
時はきっと、2004年あたりの頃。
八丁味噌の濃いぃ見映えとともにその麺の硬さに衝撃を受けた、味噌煮込みうどん初体験シーンだ。
今となっては、その店が「山本屋総本家」だったかのか、それとも「山本屋本店」だったか覚えていない。
どちらかの店であるのは間違いないけれど、
あれだけグツグツのチンチンに煮込んでなお、
あの硬さを維持できるうどんとは、
果たしてどんなつくりになっているのだろうと、
不思議な気分になったことはよく覚えている。
そう云えば、
旗の台にあった「でらうち」にはよく通った。
名古屋仕立ての味噌煮込みうどんもあったけれど、
いただくのはもっぱら、
「カレーうどん」と「ころうどん」だった。
そんなこともふと、思い出す。
かと云って、
山本屋的味噌煮込みうどんが嫌いかというと、
特段そんなこともなくて、
八丁味噌の濃さやその旨味、
酸味にも似た風味は、
慣れるに従って馴染んできて、悪くない。
ただ、あの硬い麺に慣れ親しむには、
もっと修行が必要かもしれない。
あの硬い麺には感じられないし、
所謂、”コシがある麺”とも受け止められない。
しなやかな弾性を思う、
“コシがあること”と、
硬くて咀嚼し難いこととは違う。
そんな観点で思い直すと、
山本屋的味噌煮込みうどんの麺は、
決して太くはない点が好ましい。
硬くてそして太いうどんはまるで、
「すいとん」じゃん、と思ってしまうのだ。
ところがである。
以上のように、硬くて太いうどんには、
ネガティブな印象を抱いているにもかかわらず、
何度も訪れているうどん店が、ある。
ところは、東所沢和田。
漸く下安松の交叉点まで開通した、
県道24号練馬所沢線沿い。
開削により掘り下げた武蔵野線の軌道を、
県道が渡る橋の袂の角地。
大振りの暖簾や様々なPOPがなければ、
一般的な郊外の住宅のひとつにも見える。
入口脇の板木には、
“中毒うどん”との文字。
自分も”ちうどく”になっているのかと、
ハッとしてみたりする(^^)。
店内は、正面に厨房に対面するカウンター。
右手の小上がりに座卓があり、
左手にテーブル席のコーナーがある。
厨房に向かって左手に麺打ち場があり、
時にせっせと麺を打つ背中が見られる。
足踏みし手捏ねして丸めたであろう玉が、
ビニール袋に包まれて熟成スタンバイ。
麺棒でのして切る工程は、
都度都度行っている、そんな様子です。
厨房内では、
羽釜二台が業務用コンロの上に鎮座。
至るところが清潔に保たれ、
あるべきものがあるべきところにあるよう、
動線の考慮や整理整頓が工夫されている、
そんな印象が容易に持たれます。
冬場に「かんたろう」に来たなら、
土鍋をチンチンにしたうどんが欲しくなる。
この日は「赤みそ煮込みうどん」。
土鍋の蓋を外せば忽ち、
吹き上がる湯気と熱気。
湯気を掻き分けるようにして、
湖面の上に視線を泳がせる。
トッピングの「特製辛旨つくね」がいる。
汁を吸い始めた揚げ玉やくたっとした白菜、
落とし玉子にスライスの蒲鉾、長葱なぞが、
まだまだ沸いている赤みその汁に踊ってる。
まずは蓮華を汁に浸して少し押し込んで、
赤みその汁を呑水に掬って、啜る。
公式は、八丁味噌⊆赤味噌。
酸味も持つ八丁味噌というよりは、
品書き通りの赤味噌であろうことが、
汁の甘味やまろやかさから感じられる。
赤味噌の風味に負けないよう、
出汁がしっかりとひかれている。
うん、美味しい。
山本屋的味噌煮込みうどんの汁とは、
似て非なるものと云えましょうか。
汁の味わいを確かめたところでやおら、
