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石垣島へ飛ぶ前に、ひと晩だけの那覇の夜。
そうとなれば、あの妖しい通りへとふたたび向かわねばなりますまい。
国際通りに入口を接していて、
公設市場からもそう遠くないながら、
ひと影疎らな「竜宮通り社交街」。
夜桜街のイカす Bar「エロス」を思い出しつつ、
足を運びます。
竜宮通り社交街へは、牧志交番が目印。
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暗がりに妖しい通りも、炎天下では流石にその雰囲気を発揮できず、
どこか気恥ずかしいような佇まいに映ります。
そんな竜宮通り社交街での目的地は、山羊料理「さかえ」。
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![sakae03.jpg](https://ishouari.com/assets_c/2013/07/sakae03-thumb-500x375-29618.jpg)
黒い遮光フィルムの扉を開くには、
真昼間にしてちょっとした勇気が必要です(笑)。
「いらっしゃーい!そこ座って!」
入ってすぐのところにあるカウンターへと姐さんに忽ち誘われて、
割りと大きめのハコで所在ないことになるのではという危惧は途端に霧散。
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オリオンの瓶で一気に和んでしまいます。
まずは、半人前の「ゴーヤーちゃんぷるー」。
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手は動かすけど、口も動きっ放しの姐さんは、
あちこちに話が飛んで、飽きさせない。
その中に色んなことへの気遣いを含んでいます。
ここでこれをいただかずにはおれませんと「山羊さしみ」。
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![sakae08.jpg](https://ishouari.com/assets_c/2013/07/sakae08-thumb-66x49-29633.jpg)
それは、鮮やかで妖艶なるピンク色。
生姜醤油にちょんと浸していただけば、
張りのある歯応えと噛むほどに湧き上がる滋味。
臭みなんか全くないと思うのは、その辺りに鈍感というか、
匂いも美味しさの裡と自然と捉えているからでありましょか。
お隣さんの注文に便乗して、
泡盛「山原くいな(やんばるくいな)」の大盛りと一緒に「にんじんシリシリ」を。
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人参の甘さがしみじみとして、嬉しい家庭料理だ。
そしてなんと!
常連さんでもなかなか巡り会えないという「山羊玉ちゃん」があるという。
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俎板に載せられ、照明に浮かび上がる玉ちゃんのあられもないお姿。
捌く姐さんの包丁に思わず「イタイ!」と叫びそうになるのは、
男性諸氏ご同輩には同感いただけるものではないでしょうか(笑)。
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ほんの少々恐々と口に含む、玉ちゃんの切り身。
どちらかと云えば意外と柔らかい、と表現するのが順当なところか。
「山羊さしみ」と同様、ネガティブな匂いやクセを探すようなことにもなるけれど、
冷蔵され冷えていることもあってか、これまた意外と味わいは澄んでいる。
ずっと遠くに獣の気配が一瞬過ぎるようなところを素直に愉しめるのは、
自分が特異体質だからなのか、自分では判りません(笑)。
まだ陽が高いうちの泡盛に酔いが回ってきた頃、
女将さんが買い物袋を手に提げて到着しました。
ワタシの出番よとばかりに、実に使い込んだ業務用コンロの前に立つ女将さん。
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慣れた所作でささっと炒めてくれたのは、ソーミンちゃんぷるー。
炒め加減塩加減がぴたりと決まっていて、素朴ながら実に美味しい。
あれ?でもこれ品書きにないですねと訊くと、
今日はサービスしとくわよと云い残して、女将さんはふたたび買い出しに出掛けてゆく。
なんだかもう、天晴れでございます。
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デザートにとドラゴンフルーツ。
鮮やかなショッキングピンクが、
南国の甘美な魅力を見た目からそのまま体現しています。
日が落ちれば妖しさ倍加の竜宮通り社交街に、
山羊料理の店「さかえ」がある。
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空港から帰路につく前に時計を睨みつつ止まり木しているお客さんもいれば、
必ず近所に宿をとって顔を出す常連さんもいる。
通りと一体となった妖しさに惑わされつつ、それとは真逆の朗らかさに癒される。
山羊料理「さかえ」には、また訪れたいと思わせる魅力が籠もっています。
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Bar「エロス」で 桜坂の夜懐かしい楽曲たちの襞が響く心地よさ(10年07月)
「さかえ」
那覇市牧志3-12-20 [Map] 098-866-6401
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