
どこに仕舞い込んだかなぁ、
日経BPの「東京デザイナーズレストラン」。
あやふやな記憶なのだけど、シリーズ発刊していた「東京デザイナーズレストラン」のいずれかに、青山ラピュタガーデンのことが載っていたはず。
初刊の発行が95年頃なので、かれこれもう15年近く前のことかと思うと途端に遠い目になる(笑)。
vol.3かvol.4での掲載だったとしても、97-98年あたり。少なくとももう、10数年前のことなんだ。
そんなことを考えながら歩く、外苑前寄りの青山通り。
「青山ラピュタガーデン」は、青山通り沿いのユニマットのビル9階。
ここが専用のエントランスなんだねとドアを入ると直通のエレベーターが待つ。
1と9のボタンしかないエレベーターで上った9階で降りて、
数段登った階段の先右手に待つ扉が「玻璃 青山」。
まずは部屋内へどうぞと案内されたフロアでは、
数組のカップルを含めた先客さんたちが既に夕暮れ間近の宴に興じています。
硝子窓に向かうテーブルに腰掛けると目線の先には、六本木ヒルズにミッドタウン。

ミッドタウンの向こうには東京タワーの尖んがりが覗いています。
テーブルの上でそっとアピールしているシートには、
シャンパンの「ローラン・ペリエ ブリュットL-P」。

今夜はこれを呑みに来たんだもんねとシゲシゲ眺めると、
なにやら高貴な雰囲気のご両人がキスを交わしている写真が目に映る。
それは、この4月の末のこと。
英国ウィリアム王子とキャサリン妃の結婚式の夜、
バッキンガム宮殿で行われたチャールズ皇太子主催の晩餐会で、
アペリティフとして招待客に振舞われたのがこの「ローラン・ペリエ ブリュットL-P」(ボトルはマグナム)だったのだ。
暮れ泥む六本木の街を背景にしゅわしゅわと注がれる、エレガントな滴たち。

“L-P”=”Laurent Perrier”。
それは、ローラン・ペリエのブランドやそのスタイルを代表するボトルであることを示すもの。
そして、表ラベルの首に巻かれたリボン状のシールは、「英国王室御用達」の印。
なんだか”認められたもの”の品格が沸き立つようです。
やっぱり此処に来たなら、水際の情緒を堪能したいと、
中程の扉を出てオープンエアへ。

エメラルドグリーンに映るプールの向こうは、お隣のイタリアン「アルトモンド」。
丸テーブルが囲むプールサイドは、
昼間の酷暑の空気がすっと退いて、涼やかに風が動いて抜ける。
この辺りも空に近いところにある水辺レストランの真骨頂なのでしょね。
日が落ちるに合わせて点ったランプの元へと届いた季節の前菜の盛り合わせには、
「ツブ貝の老酒漬け」に「蒸し鶏の中華風バーベキューソース」。

ちょっと汗を掻いてきた「ローラン・ペリエ」のグラスを傾けつつ、
「カツオの炙り 山椒のソース」「自家製チャーシュウ スイカを添えて」。
お手軽コース「水晶」からのメニューです。
すっかり陽の落ちたプールサイドにも映えるフルートグラス。


二杯目のグラスのお供は、「フカヒレ入り冬瓜と枝豆のトロミスープ」。
夏仕様のフカヒレスープに不思議なくらい「ローラン・ペリエ ブリュットL-P」のアロマとブーケとが似合うのは、そのバランスの良さが齎してくれる妙味なのでしょう。
然らば、揚げ物にはどうでしょうとでも問うように届いたお皿は、
「3種海鮮の油林ソース 夏野菜と共に」。

フリットにした芝海老、青海苔の衣を纏った紋甲烏賊、鱚にはアーモンドの衣が包む。
傾けるグラスは、衣の油もさらっと受け止めて、甘酢のソースにもシャルドネの風味が軽く洗うような所作をみせるのね。
そよそよと涼風そよぐプールサイドの席が埋まってきたと思ったら、

硝子の中も賑やかになっています。
本場点心師からのふた品と題する蒸籠には、紅白に飾る帆立と海老の蒸し点心。


シャンパンで通すのも悪くないものだなぁと、
三杯目のお代わりのグラスをそっと差し出します(笑)。
メインの肉料理は、「松坂ポークの完熟トマト煮 青菜炒めを添えて」。

こっくりとしたワイン煮なんかだとツライかもだけど、
こうしたフルーティなトマトソースならば、それは小粋なマリアージュ。
シャルドネのフレッシュさと黒葡萄ピノ・ノワール、ピノ・ムニエが添える柔らかな奥行きには、色々なお皿との相性の良さみせる懐の深さがあるのだね。
そうだ!晩餐会のデザート時に供されたという、ピノ・ノワール100%から醸す絶品のロゼ「ローラン・ペリエ ロゼ」ももしかしていただけないかしらんと訊ねたところ、いまのところその用意はないのですとのお応え。
ならば、「ローラン・ペリエ ブリュットL-P」をベースにカクテルをとお願いしてやってきたのが、赤味鮮やかなフルートグラス。


クランベリーとカシスがそのレシピ。
そもそもシャンパーニュをつくるために栽培された三種の葡萄、シャルドネ、ピノ・ノワール、ピノ・ムニエのなすワインの絶妙なるカクテルともいえるシャンパン。
バランス良くブレンド(アッサンブラージュ)されたシャンパンは、こんな悪戯も上手に受け止めて、味わいの芯を失わずにすっと馴染んでくれるのですね。
真夏にして夜風そよそよと涼しげなプールサイドでいただく、
イタリアンテイストと和食のヒントを利かせたチャイニーズレストラン「玻璃Bow Lee青山」。



“玻璃”というのは、水晶や硝子のことを指す。
硝子越しの夜景、シャンパンの泡を包む硝子、揺らめく硝子のようなプールの水面。
天空のレストランで、そんな硝子をモチーフにした表情を探すのも愉しいかもしれないね。
今宵はサントリーの企画、
「ロイヤルウェディングのシャンパンを楽しめるレストラン」
でお邪魔しました。
「玻璃 青山」
港区南青山2-12-14 ユニマット青山ビル9Fラピュタガーデン内
[Map] 03-5770-2085
http://www.aoyama-laputa.jp/
column/03152