暖簾を払うと、こじんまりした木目基調の設えが迎えてくれる。 L字のカウンターに壁に寄り添うようなテーブルが幾つか。
「お昼ごはん」は、三本立てで、 「野菜 日替わり定食」に「究極の親子丼」「揚げ鶏定食」。 唐揚げ気分で注文すると、カウンター越しに揚げ音が聞こえてきます。 「揚げ鶏定食」は、唐揚げとチキン南蛮の組み合わせだ。
唐揚げは、粉の浮かないしっかり目の狐色。うん、揚げ立てへの期待通りの食べ応え。 はふはふ、芳ばしく、ご飯が美味い。
タルタルがたっぷりかかった鶏カツは、飴色の照りが誘います。唐揚げに対する変化が嬉しい一緒盛り。 うんうん、こっちもご飯が美味い。
日を改めて、今度はカウンターの中央へ。 「究極の親子丼」をいただきにあがりました。
成る程、卵の黄身の濃い色を連想させる表情にゴロっと鶏のぶつ切り。温泉玉子も突き崩し、いざいざ。
うんうん、やや甘めながら、 卵の甘さが愉しめるよな割下使いになってる感じ。食べるの速いと叱られてしまいそう(笑)。 しっとり柔らかな身肉は、銘柄モノなのでありましょか。
世に最上級の修飾を謳う親子丼は少なくない。 例えば、人形町「玉ひで」の「極(きわみ)親子丼」。 身近な処では、茅場町「鳥ふじ」の「特上親子丼」。 未訪問ながら、「青山 鶏味座 本店」には、「究極の親子丼」があるらしい。
当然のように卵に拘り、鶏肉に拘り、ご飯に拘り、割下に拘り、三つ葉にまでも拘り。 調理に係る所作手順、道具器具一式にも最上を揃えて臨んでいるであろうところ。 そこに料理人の感性や思想が加味してこそと信じたい。
ただ、”特上”はまだしも、”究極”となると、 あの「究極vs至高」漫画が脳裡にチラついたりして、鼻白む感じになってしまう。 品書きにハードルの上げ過ぎを思うおひる時でありました。
東銀座の横丁にこの八月に開店した揚鶏と水炊き「森川」。ランチの営業は、まだ始めたばかりだという。 博多ご出身と聞く大将の本懐は、博多の手羽揚げやひな鶏の素揚げ、 そして水炊きのいただける夜の部にあるのかもしれません。
「森川」 中央区銀座2-13-17 [Map] 03-6264-3933
column/03437