割り箸の先を赤い湯殿の底へと突き入れる。
必ずといっていいほど、
うどんが土鍋の底にくっついているので、
まずはそれを剥す所作が必要だ(^^)。
そうやって引き上げたうどん。
それは、比較するまでもなく、
山本屋的味噌煮込みうどんより太い。
ああ、やっぱり太いと、毎回思う(^^)。
一旦呑水にとり、フーフーしてから、
その太いうどんに嚙り付く。
幸いなことに、煮込みうどんでは、
つけ汁うどんに比べて比較的柔らかく、
うどんが煮えている。
およそ啜る感じにはならないが、
粉の風味を存分に感じつつ、
ムニムニと喰らっていける。
そして食べ進む程に興が乗ってきて、
額や鼻の頭の汗も拭わずに、
一気に完食することになる。
ふー、喰った喰った(^^)。
別の冬の或る日には、
「白みそ煮込みうどん」。
白味噌仕立てという、
ありそでなさそな煮込みうどんも、
湯気とともにやってくるのがお約束。
お約束と云えば、
煮込みうどん・鍋焼きうどんでも、
肉汁などのつけ汁うどんでも、
“肉増し”するのもお約束。
まさに白っぽい汁は、
まろやかさや甘さが増していて、いい。
もともとのしっかりした出汁の旨味と、
白味噌の甘い風味のコク旨味とが合奏して、
こっちの味噌煮込みの方が、
より好みかもしれないなとぁと思ったりする。
気が付けば何度も食べている、
「かんたろう」の赤白「みそ煮込みうどん」。
も、もしかしたらホントに中毒なのか?!
気を付つけねば、気を付けねば(^^)。
赤白のみそ煮込みうどんを喰らう、
その間隙を縫って食べるのが、例えば、
醤油ベースの「鍋焼きうどん」。
鶏肉増しにして、さらに牡蠣もON、
なんて贅沢をしてしまう。
味噌仕立ても勿論いいけれど、
醤油仕立てに安らぐのは何故でしょう。
煮込み系のうどんでも実は、
“柔らかめ”の指定ができる。
うんうんうん、これがいい。
“煮込み系でもやわ指定”がとってもフィット。
より自分好みになるようであります。
間隙を縫うまた別の冬の或る日には、
またまた「鍋焼きうどん」にして、
肉増し、特製旨辛つくね入り。
辛いものが得意ではない身にとっては、
十二分にヒリっとしっかり辛いつくね。
厨房のスタッフが、くるくる丸めている様子を、
カウンターから覗けることもあります。
ちなみに煮込み系のうどんの量は、通常300g。
400gの大盛りからそれ以上もできるけれど、
300gでマジ十分、満腹必至(^^)。
何処かから呼ばれたような気がして、
またまた愛車を駆って出掛けてしまう。
も、もしかして、念を送られた所為なのか?!
念を送られた所為もきっとあるけれど(^^)、
この湯気のある光景をまた見たい、
なんてこともきっとある。
「かんたろう」の煮込みうどんの中毒性、
恐るべし恐るべし。
東所沢和田は、県道24号練馬所沢線沿い。
地下化された武蔵野線の軌道を渡る橋の袂に、
本格手打ちうどん「かんたろう」は、ある。
太くて硬いうどんに対しては、
未だに懐疑的であるにもかかわらず、
何故だか何度も足を運んでしまう。
それはきっと疑念を凌駕する魅力があるから、
そうに違いない。
店名「かんたろう」の由来は当然、
時にイカツイ風情も感じさせる店長からと、
そう思うのが必然なのだけれど、
どうやらそうでもないらしい…。
そのあたりは追って、
<肉汁うどん篇>にて書き記したいと思います。
「かんたろう」
埼玉県所沢市東所沢和田1-44-1 [Map]
04-2907-1397
https://www.instagram.com/kantarou.udon