揚鶏と水炊き「森川」で 博多落款の揚げ鶏定食親子丼究極に想う

morikawa.jpgその先に歌舞伎座タワーの背中を望みながら、 パスタハウス「山岸食堂」や「Dolce LA BETTOLA」の前をぶら歩き。 イタリアン「IL BIANCO」や暖簾分けして移転した、 蕎麦「流石本店」の入った雑居ビルの角を何気なく曲がると、小さく揺らめく暖簾が眼に留まりました。 何やら真新しく見える佇まいのその壁に木彫り看板。 「森川」と示した店名に、揚鶏と水炊きと肩に添え、 博多と落款が押してあります。

暖簾を払うと、こじんまりした木目基調の設えが迎えてくれる。 L字のカウンターに壁に寄り添うようなテーブルが幾つか。

「お昼ごはん」は、三本立てで、 「野菜 日替わり定食」に「究極の親子丼」「揚げ鶏定食」。 唐揚げ気分で注文すると、カウンター越しに揚げ音が聞こえてきます。 「揚げ鶏定食」は、唐揚げとチキン南蛮の組み合わせだ。

唐揚げは、粉の浮かないしっかり目の狐色。morikawa01.jpgうん、揚げ立てへの期待通りの食べ応え。 はふはふ、芳ばしく、ご飯が美味い。

タルタルがたっぷりかかった鶏カツは、飴色の照りが誘います。morikawa02.jpg唐揚げに対する変化が嬉しい一緒盛り。 うんうん、こっちもご飯が美味い。

日を改めて、今度はカウンターの中央へ。 「究極の親子丼」をいただきにあがりました。

成る程、卵の黄身の濃い色を連想させる表情にゴロっと鶏のぶつ切り。morikawa03.jpg温泉玉子も突き崩し、いざいざ。

morikawa04.jpg うんうん、やや甘めながら、 卵の甘さが愉しめるよな割下使いになってる感じ。morikawa05.jpg食べるの速いと叱られてしまいそう(笑)。 しっとり柔らかな身肉は、銘柄モノなのでありましょか。

世に最上級の修飾を謳う親子丼は少なくない。 例えば、人形町「玉ひで」の「極(きわみ)親子丼」。 身近な処では、茅場町「鳥ふじ」の「特上親子丼」。 未訪問ながら、「青山 鶏味座 本店」には、「究極の親子丼」があるらしい。

当然のように卵に拘り、鶏肉に拘り、ご飯に拘り、割下に拘り、三つ葉にまでも拘り。 調理に係る所作手順、道具器具一式にも最上を揃えて臨んでいるであろうところ。 そこに料理人の感性や思想が加味してこそと信じたい。

ただ、”特上”はまだしも、”究極”となると、 あの「究極vs至高」漫画が脳裡にチラついたりして、鼻白む感じになってしまう。 品書きにハードルの上げ過ぎを思うおひる時でありました。

東銀座の横丁にこの八月に開店した揚鶏と水炊き「森川」。morikawa06.jpgランチの営業は、まだ始めたばかりだという。 博多ご出身と聞く大将の本懐は、博多の手羽揚げやひな鶏の素揚げ、 そして水炊きのいただける夜の部にあるのかもしれません。


「森川」 中央区銀座2-13-17 [Map] 03-6264-3933
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