
するするとことこと進む列車を降りたのは、
小さな小さな無人駅Aigen。
路地のような道から住宅地を抜け、
路傍に咲く行者ニンニクの白い花を愛でて匂いを嗅いだりしながら進むと、視界が開けた。
道沿いに並木が続き、その右手には放牧地なのか、緑の絨毯が広がっています。
その先に教会の尖塔が望め、思わず立ち止まってじっと眺めてしまう。
気持ちのいい景色だ。


教会の小さなホールの冷気に触れてから、教会の向こう側へ回り込むと、
結婚式らしき一団が始まりを待っているようなご様子。
それを横目に、ゲートを潜ります。
レストランホールの佇まいを眺めながら、そのまま建物を抜けて真っ直ぐと。


緑鮮やかな中庭が迎えてくれました。
木々が覆う、中庭のテーブルのひとつの収まって、グラスの泡を。

すっきりと酸の利いた綺麗な呑み口だ。

メニューの見開きの左半分には牛の部位を示す図があって、
まずはスープをおすすめと書いてある。
給仕の女性の説明によると、牛の骨髄が面白いらしい(笑)。
スープをいただきました。

丁寧にそして濃厚にひいたコンソメの旨み。
麺状のパンケーキや野菜たちと一緒に浮かんでいるのが、件の牛の骨髄だ。

スプーンからつるんと啜ると、
ふわっっとした口触りの後、一瞬の深い滋味がすっと消えてゆく。
そして、グリース団子Griesnockerlにレバ団子。
なんとも魅力的なスープです。
はたまた、骨髄を黒パンに載せて、
浅葱をあしらってカナッペ的に。

これまたとろんとして、
なにかのフルーツのような不思議な甘さを含んでいます。

オーストリアの白ワインを所望ですとお願いしたら、
プレゼンしてくれたのが「MAITZ」の。

ラベルの下部には、MUSKATELLERの文字があります。
なるほどマスカットだ~と思わず叫んで愉しくなる、
フレッシュさの中に心地いい甘露を含む滴です。
続くプレートは、燻製したタンとターフェルシュピッツ。
山間の牧場、ピンツガウからの牛。

右側のお肉が肩の真ん中で、左側のお肉は肩の上の方だという。
ほうれん草は、クリームシュピナートにしてたっぷりと。

こういうソースをちょっと脂を落としたお肉に添える感じって、いいないいな。
他には、リンゴわさびソースとかマヨあさつきソースとか。
日本人向けに仕立ててくれた?みたいな(笑)。
付け合せは、人参とじゃが芋の千切り揚げ。

じゃが芋の千切りは、
しっかり揚がったところのクリスピーな香ばしさと柔らかいところの甘さとの競演が好き。
そろそろお腹十分になった頃。
厨房の方から、シューーという音が聞こえてきました。

花火の噴出に、”Alles Gute”の文字をお皿に添えてくれているのは、
「créme catalana mit ErdbeerSorbet und Rhababer」。
紅い層とピンク色の層と白い層、
そして表面はクレームブリュレ的焼き目の薄いカラメル層。


滑らかな香ばしさの先にスプーンを進めると、苺の華やぎが鼻腔を抜けて。
さらに弄ると、ルバーブの欠片が顔を出します。
食用の鬼灯の甘酸っぱさもいい注し色。
嗚呼、陽射しにも恵まれた、こんな気持ちのいい中庭で、
「
パフェラッチ!」できるなんて。
アイゲンの城という名のレストラン「SCHLOSS AIGEN」。

城の北にある別館がその在り処。
肉好きにも訴える、オーストリアの伝統的な料理がいただけます。
ダイニングも悪くなさそうだけど、気候と空席が許すなら、やっぱりこの中庭で過ごしたい。
「SCHLOSS AIGEN」
Schwarzenbergpromenade 37 A-5026 Salzburg [Map] 0662 / 62 12 84
http://www.schloss-aigen.at/
column/03167