東村山音頭で、都下郊外にして地味な東村山市の存在を全国に知らしめた、その人だ。
西武新宿線の東村山駅東口には、その功績を称えるように、志村けんの木、そして銅像が建てられている。
銅像のポーズは勿論、「アイーン!」だ(^^)。
銅像の立つ東口は、以前よりロータリーが整備されていたが、
反対側の西口は最近になって漸く車の通行も容易になった。
その東村山駅西口交叉点から北へ進み、
踏切を直進した西宿通り沿いにあったのが、
うどん「きくや」諏訪町店。
今はなき「小島屋」や、
「きくや」本店とも云われる廻田町店が、
界隈の古くからの老舗武蔵野うどん店で、
諏訪町店はその系統のお店と位置付けられた。
その「きくや」諏訪町店がいつの間にか移転したと知り、
いつぞや訪ねたのは同じ西宿通り沿い。
東村山駅付近で行われている、
連続立体交差事業の進む高架沿い、
3路線と五差路が交叉している踏切難所のひとつ、
東村山第1号踏切の近くに、
その新しい店「龍巳」はありました。
平屋の建屋の暖簾を払うと、
右手に給水器があり、その奥が厨房。
厨房に沿ってカウンター席があり、
その背中側の壁沿いにもカウンター。
入って右手にひとつ、テーブル席がある。
品書きを見れば一目瞭然。
此処が「きくや」の流れを汲む店であることが判る。
うどんの量・サイズは、”L”の並びで表現され、
Lが3玉、LLが4玉、4Lが6玉となる。
湯気を上げる大きな羽釜を眺めながら訊くと、
羽釜の脇に用意されているお椀一杯が1玉の量だという。
何度も訪れている中でもっとも多いご註文が、
「天付き肉汁」の3L。
3Lつまりは5玉分のうどんがたっぷりの量感で、
こね鉢風の塗りの器でやってくる。
茹で立て〆立てのうどんは、
茶褐色を帯びていて、そしてツヤツヤだ。
美味しい「きくや」のうどんをさらに進化させ、
全粒粉も配合したうどんは、
しなやかにして、麺そのものが実に美味い。
そして、決して硬くないのが、いい。
これまた「きくや」譲りの筒切りした竹の器に盛られた汁。
そこに豚バラ肉が浮かぶは、正しき武蔵野うどんの姿。
肉増し、が出来たらもっといいのだけどなぁ(^^)。
そして、掻き揚げの天麩羅がまた絶妙で、
小さめでかつ厚さがでないように揚げていて、
食べ易く軽快な歯触りが愉しめる。
例えば、所沢「涼太郎」の掻き揚げは、
大きいが一瞬嬉しいのだけれど、
食べようとしたら食べ難いのですもの。
時には、「ミックス」が食べたいこともある。
蕎麦でいうところの”ざる”と云いましょうか。
刻み海苔がたっぷりと載ってやってくるのです。
「肉汁」に次いで頻度の高いのが、「ダブル」。
「肉汁」の取り合わせにカレー汁も加えたのが「ダブル」だ。
滑らかな量感のあるうどんには、
カレー汁ももまた、よく似合います。
そして、割りと最近知ったのが、
うどんを”あつもり”にもしてもらえるということ。
冬場に訪れた時には嬉しいひと手間。
あつもりにしても、麺がダレることはありません。
東村山第1号踏切近くの西宿通り沿いに、
「きくや」の系統を汲む武蔵野うどん店「龍巳」は、ある。
「つるつる、かめかめ」=鶴と亀。
うどんの、縁起のよいといわれるところを下敷きに、
世話になった方々の干支、龍と巳をいただいて、
昇り龍に肖るような意味も込めて、
より縁起の良い目出度い店にしたいと「龍巳」と名付けた。
日々鋭意お店を切り盛りする女性主人が、
そう教えてくれました。
また、お邪魔します(^^)。
「龍巳」
東京都東村山市野口町1-4-66 [Map]
042-396-1150