
鍛冶橋通り沿い、京橋の雑居ビルの中二階。
そこから「山形田」が銀座に移転したのは、
いつのことだったかな。
壁に向かうカウンターに座っていると、
背中を通るひとの狭さが気に掛かかって。
でもそんなに悪い気もしない妙な感覚を思い出す。
時折思い付いてはお邪魔している「山形田」へは、
取り壊しが決まってしまったと聞く三原橋地下街を背にして進みます。
地下への階段を下りると、
絣風の暖簾の下から男性の下半身が覗く。
それは、券売機に正対して注文する品書きに思案する、
よくみる後姿なのであります。

まず試したくなるのはきっと、
一日限定20食の「十割そば」。
たっぷりと整えるように盛った板で届きます。


やや濃いめの灰色に野性味を想いつつ、
つゆに浸して、ツツツと啜る。
うむ。
見掛けと符合するよに、そば粉が静かに主張する。
滑らかな中の剛さがよいね。
揚げ立てでなくとなかなかの舞茸天ぷらが定番なところ。
時にはゲソ天なんかも一興で。

お燗つけて!なんて云いたくなるのが困りもの(笑)。

同じ一日限定20食の品に「外一そば」がある。
その名が示すは、そば粉の十に対して一割の小麦粉の配合。

漢気で迫る生粉打ちが、ちょっと嫋やかな物腰を携えはじめる辺り。
とても良いバランスに思います。
そして、「山形田」の夏の定番と云えば、
「蔵王冷やし地鶏そば」。


歯応えしっかりめの蕎麦が、
白出汁を思わせる旨味の利いた冷たいかけ汁に浸ってる。
噛むほどに滋味の滲む地鶏の刻みが、納得の好相性。
三つ葉の涼やかさも嬉しいところ。
ぐっと冷えた冬場には、「かも南そば」も勿論よいけれど、
山形らしさにも触れたくて、「けんちんそば」を注文んじゃう。


味の沁みた大根や里芋、時折顔を出すに占地に蕨。
けんちんにすると格段に温まる気がするのは何故だろね。
熱々のつゆに浸っても、ナヨナヨしない蕎麦も頼もしい。
「山形田」では、十割、外一用、ニ八用、温用等、提供するそばの種類ごとに配合した蕎麦粉を山形から仕入れているとのことだから、これは温かいそば用に配合した粉で打った蕎麦ということになるね。
在京山形蕎麦の店の代表格、銀座「山形田」。

店の名の由来は、ただ真っ直ぐに「やまがただー!」。
ふと、奥田シェフの店「ヤマガタ サン ダンデロ」も思い出す(笑)。
元々はといえば、山形商工会議所青年部が企画した山形そばの店なのではあるけれど、
今は山形出身にしてチャキチャキな女将さんの温かさ和やかさと
山形産の蕎麦の魅力とが相俟って、
絶えずひとを引き付ける安心感を深めています。
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「山形田」
中央区銀座3-8-15 アパ銀座中央ビルB1F [Map] 03-3535-9490
http://yamagatada.jp/
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