
武蔵小山の一隅に、
なかなかイケてるとんかつ専門店があるという。
どこのことだろうと調べると、
小粒カキフライてんこ盛りの「さんきち」の並び辺り。
そう云われてみれば、静かに佇む和食店のようなファサードをなんとはなしに思い出す。
ちょっくら寄り道してみましょう。
一度目は、恒例の村田の実験室@Againを堪能したあと。
二度目は、会社帰りに目黒線へと乗り換えて。
三度目は、自由が丘での野暮用を済ませたあとに。

いずれも夜の営業時間帯に赴いたのだけど、
なんと予約で満席という事態に直面しました。
正直なところ、とんかつのお店に予約までしてというのがしっくりとしない。
ならばとランチ時に足を向けると今度は、空席を待つひと影がある。
なるほど人気なのだなぁと思いながら、アーケードへと踵を返したりして。
ふたたび、とあるお昼どき。
硝子戸越しに店内を覗くと、カウンターに空席がある。
漸くタイミングが合ったなぁと呟きながら(笑)、カウンターの奥へと進みます。

ちょうど食べ終えた数人が席を離れ、カウンターが静かになりました。

ランチメニューを気にしつつ、お品書き筆頭の「ロースカツ定食」を。
朴訥とした雰囲気のご主人が、注文を確認するようにこっくりと頷く。
正面の黒い壁を見上げると、こう認めた半紙が見つかります。
「少々お時間はかかりますが、一生懸命作っています、ご了承くださいませ」。
カウンターの内側に構えるは、銅色に磨かれた揚げ鍋。

劣化や酸化を思わせない、澄んだ油がひたひたに注がれています。
「ポテトサラダ」や「きんぴらごぼう」で麦酒をやっつけてもいいのだけれど、
それでお腹を満たしてしまうのもなにかと、
出来上がりをのんびり構えて待つことにします。
じっと油殿を見詰めていたご主人が、今だ!とばかりに太い菜箸を動かし、
厚みのあるカツを引き揚げる。

油を切り、俎板に載せた揚げ立てカツに空かさず包丁をいれ、盛り付ける。
「ロースカツ定食」の完成です。
細かめのパン粉で包んだ衣は、澄んだ油にイメージ重なる綺麗な揚げ色。

その間から覗くは、仄かにピンクがかったもち豚の断面。
既にもう、見るからに美味そうであるが、まずは落ち着いて(笑)、
添えた檸檬なんぞを軽く搾りかけてからもう一度断面を凝視する。

肌理の整った切り口から澄んだ脂が滲み出る。
なるほど、衣と肉とがきちんと一体化しているのが好ましい。
ソースはもとより、醤油も塩もいらないかもねと、そのまま噛り付く。

すっと歯の先を受け止めて、上品な脂の甘さを滾らせる。
衣には、軽妙なる四谷「四谷 たけだ」の衣とはまた違う、落ち着いた軽やかさを備えてる。
ああ、いいね。
日を改めて、また夜に寄ってみると今度もタイミングよろしくて。
「ヒレ」か「メンチ」かと悩んで何故か、「チーズ巻カツ定食」を。
ご主人は、まるで和菓子でも拵えるかのように、
伸ばした豚肉にスティック状のチーズと海苔を巻いてゆく。
揚げる時間はきっと、ロースカツよりは短めでしょう。

切り口を揃えるようにお皿に盛り付けて。
蕩けたチーズに海苔の風味が小粋なアクセント。

上手に炊いたゴハンに合うのは勿論のこと、贅沢なおつまみにもなってくれそう。
あとはキャベツが手切りの細かなものだったら云うことありません。
武蔵小山の人気店、もち豚とんかつ「たいよう」。

一生懸命、の貼り紙を読まずとも、寡黙にしてその姿勢が十分伝わる雰囲気がある。
きっと「生姜焼定食」も旨いに違いない(笑)。
口 関連記事:
とんかつ「さんきち」で 大盛り生カキフライはカキフライの大盛り(10年12月)
かつれつ「四谷 たけだ」で 軽やかカツレツと軽やかカキフライ(12年03月)
「たいよう」
品川区小山3-22-7 メゾンいずみ112
[Map] 03-3786-1464
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らしいんですよね♪
たくさんご推薦頂いてるのに未だ訪問出来ず仕舞いです
(ナポがないので…(・・;)
Re:Gingerさま
つけ合わせに素ナポでもあれば、と(笑)。
並びにある「トゥルース」には、じんじゃーもなぽもあるのだけど、
入った瞬間、しまった!と思いました……。