様、
美しき粒立ちの景観がみられた。

和牛の肉もたっぷりの様子のハヤシソース。
カレーの時と同様に、
丸皿によそった土鍋ご飯へと流し込もうとするも、
ここからが少々勝手が違った。 加減のいい粘度を思ったカレーと違って、
ハヤシソースが想定外の粘り腰だったのだ。

お約束の御養卵を載せてみてから、
土鍋のご飯とともにハヤシソースを口に含む。 まったーりとした味わいの中に和牛のお肉。
濃厚なソースが特徴とされるハヤシライス、
とはいえ、ねっとりが過ぎやしませんか。
カレーでは抑えた油脂に感心したに対して、
ハヤシでは脂っぽさ満載になっている。
何故にこんなことが起きたのだろう。
ハヤシライスのオーダーは圧倒的に少ないので、
意図せず煮詰まってしまったりしたのだろうか…。
二郎ラーメンを難なく美味しく食べられる、
そんな若者にはウケるのかも、しれないな…。

気を取り直して、三度目の祝橋近く。
選んだお米は、「サキホコレ」。
オリジナルブレンド米は勿論のこと、
「雪椿」も定番としている一方で、
もうひとつの選択肢は、「きぬむすめ」に、
「雪若丸」「サキホコレ」と変えていっている。
サキホコレは、メニューによると、
コシヒカリを越える極良食味品種として、
秋田県で開発された新品種だという。
この日の土鍋のご飯も、
つやつやで美味しそうな炊き上がりだ。

試しにと「ほうれん草」をトッピングしたら、
カレーソースに混ぜ込んでくれていた。 丸皿によそった土鍋ご飯の上にして、
欲張って註文した素揚げの茄子の脇へと、
そのカレーをソースポットから流し込む。
あ、また、炊き立てのご飯だけを味わえ、
という大事なステップを飛ばしてしまった。
しかも、玉子の黄身が毀れてしまったやん。

それでも、うん、やっぱり美味しい。 ほうれん草が多少、纏わり付き感を呼ぶので、
カレーに混ぜ込まれるトッピングはない方が、
土鍋ご飯とカレーとの魅力が活きる気がする。
土鍋の炊き立てご飯をただ真っすぐに、
美味しくいただくために、
そのためにこのカレーがあると、
そんな風に受け止めつつ味わうのが、
相応しい向き合い方のような気がしたぞ。

歌舞伎座界隈にして木挽町界隈の、
首都高渡る祝橋近くの松屋通り沿いに、
土鍋ごはんと甘辛カレー「一体感」は、ある。 店の名の「一体感」とは果たしてそのまま、
土鍋ご飯と和牛カレーとの”一体感”を示すのか。
いずれにしてもまずは、
オリジナルブレンドのお米を選び、
余計なトッピングは脇に置いておき、
炊き立ての粒の立った土鍋ご飯と、
その魅力を十二分に引き立てる、
黒毛和牛たっぷりなのに、
油脂抑え目のカレーとのタッグ、
絶妙なる組み合わせを堪能する、
というところから始めましょう。
あ、カレーを土鍋ご飯にかける前に、
炊き立てのご飯だけを味わうのを忘れずに(^^)。

「一体感」
東京都中央区銀座4-14-1 石田ビル銀座1F [Map]
03-3542-5055
https://solatsuki.jp/ittaikan

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