
とっても久し振りに訪れた成城学園前。
北口を出て、ふらふらと街並みを眺めながらのんびりと歩みを進めます。
嘗て新店舗の開店に関わった証券会社はもうなくなっていて、ちょっと寂しく思いつ歩いていくと、あっという間に閑静な住宅街に景色が変わり、生垣の上からは暖かな日和に誘われるように気の早い桜が咲いています。
麗らかな日曜日だなぁ。
そう感じながら空へと見上げた視線を戻すと、
住宅地の間を真っ直ぐ伸びる道路の右手に目的地を見つけました。

看板が「とんかつ椿」と標しています。
老舗の風格すら漂う佇まいを拝んでから入口の前に立つ。
春色で誘う暖簾には、刺繍にも思える鮮やかに染め抜いた「椿」の文字。
おひとりさまは、厨房前のカウンターに陣取りました。
暖かで気持ちのいい日和にノッて、麦酒を所望しちゃいます。

おひたしを添えてもらいましょう。
お願いしたのは、「椿 ロースカツ」。
ご飯セットを含んだお昼の定食は、土曜日を含んだ平日のみなので、単品のロースカツを定食に仕立ててもらうことになります。
丁寧に細めに刻んだキャベツをこんもりと盛り、その手前に堂々と鎮座するカツ。

なにがそう思わせるのか、熟練の威風を想う表情のする。
野生的かつ豪胆に攻めるタイプのトンカツには醸し出せない、一種の品格を思います。
断面を覗き込むと、桜色のロースから肉汁がじわっと滲んで、垂涎を誘う。

均一な衣が肉と分離することなく、ぴたりと包んでいるところにも感心しながら、まずはそのままいただきます。
硬さを帯びない、さっくりと軽妙な歯触りの衣は、肉の旨みを逃がさず包み込む役目も担っていて、余分な水分を逃がしながら肉の旨みを凝縮させているのだなぁと膝を打つ(ぽん、笑)。

これまた歴史と熟練を思わす甘め自家製ソースもいいけれど、今や定番のアンデス岩塩でいただくのがやっぱり一番。
ご馳走さま。
そうそう、久し振りに成城学園前を訪れたその訳は、
以前から聴いていたアーティスト
荒木真樹彦のライブに初めて臨むためでした。
会場となったのは駅からみて成城学園の裏手の住宅街の一角。
まさにどなたかの邸宅の玄関から案内されると、そこはまるでヨーロッパの小さな教会よう。

高いアーチ状の天井が守る空間は、どこか厳かに生音が響く設え。
サローネ・フォンタナという、クラッシックも似合うホールだ。
風格と熟練と品格を想う「椿」はきっと、成城界隈で一番に知られたとんかつのお店。


箸袋には、登録商標の文字。
「とんかつ椿」での登録なのでしょうね。
「椿」
世田谷区成城5-15-3[Map] 03-3483-0450
http://tsubaki.web.infoseek.co.jp/
column/03111