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金沢キュイジーヌ「MAKINONCÎ」で驚き感嘆のコの字美味し愉し牧野ん家<後篇>

やや早い夜の帳の迫る金沢、旧日銀前。
バス停近くで拾ったタクシーで向かったのは、ひがし茶屋街のずーっと後方辺り。
春日山の裾野を上がる卯辰山公園線の途中で、タクシーを見送った。
そこには、樹高しっかりの木々に囲まれた一軒家がありました。

モダンな薪ストーブのある、
サロンのような部屋でウェイティング。
しばし後案内されたホールには、
ででんと据えられたコの字のカウンター。
美味し愉しのひと時のスタートだ。

金沢キュイジーヌ「MAKINONCÎ」で、
驚き感嘆のコの字美味し愉し牧野ん家
<前篇>は、☞こちら

メニューイラストを辿ると、次のお皿は、
左側の最下段のアイコンに相当するもの。 はい、これは間違いなく、烏賊の料理だ。

それは、シェフが自ら釣って来たという障泥烏賊。 サラダ菜を外して覗き込む。
酸味をちょっと利かせたトマトソースの上に、
烏賊墨を練り込んで焼いた烏賊のケーキ。
そして、障泥烏賊の胴体をさっと焼いたもの。
芳ばしく香っていたのは、烏賊のケーキだ。
ほんの少し、山葵があしらってあるね。
うんうん、美味しい美味しい。

と、次のプレゼンテーションが、
円い木のプレートに載ってやってきた。 それは、北イタリアの白トリュフ。
なかなかに立派なものだとお見受けする。
せっせとスライスしているところを目掛けて、
思いっきり鼻から息を吸い込んで、
クンクンしたりして(^^)。

お魚型のプレートに載ってきたのは、
氷見で揚がったテッポウカマス。
この時季型が増し、脂がのってくるという。
メニューのお魚アイコンの正体は、これだ。 たまたまお隣の席に居合わせたのが、
牧野シェフのすべて魚の仕入れ元となっている、
魚屋兼寿司屋の氷見「鮨よし」の大将。
選びに選び抜いた希少なる特級品だという。
脂ののりを確認した一番を「MAKINONCÎ」に届けちゃって、
自分のところのがなくなっちゃったと笑う大将。
聞くほどに益々期待が高まるではありませんか(^^)。

そんなテッポウカマスに、
スライスした白トリュフを丁寧にトッピング。 カマスの身の間には、チョリソーが忍んでる。
ホワイトアスパラガスでもお馴染みの、
泡立ててつくるオランデーズソースは、
バターではなくオリーブオイルで軽めにし、
島根県益田の「ゆずきち」という、
柑橘の果汁で酸味を利かせていると云う。
ふーむ、こりゃスゴイと腕を組む。
脂ののった身の厚いカマスとこのソース、
そして白トリュフとの三重奏に感嘆するばかり。
美味いなー。
そうそう、久し振りに氷見にも行かなければ(^^)。

ここでふたたび、黒い椀のスライスと同じ、
岩手産の松茸が笊に載って登場。 マッシュルーム的スタンプの正体は、松茸だ。
そこにこっそり、色白な天然舞茸も控えてる。

今度は半切した松茸が、
卓上のコンロの炭で丁寧に炙られる。 あー、薫ってきた薫ってきた。
香りの立ってきた松茸や舞茸を、
不思議なテクスチャの厚皿に据え、
そこに金沢のプラッターチーズを添え、
群馬から届いたという生ハムで覆う。

生ハムが網脂のように、
脂っけを足す役目を果たしている、気がする。 チーズから松茸の香りがしたりして、
松茸メインの洋のお皿って、きっと初めてだ。
うんうん、愉しくて美味しいね。

お次のメニュースタンプは、無花果マーク。
ところが合わせるワインは赤だという。 エチケットには、CHATEAU MEYNEY 2013。
サン・テステフなる銘醸地のシャトーによるもの。
クラシックだけれど、黒っぽい果実味がいい。
ボルドーのメイネイね、
改めて憶えておきましょう(^^)。

温められた白く円い器に、
コントラスト鮮やかにお肉が載る。 牛のどこの部位かなぁと思えばそれは見当違い。
北海道産の飼育の鳩、でありました。
ややクセのある如何にもジビエっぽい鳩とは、
こりゃ全くの別物だ。
下敷きのソースには、なにやら甘い果実の風味。
添えてあるのは白胡麻のソースをあしらった、
黒蜜姫という地元の黒無花果。
メニューのスタンプはこれからきているのだね。

お次のメニュースタンプは、竈に飯椀。 ディッシュウォーマーで温められていたのは、
九谷の土を使ったどっしりした土鍋。
具材たっぷりの出来上がりをご開陳いただく。
ふわわわわーんと広がるスッゴクいい匂い(^^)。

結構お腹一杯になりつつあるけど、
これは絶対食べるとお茶碗サイズをいただく。 お茶碗を目の前に掲げて、クンクン。
改めていい匂いを鼻腔一杯に吸い込んで。
キノコの香りととともにご飯を掻っ込む。
マッシュルームのエキスが出汁になっているっぽい。
油分が加減よく全体に回っているのが、いい。
烏賊のゲソを発見したりして、ちょと愉しい。

小皿には、秋トリュフのスライスで包んだ、
能登の烏骨鶏の玉子の味噌漬け。 それを炊き込みご飯に混ぜ込めば、
あゝ、もう、旨くない筈がありません。
周囲から、こりゃ別腹やーの声が上がる(^^)。

残りのメニュースタンプは、葡萄に続いて、
リキュールの瓶のようなフォルムと台形カップ。
洋梨のようなシルエットに果実がもうひとつ。 ふー、満足、満腹、大満足(^^)。
これぞ、大団円と云えましょう。

金沢は春日山の裾野を上がる卯辰山公園線。
ひがし茶屋街を見下ろす高台に、
金沢キュイジーヌ「MAKINONCÎ」は、ある。 臨場感のあるコの字型のステージで、
実に人好きのする笑顔の牧野シェフが、
料理好きの創意工夫や凝り性の探求心、
確かな知見と料理の腕っぷしを下敷きに、
繊細さと人懐っこさからくる提供力をもって、
囲む人々を美味し愉しの笑顔にしてくれる。
金沢に来たなら必ず訪れたい一軒家が、
シェフのおウチ、”牧野ん家”なのです。

「MAKINONCÎ」
石川県金沢市山の上町25-18 [Map]
050-3503-3318
https://www.french-makino.jp/

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