column/02652
ワイン&琉球イタリアン「Vino et Vin」で ミミガーのブルーチーズ
ゆいロード沿いの角の建物。
見上げる中二階の硝子越しにワインボトルが並んでいる光景が、初めて石垣を訪れた時から気になっていました。
定番島料理で泡盛舐めるのが、ニュートラルな島の夜の過ごし方ではあるけれど、それが叶うなら、ワイングラスを傾けるのも小粋だなぁと、ね。
ダイビングのログづけをどこで?となった時、閃いたのがこちらのお店「ヴィーノ・エ・ヴァン」です。入口を入って右手にカウンター。
と、その先の壁沿いのカウンターにも椅子が並び、開口からワインセラーが覗けるようになっている。
通り側のカウンターもまた、いい雰囲気であります。
暑い最中、やっぱり口開きはビールでと、「ヴィラモレッティ」。
山高帽の髭面のオッチャンがやたらデカいジョッキを手にしたイラストがラベルになっている。
どこぞの地ビールのようなほの甘さが個性であります。
「海畑サラダ」の”海畑”のところには括弧書きで(イノー)と添えてある。
「イノー」とは、サンゴ礁に囲まれた浅い海、礁池のことを云うそう。それで、“海畑”ね。海ぶどうや藻草の中で目立っている小枝のような赤い海草がツノマタで、噛めば、うん、磯の香り馥郁となる。
樽のHeadsを模したような丸い黒板に「マンボーのカルパッチョ」とチョークの文字。
マンボーは食べたことないよね~と、早速お願いするとオリーブオイルたっぷりめにひたひたにピンクの身の削ぎ切りが供された。あのズングリした風貌からは、ひょっとして臭みが強かったりするのではと思わなくもないけど、それは杞憂で、しっかりめの歯応えから一転してすっと解ける感じが面白い。
赤をオマカセで、と届いたのが「POGGIO SALVI Chianti Colli Senesi 2004」。
重過ぎないボディに渋みと酸味がすすっと折り重なる。
ちょっとクセのあるチーズも合いそうだと、「ミミガーのブルーチーズ」。刻んだミミガーをゴルゴンゾーラで炒め和えたもので、予想通りグラスを進ませます。
店主の大岩さんが、「これ、なぁ~んだ?」と持ってきてくれたお皿には、煎り炒めた何かの実。
アーモンドのようではあるけど、あの水滴のカタチではない。
一瞬ピスタチオかもと思うけど、ちょと違う。
石垣でドングリって採れるのかなぁなんて酔い始めた頭で考えていると、
「スペインの生アーモンドなんだよ~」と正解がだされた。へ~、産地変わればカタチ変わるのねと、ボリボリ、ガリガリ。うほ、香ばしい。
ここいらで急に、お腹を満たすモードになって、まずいただいたピッツァは、「島トウガラシとラフティ」。たっぷりとのせられたチーズを、その間から顔を出してるラフティ、はるゆたかを使った生地と一緒に咥え込めば、ラフティ&タレの味クーターとチーズのコク味がまったりと味蕾に迫る。
ポイントは、そのあとから島唐辛子の辛味風味がふふふっと風を送ってくれるところ。
ぺろぺろっと食べれちゃうのですね。
続ける炭水化物(笑)は、「八重山そば風」。
っていっても、イワユル八重山そばのドンブリが登場するわけではなくて、届いたのは大きな貝殻。
沖縄かまぼこと三枚肉ののった“八重山そば風”のパスタなのだ。ジョゼッペコッコが纏ったソースに鰹出汁が芬々としてたら、さらにダハハと笑っちゃう、そんな感じ。
ショップカードに見る大岩さんの肩書きにあるのは、「潜りのシニアソムリエ」。
ダイビングショップのスタッフからも飲食の同業者からも、もちろんお客さん筋からもきっと信望の篤い兄貴分。そんな存在感が頼もしい。
“モグリのソムリエ”と洒落るところが、懐の奥行きを思わせるし、なにせ会話の抽斗が多いのだね。
「台風13号直撃の時、実は島にいたンですよ」「うちに来れば呑んで食べてできたのにねっ」なんてあれこれ話し込んでしまいました。
地元食材をモチーフにしたものも含めて、「ヴィーノ・エ・ヴァン」のメニューにはまだまだ気になるフレーズばかり。またお邪魔しますね、台風じゃなくっても(笑)。
「Vino et Vin」 石垣市大川286 Withビル2F 0980-82-1143
http://www.vino-et-vin.com/