BAR「YUMOTO」で 金柑カクテルと3回蒸溜隠れ家と彼女の凛

yumoto.jpg冷え始めた夜の三島。 うなぎ料理をいただいた「直よし」の大将に、近所に呑兵衛の集まる横丁ってないのですかと訊くと、以前は賑やかだった路地も今は寂れてしまっているという。 やや残念な気持ちになりながら辺りを散策すると、どうやら伊豆箱根鉄道の三島広小路駅界隈には旧町っぽさの名残りがあって、おぉ?なぁんて思わせる小径もある。 そして、意外やその近くに、08年のバーテンダー技能競技大会で優勝したバーテンダーのいるBARがあるという。
地図に手書きした店の所在は、源兵衛川という水路沿いにあるようにも見える。 橋の上から川辺の先の暗闇を眺めて、「川沿いに辿っては行けそうもないですね」とくにちゃん。 一本東側の径をその先まで抜けてみたものの、それらしいお店が見つからない。 念のためもう一度引き返してみようと、今来た径を再び辿ります。 と、マンションのエントランスだと思っていたところに「BAR」の文字。 「おー、あったー!」。 そのアプローチの正面には、重厚な木製の扉が構えていて、その手前左手の壁には、スコットランドの国旗。そこには、ディステイラーの方々のものと思われるサインが記されています。 ぐっと引き開いた扉の向こうには、意外なほどゆったりとした空間が広がっていて、正面の硝子越しには、ライトアップされた川辺の木々が臨める。 一瞬、祇園新橋の川際のバーにいるような錯覚が過ぎります。 yumoto01.jpgyumoto02.jpg 先客なければ、窓際だったのになと思いながら、カウンターの一番手前へ。 バックバーに、檸檬色の灯りに浮かぶグラスたち。 その脇には、大麦を乾燥させる際に使うという木製の道具、モルトシャベル。 コートを収めてくれたクロークの戸は、どこぞの町家にありそうな古民家のものだ。 yumoto09.jpg開口一番に優勝カクテルを、というのもなんだか気恥ずかしくて、壁の黒板で目に留まった金柑のカクテルをお願いします。 皮も身も召し上がってください、という台詞を添えて届いたグラスには、なるほど、四つ切りにした金柑がざくざくと入っている。yumoto03.jpg啜る滴は、ウォッカベースのすっきりとした清々しさ。 一気についーッと呑めてしまいそうになるところを堪えて(笑)、仰せの通り、皮や身を貪る。 ちょっとした苦みと華やぐ柑橘の清涼感がいい。 yumoto04.jpgお通しに苺。 フレッシュなままかと思ったら、ちょっぴり電子レンジにでもかけたのか、微妙に柔らかくしてある意外性。 切り込みに詰めたカッテージチーズと蜂蜜の風味が洒落てます。 スペイサイドからなにか、とお願いしてやってきたのが「BenRiach 1998」。yumoto05.jpgyumoto06.jpgラベルに「TRIPLE DISTILLED」とあるように、なんと3回蒸溜を施したものだという。 揮発していくようなクリアな感触とピリッとした塩辛さが同居しているような、ドライな呑み口だ。 一転今度は、思い切りクサイやつでというリクエストに応じたボトルが「Auld Reekie 10年」。yumoto07.jpgカリラやラフロイグなどなどのアイラらしいアイラをボトリングしたものだそうで、鼻先を近づけただけで、なはは~と笑っちゃうほどスモーキーなヨード香。 初めてラフロイグを舐めた時に、なんじゃこりゃ!薬クサっ!って思ったことを思い出してまた、なはは~。 今は好き好んで、それを呑んでいるのだものね。 黒いラベルに城らしきモノクロームのイラストを見つけて、隣のくにちゃんに「どこ?」と訊いてみたら、「……エディンバラ城、ですかね?」。 そう、「オールド・リーキー」というのはエディンバラの俗称なのだそう。 おお、さすがスコットランド帰り(笑)。 「08年の優勝おめでとうございます」と声をかけたカウンター越しのバーテンダーは、凛々しくって優美な女性。 並み居る男性バーテンダーを跳ね除けて、なんて云われ方はきっと不本意なんだろうけど、そんな発想が下衆なことと素直に思えてしまうほど気負いのない柔和な表情の中にビッと芯がある感じ。 思わず惚れてしまいそうになるけど、バー「YUMOTO」の名は彼女の姓でもあるけど、どうやら彼女の旦那の姓でもあるらしい。う~ん、残念(笑)。 見送りに出てくれた彼女とスコットランド国旗の前でお喋り。 国旗にサインのある蒸溜所について現地話ができるくにちゃんが羨ましい。 やっぱり、行ってみたいなスコッチの国。 三島と三島広小路の真ん中辺り。 隠れ家的×ゆったりとしたオーセンティック×水辺の情緒×彼女の凛。 源兵衛川を背にしてひっそり佇むバー「YUMOTO」にはそんな要素の融合がある。yumoto08.jpgまたお邪魔する機会を見つけて、元倉庫のものだという奥まった扉へとアプローチ。 今度こそ、創作カクテル「アプローズ(喝采)」もいただかなくっちゃ。 口関連記事:   和食「直よし」で 三島うなぎ白焼ききも焼き炊いた鰻の茶漬け丼(09年01月)   Bar「IT’S GION 2 DEUX」で 橙の灯りと英王室と青いジョニー(08年07月) 「YUMOTO」 静岡県三島市芝本町10-7 [Map] 055-981-5578
column/02750 @3,700-

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

このサイトはスパムを低減するために Akismet を使っています。コメントデータの処理方法の詳細はこちらをご覧ください