先斗町から流れて、祇園末吉町の裏通り。
お茶屋を思わす10枚もの表札が並ぶ格子戸の先へ、ガラリと進む。
その奥は、割烹「すぎ多」。
と、右手の狭い階段を上がるよう促される。
この白川沿いのお店たちは往々にして、回廊を辿るような隠れ家的アプローチになるのだね。
階段を登りきると、暗がりながらふわっと視界が広がる。
楕円に挟まれた不思議な空間にカウンターが配されている。
その楕円の壁一面が、橙色に発光している。
プレジャーボートなんかに使われるグラスファイバーを照明を透過する仕様で縦材にして組み合わせているのだという。ほ~。
かつて、渋谷や恵比寿で籠もった、「コクーン」をふと思い出す。
奥にはテーブル席があり、その窓際が白川に面した特等席になっているという、界隈でお決まりのレイアウト。
硝子越しに桜を愛でながらグラスを傾けられるバーといえば、
ロレンスさんも通う大森「Tenderly」が思い浮かぶ。目黒川沿いにもあるかもしれないね。
その窓際とは真逆の、カウンターの一番手前に陣取って、
壁の灯りに照らされたバックバーを拝む。
そこで、
シンプルゆえにか、あまり見掛けることのなかった白いラベルのスコッチのボトルを目に留めた。
「Royal Household」のラベルには、DISTILLERS GLASGOW & LONDON、とある。
イギリス政府の管理の元で、スコットランドで蒸留貯蔵ブレンドビン詰めしたものだとあり、かつてイギリス王室専用だったというブレンデット。
やっぱり、それなりにお高いのだね。
どんな経緯だったか、
子供の頃叔父さんの家のサイドボードには、ジョニ黒が恭しく飾られていたねなんて話をしていると、
そこへ差し出された青いラベル。
ジョニ黒でも赤でもない、つまりはジョニ青、だね。
ブルーラベルは、ジョニーウォーカー初期のブレンドを再現するべく、貯蔵庫から特に厳選した原酒から作られたもの、らしい。そして、ピュアモルトのジョニ緑、もっとプレミアム(?)なジョニ金もあるらしい(笑)。
隣の女性連れの旦那は、カウンターに突っ伏して既に夢の中。
と、ムックリ起きあがって、奇妙な言い掛かりをつけてきた。
すぐに我に返ったのか詫びてきたけど、反面教師としてああならないように気をつけなきゃ(笑)。
「IT’S」の2軒目展開ゆえの”2 DUEX”。
お店の副社長に見送られて再び、末吉町の裏通り。
何気なく、彼の名刺の裏を見たら、あ、あの落胆の寿司屋さんの名がある。
同じ経営母体だったのですね。
口関連記事:
Cuisine Francaise「Le CoCon」で 繭と呼ぶかまくらに篭る夜(02年03月)
Bar「Tenderly」で 梅雨の頃M30-レインとalmost there(07年04月)
鮨割烹「閒」 で落胆の握り六貫は京流か閒流か(08年04月)
「IT’S GION 2 DEUX」 京都市東山区祇園末吉町80-1 075-531-8321
http://www.itsinc-jp.com/its-gion/its-gion.html
column/02646 @5,200
相変わらず大人の夜を過ごしてますねー
酔客とのやりとりは発展しませんでしたか…
言い掛かりは京都弁でしたか?笑
Re;ロレンスさま
いやはや、京都はやっぱりいいですぅ。
お隣のオネムさんは、東京からの客らしく。酔って寝惚けている自分にハッと気がついて、随分恐縮していました。
たぶん、ヨダレ垂らしてますね、あれは(笑)。