「蓬莱屋」「本家ぽん多」と並んで上野とんかつ御三家と謳われている「双葉」に足を運んでみました。鈴本演芸場裏手というのがやっぱり分かりやすい立地。佇まいに老舗の味わいを思わせる情緒は感じられず、木造モルタルの普請に質素で潔い濃紺の暖簾が掛かります。入口サッシュの硝子には「騒がしいお子様 御遠慮下さい」との貼紙。騒々しいばっかりで味もなんも分からんオコチャマは歓迎できないということなのでしょう。メニューには、「とんかつ」「とんかつ定食」に「カニサラダ」「野菜サラダ」、そして「御飯」「味噌汁」「新香」のみ。あれやこれや云わずウチんとこではとんかつ喰っときなさい、という分かりやすさ。自慢の一品に集約しているとも受け止められるし、無駄で余計な仕込みはしたくない、面倒で勿体ないという、そんなお店事情のようにも映るね。で、選ぶ余地なく「とんかつ定食」に。脂身を削いだり、筋を切ったりの下拵えは丁寧に施されているようだ。素敵な厚みの、そして白っぽい肉からは透明な脂が滲んできますcolumn/01878


