野毛坂からその先へとえっちらおっちら登って、 お初にやってきました横浜市立野毛山動物園。インドライオンやレッサーパンダ、 アミメキリン、フンボルトペンギンなぞなぞが観れました。 偶には、動物園なんてのも悪くないものですね。
閉園のアナウンスに追われるようにして、坂道を野毛の繁華街方面へ。切妻の軸組ひとつを立てたようなゲートが迎えるのが、野毛柳通りだ。
漫ろに歩いて、野毛小路との交差点を先に進もうとして、 交差点の角まで伸びる行列に気がつきました。 その先頭を見遣ると、やきとり「野毛末広」の文字。 丁度もうすぐ開店時間らしい。 思わずその行列の最後尾に並んでしまいました(笑)。
開店の掛け声と共に店内に雪崩れ込む行列の一群。 運良く残り二つのうちのひとつのテーブルに腰を収めることができ、ひと安心。
カウンターの硝子ケースには、下拵えした串たちが綺麗に並べられ、 その向こうには、如何にも佳い焼き方をしてくれそうな気風の大将が、 手元の所作を重ねています。硝子ケースの上に載った、冬茹(どんこ)のように立派な椎茸も気になります。
汗を拭ってくれるキリンラガー独特の仄苦味。 最初に届いた串は、「皮」と「ねぎ肉」。「皮」のパリッと香ばしいところとクニュとしたところとのコンビが旨い。 各種二本よりの注文となっているので、 おひとりさまにはやや不向きかもしれません。
「ハツ」も塩でやってきた。 ジュっと歯先から滲むエキスに塩気が絡んで、いい感じ。「ピーマン肉」では、そこにピーマンの青い香気が交差します。 お品書きに、くずさずにお召し上がりください、とあるのは、 串から外さずに直接囓ることで、そんな醍醐味を逃さないようにとの助言なのでしょう。
お久し振りの麦焼酎「神の河」の水割りを啜る。 実はここまで、タレか塩かの注文はしていない。 「レバ」が初めて、タレでやってきた。これがまた、いやはや、美味い。 表面の水分を抜く程度の焼き加減が絶妙にした豚レバー。 口腔で弾ける旨味に、思わず顔を見合わせ、唸り合います(笑)。
「椎茸肉」「砂肝」は、やっぱり塩で。椎茸のグアニル酸が威力を発揮。 正肉の旨味を何倍にも引き立ててくれています。
〆の一本に、「モツ」。 此方では、これがつまりは鳥レバー。豚のそれよりもさらにぎゅっと滋味が凝集して、嬉しき美味さ。 タレの濃度、甘さ辛さの塩梅も粋に映ります。
野毛に何軒もの焼鳥処あれど、 その先頭グループをゆくであろう人気店「野毛 末広」。出てくるお皿の間合いも心地いい。 口開けにふらっと寄るには、行列人気が玉に瑕。 それでも今度は、燗酒が似合う頃にでもカウンターのひとになりたいな。
「野毛末広」 横浜市中区野毛町2-76 [Map] 045-242-5753
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