手打うどん「庄司」で川島町の田園風景と武蔵野うどん夏のすったて胡麻汁もいと旨し

それは確か、国際免許を取得しようと鴻巣の免許センターへ出掛けた帰り道のことだったと思う。
何故自動車で行かなかったのか不思議なのだけれど、免許センター前から乗り本川越駅へと向かうバスの中。
その車窓に見た光景は、これぞ日本の農村の原風景!と思わず唸るものでした。
広く一面に青々とした稲穂が茂り、ぽつぽつと送電線の支柱だけが点在してる。

なぜか埼玉にして翔んで埼玉だもんねと云われれば、
まぁそうなのかもしれないけれど、
今や観光地とも云われる川越の隣町に、
こんなに突き抜けた田園風景が残っていたなんて!と、
なかなかに衝撃的な心持ちで、
窓の向こうをずっと眺めたのでありました。

そんな川島町(かわじままち)に、
大人気のうどん店があると聞き、
納車の済んだばかりの車で、
ディーラーから直接、川島町へ(笑)。 入間川に合流する越辺川の川岸も近い道路沿い。
駐車場にずらっと並ぶ車の列が目印。
酷暑の下、交通整理のオッちゃんが大活躍するほど、
なかなか盛況の毎日であるようです。

空席を待つ間、
硝子越しに麺打ち場を覗いたりする。
そこにはうどん玉が幾つも出番を待っています。 丸太をぶった斬って仕立てた椅子が並ぶ店内。
もうすぐそのひとつに潜り込めそうです。

最初のご註文はやっぱり「肉汁うどん」。 全粒粉使用であり、ふすまの粒子も手伝って、
やや太めのうどんははっきりとした飴色だ。

豚バラ肉は勿論のこと、
長葱、玉葱と具沢山のツユ。
甘過ぎず辛過ぎず、
出汁のしっかり利いた万全のツユがいい。 そんなツユに飴色のうどんを、
どぶっと浸して啜り込む。
固過ぎず軟過ぎず、
噛めば小麦の風味がふわとする。
嗚呼、旨い、旨過ぎる(笑)。
旨い正統派の武蔵野うどんの店として早速認定だ。

暫し後、裏を返すように川島町を訪れる。
相変わらずの人気振りに待つこと半時間。
調理場に正対するカウンターに滑り込む。 調理場では、3基の羽釜がフル稼働。
忙し過ぎる所為なのか、
揚げ物メニューは休止しているようで、
フライヤーだけが静観しています。

肉汁うどん、きのこうどん、
とろろうどん等の品書きに並んで、
ひと際存在感のあるのが「すったてごま汁うどん」。 赤文字で追記のある、
“B級グルメ優勝メニュー”というのは、
ご存じ「B-1グランプリ」優勝ではなくて、
「埼玉B級ご当地グルメ王決定戦」、
での優勝であるらしい。

厨房からどんどんホールへと繰り出される、
お皿の多くが飴色のうどんの上に、
こんもりと薬味のとんがり山の載るお皿。 茗荷に胡瓜、大葉に大根に玉葱。
水に晒していたであろうそれら薬味が、
細かく千切りされて、
印象的な姿に積み上げられています。

そして、この胡麻ダレが、いい。
赤味噌を含むであろうさらっとコクのあるツユに、
胡麻がたっぷりと浮かぶ。
肉汁同様、出汁の利いたツユが、
きりっと冷やされている。 小麦香る艶っぽいうどんに添える、
夏野菜のシャキッとした歯触りと風味。
すっきりと冷えた味噌と胡麻のコク味のツユ。
そのの三位一体が、成功の秘訣だ。

川越の北側に隣接する田園地帯川島町に、
正統派にして旨い武蔵野うどんの店「庄司」はある。 いつもひとを寄せているのが玉に瑕だけど、
茹で上げるにも時間の掛かるうどん店なのに、
客の回転はいい。
11月~03月の季節メニュー、
「呉汁」の登場も今から楽しみです。

「庄司」
埼玉県比企郡川島町上伊草743-9 [Map]
049-297-7703
http://www.m-macs.com/33661/shoji/

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