ロースカツとの相性抜群のカレーを何度口にしたことか分かりません。
新川へと渡って行けば、中国屋台「十八番」のお隣「ラティーノ」。
辛そうで手が出ないメニューもある中で、ドライカレーあたりがお気に入り。
今はお店の形態が少々変わってしまったけれど、
新富町の銀行裏の角の店「カドノ」も好みでした。
移転する前の「新川デリー」ではもっぱら、
カシミールを避けてのコルマカレーだったな(^^)。
八丁堀二丁目、首都高の谷間を背にした裏通り。
「Brasserie Gyoran」のある道をのんびり歩いていて、
その店のファサードに初めて目を留めたのが、
2020年11月のことでした。
「クックダン」と白文字で縦書きした、
無垢材の木板だけが手掛かりでした。
硝子越しに覗いた通り、
極狭いスペースに無印良品にでもありそうな、
小さなテーブルと椅子がふたつ程置かれてる。
そのひとつに小さなキッチンを背にして座り、
出された冷たいアールグレイが妙に美味しかった(^^)。
煽り戸に貼られたメニューを見て、
そうかカレーの店なのだと知り、
最初に註文したのが「カキのカレー」。
スパイスの煌めきが嫌味なくナチュラルで、
確かにある辛味には妙な角がなく、
酸味とコク味のバランスもいい。
あれれ、こりゃ美味しいぞ旨いぞ。
皿に添えてくれたアチャールも、
決して出来合いのものなんかじゃない、
手作りの鮮度みたいなものを思わせる。
食後に出してくれた焼き菓子が、
可愛らしくて思わず微笑んだものです(^^)。
十二月の或る日には、「鹿肉スパイスカレー」。
カレーソースそのものの美味しさは相変わらずで、
その中にゴロゴロとした鹿肉がたっぷりと。
ジビエな魅力がじわじわと愉しめます。
二月の或る日には、「合鴨スパイスカレー」。
ディルで飾るのがこの日の気分だったらしく(^^)。
噛むほどに滲む合鴨の旨味。
それを柔らかなスパイシーさで包み込んでくれていて。
三月の或る日には、「シュリンプスパイスカレー」。
衣を纏わせて火を入れたシュリンプが、
たっぷりとしたカレーのソースで一品料理になる。
そんな感じもいたします。
五月の或る日には、「岩中豚スパイスカレー」。
“岩中豚”とは、岩手中央畜産が生産する銘柄豚。
所謂、SPF豚肉であるらしい。
カレーソースに包まれて、その焼き色は判らないけれど、
なんだか真っすぐな美味しさの豚肉だ。
八月の或る日には、「天然鮪カレー」。
嗚呼、美味しい。
きっと中トロあたりを贅沢に火を入れている。
この頃のメニューには、
伊達鶏、合鴨、門崎丑、天然鮪、地蛸と並び、
その字面はおよそカレー店のそれとは、
一線を画すようになっていました。
十月の或る日には、「豚バラ大根カレー」。
豚バラというよりは角煮に近い角切り豚肉と、
分厚く銀杏に切った大根との取り合わせ。
ナハハ、面白旨いぞ。
間違いなく、煮物としても美味しいね。
直近の一月の或る日には、「カレー焼きそば」。
紫キャベツの歯触りと芽キャベツの焼いた甘さが、
面白旨くていいアクセント。
案外難しいとも思うカレー味焼きそばも、
上手いこと仕立てられています。
この日には、「天豆のペペロンチーノパスタ」もあり。
最近では、ライスカレー以外のものも、
お食事メニューに掲げられるようになる。
気が付けば、”海の幸””温食””冷菜”と題した品書きも並ぶ。
単なるカレーショップの枠になんか、
到底収まりそうもないオーラが、
より強く感じられるようになってきています。
八丁堀二丁目の裏通りに、
小さなSpaicy House「クックダン」は、ある。
「クックダン」の”ダン”はきっと、
店主 檀上雷太氏の姓の”ダン”。
初めて訪れた際に訊ねると、檀上店主は、
恵比寿駅前の居酒屋「吉柳(きりゅう)」で30年勤めた。
その間ネパールの方が厨房を同じくしていたこともあって、
カレーも定番になっていったそう。
それを引き継いで10年ほどカレーの修練を積んだと云う。
カレーを軸にしたスパイス料理に加えて、
凝り性の性分が窺える店主の繰り出す料理たちは、
きっとそれぞれにイケているに違いない。
ラッパーとしての顔も持つと噂の壇上店主。
そんな噂の真偽も確かめに、
「クックダン」の夜の部にもお邪魔しなくっちゃ(^^)。
「クックダン」
東京都中央区八丁堀2-1-7 白鳳ビル1F [Map]
03-5244-9426
https://www.instagram.com/cook_dan_