猛暑真っ只中の8月初旬。
茹だる暑さにふと、イケテる担々麺が食べたくなって、思いついたのが赤坂の街。
げんさんの記事を読んで、覚えていたンだな。
夜になっても熱気のまったく退かない赤坂を一ツ木通りから外堀通り方向へ。
他の通りに比べるとやや薄暗い筋の一角に「希須林」はありました。
ファサードの左隅にある、篆書をモダンにデザインしたようなロゴがなかなかいい。
「希須林」赤坂は、カウンターだけの担担麺専門店。
券売機でチケットを仕込んで、手前に突き出した左手のカウンター隅に陣取ります。
まずは、担担麺の基本形から。
辛さは、ノーマルの3でお願いします(そうすると、4辛とか5辛はアブノーマルということになるね、笑)。
届いたとんぶりは、特製ラー油の章丹色がなんとも鮮やか。
昔だったらその辛そうな景色にたじろぐところですが、
ちょっとオトナになった今では、旨そうだと身を乗り出す感じになります。
周囲のより赤いスープの辺りを蓮華の背中で少々攪拌するようにしてから、
当のスープを啜ります。
うんうん、なるほどノーマル。
辛さ丁度よく、
練り胡麻のコクやスープ自身が持つ旨みとそのバランスも申し分ない。
こんもりと盛り上がったもやしと挽肉をわさわさっと崩してから、
いざいざといただきます。
麺はやや細めの中太麺といったところか。
さらに硬く湯掻いてもらう手もあるかもなぁいやこれでいいのかぁなどとひとりごちつつ、ズルズルを繰り返せば早速、額や首筋に汗が滲んできます。
洟水も一緒に出てくるのが困りモノだけど(笑)、
それもまた担担麺を食らう宿命であり、醍醐味でもあるのだね。
日を改めて、再び酷暑の赤坂裏通り。
店の前まで来て、今度はちょっとたじろいだのは、
こんなお知らせの掲示を見つけたから。
「冷房故障中、ご迷惑をお掛けします」。
さらに汗だくの自分が容易に想像できたものの、
ここまで来たのだものと意を決して(!)飛び込みます。
さすがに汁ものは避けておこうと、「汁なし担々麺」。
これまたこんもりと盛り上げたもやしの頂をさらに尖らすように載せた挽肉が麓へと零れ落ちている。
お酢を二回転半回しかけなさい、という指南に従って、1、2、の半。
どんぶりの底の方に潜んでいる特製ゴマだれとラー特製ラー油を絡めるようによく掻き回します。
みるみるいい感じの章丹色に色付く麺。
辛さの丁度良さ同じく、胡麻の風味が加減よく主張するのもまた然り。
二回転半のお酢が、一種のキレを注してくれるンだね。
もう、空調も直った頃だろうと、再々度訪ねた酷暑の赤坂裏通り。
ところが例の表示はそのまんま!
でも、さすがに送風機を導入していて、
ここら辺りが涼しいですよと、正面カウンターの左手に。
そうはいっても、火を使う厨房からの熱気も相俟って、
あちこちから汗が浮いてくる。
お願いしたのは、先日のお隣さんのドンブリで気になっていた、
「”辛”排骨ニラソバ」。
排骨が邪魔をして、シンメトリーなニラ山の景色ではないけれど、
たっぷりの韮がトッピングされているのは、ご覧の通り。
“辛くて酸っぱい絶品麺”と謳うように、とっても酸っぱくて辛いスープ。
揚げ立ての排骨が酸味からちょっと逃れるアイテムになったりして、
でも慣れるに従ってクセになりそうな、そんな気もしてくる。
あ、でも、「冷し担々麺」するという手もあったかも(笑)。
どこか気風のいい男気を想わせる、赤坂の担担麺専門店「希須林(きすりん)」。
「希須林」は、青山にも新宿にも大宮にも、
さらには軽井沢にもある中国家庭料理の店。
どうやら阿佐ヶ谷のお店「小澤」が本丸らしい。
ちょっとそちらも覗いてみたいな。
「希須林」赤坂
港区赤坂3-7-9
[Map] 03-5573-4119
http://www.kisurin.com/
column/03025