レストランホールの佇まいを眺めながら、そのまま建物を抜けて真っ直ぐと。 緑鮮やかな中庭が迎えてくれました。
木々が覆う、中庭のテーブルのひとつの収まって、グラスの泡を。すっきりと酸の利いた綺麗な呑み口だ。
メニューの見開きの左半分には牛の部位を示す図があって、 まずはスープをおすすめと書いてある。 給仕の女性の説明によると、牛の骨髄が面白いらしい(笑)。
スープをいただきました。丁寧にそして濃厚にひいたコンソメの旨み。 麺状のパンケーキや野菜たちと一緒に浮かんでいるのが、件の牛の骨髄だ。 スプーンからつるんと啜ると、 ふわっっとした口触りの後、一瞬の深い滋味がすっと消えてゆく。 そして、グリース団子Griesnockerlにレバ団子。 なんとも魅力的なスープです。
はたまた、骨髄を黒パンに載せて、 浅葱をあしらってカナッペ的に。これまたとろんとして、 なにかのフルーツのような不思議な甘さを含んでいます。
オーストリアの白ワインを所望ですとお願いしたら、 プレゼンしてくれたのが「MAITZ」の。ラベルの下部には、MUSKATELLERの文字があります。 なるほどマスカットだ~と思わず叫んで愉しくなる、 フレッシュさの中に心地いい甘露を含む滴です。
続くプレートは、燻製したタンとターフェルシュピッツ。 山間の牧場、ピンツガウからの牛。右側のお肉が肩の真ん中で、左側のお肉は肩の上の方だという。
ほうれん草は、クリームシュピナートにしてたっぷりと。こういうソースをちょっと脂を落としたお肉に添える感じって、いいないいな。 他には、リンゴわさびソースとかマヨあさつきソースとか。 日本人向けに仕立ててくれた?みたいな(笑)。
付け合せは、人参とじゃが芋の千切り揚げ。じゃが芋の千切りは、 しっかり揚がったところのクリスピーな香ばしさと柔らかいところの甘さとの競演が好き。
そろそろお腹十分になった頃。 厨房の方から、シューーという音が聞こえてきました。花火の噴出に、”Alles Gute”の文字をお皿に添えてくれているのは、 「créme catalana mit ErdbeerSorbet und Rhababer」。 紅い層とピンク色の層と白い層、 そして表面はクレームブリュレ的焼き目の薄いカラメル層。 滑らかな香ばしさの先にスプーンを進めると、苺の華やぎが鼻腔を抜けて。 さらに弄ると、ルバーブの欠片が顔を出します。 食用の鬼灯の甘酸っぱさもいい注し色。 嗚呼、陽射しにも恵まれた、こんな気持ちのいい中庭で、 「パフェラッチ!」できるなんて。
アイゲンの城という名のレストラン「SCHLOSS AIGEN」。城の北にある別館がその在り処。 肉好きにも訴える、オーストリアの伝統的な料理がいただけます。 ダイニングも悪くなさそうだけど、気候と空席が許すなら、やっぱりこの中庭で過ごしたい。
「SCHLOSS AIGEN」 Schwarzenbergpromenade 37 A-5026 Salzburg [Map] 0662 / 62 12 84 http://www.schloss-aigen.at/
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