お食事処「藤や食堂」で 二度蒸し後がけソースの石巻焼きそば

fujiya.jpg万石浦を臨むかき小屋「渡波」で、 絶品に旨い焼き牡蠣を堪能した後、 万石橋の近くにあるバス停から石巻駅方面のバスに乗りました。 バスの車窓から見えるのは、 ほとんど瓦礫の撤去を済ませた後の更地。 所々に津波の被害を受けたままの様子の痛々しい建物が残る。 駅の手前、シャッターの降りた店舗が並ぶ商店街でバスを降りました。

と、交叉点角の歩道に仁王立ちしているヤツがいる。 紅いボディスーツに身を包み黄色いマフラーを靡かせ、石巻駅方向を見据えているのが、 かの石ノ森章太郎画伯が生んだ「サイボーグ009」の主人公009島村ジョーだ。fujiya01.jpgパネルの説明書きを眺めると、 閉館中が残念だった「石ノ森萬画館」へと向かうマンガロードに沿って、 他の00ナンバーのサイボーグや仮面ライダー、ロボコンといったキャラクターたちが迎えてくれるそう。 そんな009の背中越しにお食事処「藤や食堂」の袖看板を見つけました。

外観通りにくすんだ古色がいい感じの店内はほぼ満席。 先客さん達と入れ替えるように隅のテーブルへと腰を据えます。

窓への貼り紙には、 石巻焼きそば伝道師「ちゃちゃ丸」のキャラクターがコテを手に微笑んでる。fujiya02.jpgfujiya03.jpg注文んだ麦酒のラベルは、「第6回 B1グランプリ 姫路大会」誂えのもの。 石巻観光協会の「茶色い焼きそば食べ歩きマップ」によると、 こちら「藤や食堂」は、愛Bリーグ会員「石巻茶色い焼きそばアカデミー」の会長の店なのだ。 ということで、「特製焼きそば」をお願いします。

なにやら妙に忙し気な厨房のご様子。fujiya04.jpgお時間掛かります、とのおねえさんのプチ困り顔にうんうんと頷いて、 麦酒グラスをちょこちょこ傾けつつ、待つことにします。

ややあって届いた「特製焼きそば」には、目玉焼きが中央に載り、たっぷりの紅生姜。fujiya05.jpg焼きそばそのものは、妙な押しを思わせないシンプルな表情です。

目玉焼きの脇から引き出して啜る焼きそば。fujiya06.jpg脂の甘さを思うツルンとした感触とあくまで柔らかな噛み応え、仄かな出汁の旨み。 それは勿論のノーモア・アルデンテ(笑)。

fujiya07.jpg玉子の黄身を崩したりしながら1/3ほどいただいたら、 卓上のチューブを手にします。 ラベルにはキャラクターのちゃちゃ丸くんと石巻焼きそばソース、の文字。 こんなもんかなとソースを回しかけ、軽く和えて再び口へ運びます。fujiya08.jpgfujiya09.jpgうん、ソースをかける前の素朴さもソースをかけた後の素朴さも、 どちらにもなんだか和んでしまいます。 おねえさんのTシャツの背中には、 “石巻焼きそば、二度蒸し後がけソース”とプリントされている。 そうか、この麺は、二度蒸しているんだね。

石巻焼きそばの麺は、一度蒸し上げた麺を水で洗い、もう一度蒸し上げて作っている。 二度蒸しされることで、麺に含まれる「かんすい」が熱で変化し、茶色くなるのではというのが通説らしい。 麺を蒸したのは、まだ冷蔵庫が一般的でなかった昭和20年頃に常温保存するために工夫を施したことが起源という。 保存のため麺を蒸したことから生まれた伊那の「ローメン」のことが脳裏を過ります。

創業60年、石巻焼きそばアカデミー会長の店「藤や食堂(ふじやしょくどう)」。fujiya10.jpgfujiya11.jpgこれからも「石巻焼きそば」を石巻のひとつの顔として、 少しずつでも石巻を活きいきとさせていってくれることでしょう。 渡波駅まで復旧なった石巻線に乗り込んで、仙台へと向かいます。

口 関連記事:   かき小屋「渡波」で 万石浦採れ立て焼き牡蠣の衝撃的な旨さ(12年03月)   中国風菜館「萬里」で 伊那地方特有の麺料理ローメン発祥の店(11年05月)


「藤や食堂」 石巻市立町2-6-17 [Map] 0225-93-4645
column/03260