それは、青森ねぷたが表参道を踊ったあの日の夜のこと。
鳥居の脇に格納されていたねぷたが、その勇姿をみせるのを見届けようと、「南国酒家」前の歩道橋下の人垣の中に紛れると、まるで申し合わせたかのようにさっきまで「ホットアップルサイダー」売りに奮闘していた
takapuが並んでる。
おーおつかれさん、ということで共にはねと達の登場を迎えたのでありました。
ねぶたの背中を明治神宮の鳥居方向へ見送って気がつけば、辺りは立錐の余地もないほどの人いきれ。
押し合いへし合い、なんとかそのギュウギュウの雑沓を抜け出して、カフェの二階で催していた展示を眺め、メシにしようと辺りを彷徨くふたり。
巡り巡って辿り着いたのは何故か、キラー通りでした(笑)。
舗道をぼんやり照らしているのは、コカコーラの赤いスタンドサイン。
その下に書かれた「福蘭」がその店の屋号だ。
扉を開けると、湯気と油の渦巻く空気に包まれる。
そしてその中に本能をそそるような匂いが多分に含まれていることにハッとする。
決して清潔な店ではないのに、女性を含めた常連と思しきひと達がカウンターを埋めているのが早くも判った気分になるンだ。
瓶ビールをいただいて、となればやっぱり点心の王道をふたつ。
まずやってきたのが、「シューマイ」。
漠然とした期待を大きく越えたその勇姿に思わず顔を見合わせて、互いに、キタ~!ってな笑顔になる。
皮から溢れんばかりにタップリとした具には椎茸をアクセントに。
量感あるひとつを酢醤油にちょんとして、はふはふすれば、思わずヌハハハハと愉しくなる不思議な旨さ。
とそこへ、小皿が届く。
小皿にはタレが注がれていて、唐辛子の粉に混じってニンニクの欠片が浮いている。
青森「王味」と同じだねーとまた笑顔(笑)。
そしてまオバチャンが運んでくれた「ギョウザ」もまたやや異形。
揚げ焼きしたような皮の表情なのにつゆだく仕立て。
ニンニクの利いたタレ、極薄い皮とざっくりした中身のコンビネーションに思わずビールがすすんじゃいます。
粗みじんのニンニクは、「豚足」にもたんまり添えてある。
ニンニクをのっけては、両の手でもって、むしゃぶりつくのが醍醐味だ。
こふいふお店は「タンメン」がいいのじゃないかとお願いすると、「福蘭」の「タンメン」は玉子入り。
湯気の向こう、澄んだスープに真っ直ぐな旨味が滲みます。
こっちも気になるよねと、胡麻入り辛い麺と補記された「タンタンメン」もお願いしちゃいます。
胡麻入りとわざわざ謳っているからには所謂、胡麻ペーストがたっぷり入ったドンブリかと思いきや、それは意外な表情でやってきました。
醤油ラーメンに胡麻そのままとラー油が浮かんでる(笑)。
意表をつくメニューが多い「福蘭」のなんだか微笑ましい典型的なメニューとも云えましょうか。
キラー通りでシューマイとギョウザが食べたくなったら「福蘭」に行く。
そこには個性的で本能を擽るアイテムが何気なくスタンバイ。
常連になれるカップル、家族が羨ましく思います。
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「福蘭」
渋谷区神宮前3-39-4
[Map] 03-3405-7803
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